ヤマハサウンドシステム株式会社

縁の下の力持ち、無停電電源装置(UPS)

いつもは目立たないのに、いざという時には頼りになる、それが無停電電源装置(以下、UPS:uninterruptible power supply)です。一見、音響機器ではないもののように思えますが、実は重要なはたらきをしています。今回はそんな名脇役UPSにスポットを当てて、ホールや劇場の音響設備でどのように活躍しているのかご紹介します。

UPSとは?

UPSは、停電などによって電力が断たれた時に、内蔵のバッテリーを使って電力を供給する装置です。一般的にはコンピューターやサーバーを保護するために用いられていますが、音響設備においても、機器のデジタル化にともない導入することが増えており、当社の実績では9割近いホールや劇場で導入しています。

UPSは内部に大型のバッテリーを搭載しており、普段はそれを充電しながらほかの機器へ給電を行っています。停電が発生すると、瞬時に電源が途切れたことを検知してバッテリー給電に切り換わります。こうすることで、接続された機器の電源が突然切れてしまうのを防いでいます。

シュナイダーエレクトリックのUPS「SMT1500RMJ2U」

シュナイダーエレクトリックのUPS「SMT1500RMJ2U」

音響設備のUPSがはたらくのはどんなとき?

UPSの役割は、停電によるデジタル機器へのダメージを最小限に抑えることです。停電は、短時間のものもあれば、復帰に数日かかるものもありますが、いずれにしても予期することができません。
たとえば、電力会社が送電ルートを切り替えることなどにより、人が気づかないくらい短い間電源が途切れる現象があります。もし公演中にこのような短い停電が発生するとどうなるでしょうか。タイミングや機器によってはエラーや電源の再起動を引き起こしてしまい、一時的に音が出なくなり、最悪の場合は公演の中断につながることが考えられます。こうならないために、UPSはいつでもバッテリーから安定した電源を供給できるように待機して、公演を平常通りに行うための手助けをします。
また、施設の電源の故障や災害時のように長時間停電する場合もあります。この場合、UPSはデジタル機器の電源が突然切れるのを防ぐと同時に、安全に終了するための数分間、電源を持たせるはたらきをします。まれに、停電中にも公演を最後まで続けるためのものと思われることがありますが、UPSのバッテリー容量には限りがあるため、あくまで機器やデータを守るための時間稼ぎとして使用します。

実験

UPSは正常に働いているかどうかを確認しづらい機器です。そこで、電源に異常が起きた時どのように音響機器を守っているのか、短い停電に対してどのくらい敏感に反応するか、実験してみました。

■ 実験システム

電力会社から供給される電源に見立てた試験電源機にUPSを繋ぎ、UPSに音響機器を接続しました。音響機器はデジタルミキサーと、音響システムのインフラとなるネットワークスイッチを使用しました。試験電源機で短い停電(① 0.02秒、② 0.002秒の停電)を作り出し、接続した音響機器の様子を観察しました。

実験システム

■ 使用した機器

・UPS :シュナイダーエレクトリック 「SMT1500RMJ2U」 

・音響機器 :ヤマハ デジタルミキサー「QL1」、ネットワークスイッチ「SWX2200-8G」

■ 試験電源機で発生させた停電の波形

① 0.02秒の停電した波形(UPSの入力)

① 0.02秒の停電した波形(UPSの入力)

② 0.002秒の停電した波形(UPSの入力)

② 0.002秒の停電した波形(UPSの入力)

■ 結果と考察

実験を行った① 0.02秒と② 0.002秒ともに、停電を発生させた瞬間にUPSのバッテリー給電中を示すLEDが点灯し、試験電源機の電源からUPS内部のバッテリー電源に切り替わったことが確認できました。接続した音響機器に再起動やエラー表示はなく、平常通りの状態を保っていました。
発生させた停電は電源周期(50Hz)の1/10などとても短いものでしたが、UPSはそれを検知する能力があることが分かりました。実際に起こる停電の長さは予測できませんが、非常に短い停電に対しても、他のデジタル機器を守ることができると言えます。

音響機器が平常通り動いている様子

音響機器が平常通り動いている様子

まとめ

UPSのはらたきを、実験を交えてご紹介しました。UPSは、正常な電力供給が行われている間はほとんど稼働していないように見える装置です。常にバッテリー充電と電力供給をしつづけ、停電の時には内蔵バッテリーからの給電にすぐに切り替わって機器を守ります。まさに「縁の下の力持ち」的な存在です。公演が無事に続くよう、UPSは今も電源に目を光らせています。

機材協力:UPSソリューションズ株式会社 外部サイト

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