ヤマハサウンドシステム株式会社

LANケーブルは何mまで使えるの?

ホール、劇場、会議室などで音響システムを構築する場合、デジタルオーディオネットワークを使うことが増えています。デジタルオーディオネットワークには音質劣化が極めて少ない、システムが柔軟に変更できるなど、さまざまな利点があります。さらに、LANケーブルを1本つなぐだけでシステムを構築できる点もコスト面で大きなメリットです。従来はアナログ音声ケーブルを必要な長さで引き回していましたが、LANケーブルは何mまで使えるのでしょうか。

そもそもLANってなに?

LANケーブルのお話の前に、まずLANについてご説明します。LANとはLocal Area Network(ローカルエリアネットワーク)の頭文字をとった略称です。主に家庭やオフィスでコンピューターやプリンターなどを接続する構内ネットワークに使われています。現在、世界で最も普及している有線LANの規格がイーサネット(Ethernet)※です。イーサネットには世代によって種類があります。現在は、通信速度1Gbps(1秒間に1ギガビットのデータ量を送受信できる速度)のギガビットイーサネット(Gigabit Ethernet)が主流で、ギガビットイーサネットには、1000BASE-T、1000BASE-SX、1000BASE-LXなどがあります。

※イーサネットとは、コンピューターや電子機器でネットワーク通信をする規格で、IEEE 802.3委員会で標準化されています。

LANケーブルの種類

LANケーブルとはほとんどの場合、イーサネット接続をするためのメタルケーブル(銅線)を示します。では、LANケーブルにはどのような種類があるでしょうか。

● イーサネットを構築するLANケーブルの種類「カテゴリー」

LANケーブルは、通信速度と伝送帯域によって規格化されており、それがカテゴリー※です。代表的なものにCAT5e (カテゴリー5e)1Gbps/100MHz、CAT6 (カテゴリー6)1Gbps/250MHzがあります。ギガビットイーサネットではCAT5e以上の規格のケーブルを使用します。

ご注意!CAT5e以上のカテゴリーであるCAT6、CAT7のケーブルを使っても通信機器の速度や帯域が上がるわけではありませんのでご注意ください。

※ カテゴリーは、TIA/EIA が定めているケーブルの規格です。
TIA:Telecommunication Industries Association(米国通信工業会)
EIA:Electronic Industries Association(米国電子工業会)

被覆面にCAT6と表記されているLANケーブル

被覆面にCAT6と表記されているLANケーブル

● UTPケーブル/STPケーブル

LANケーブルには帯域とは別に構造の違いもあります。ノイズを遮断するシールドがないUTPケーブルと、シールドがあるSTPケーブルの2種類があります。「UTP」は、Unshielded Twisted Pair(アンシールデッドツイストペア)の略でシールド処理がされてないペア縒りされたケーブルを意味します。「STP」は、Shielded Twisted Pair(シールデッドツイストペア)の略でシールド処理されたケーブルのことです。STPはシールド処理されているため、外来ノイズの影響を受けにくい特長があります。また、同時にLANケーブル自体から放出されるノイズを周囲にまき散らさないという働きもしています。UTPケーブルの方が安価で一般的ですが、デジタルオーディオネットワークなど音に関わるデータの伝送や、接続する機器の仕様に合わせてSTPケーブルも使用します。UTPケーブルとSTPケーブルでは、使用するコネクタが異なります。端子側面に金属面がない場合はUTPケーブル、側面にシールド用の金属面がある場合はSTPケーブルです。

上:端子側面に金属面がないUTPケーブル、下:端子側面に金属面があるSTPケーブル

上:端子側面に金属面がないUTPケーブル
下:端子側面に金属面があるSTPケーブル

LANケーブルは一般的に最大100m
(ギガビットイーサネットの場合)

いよいよ本題です。
LANケーブルは、何mまで使えるのでしょうか。現在、主流であるLAN、つまりギガビットイーサネットである1000BASE-Tの場合、CAT5e以上のケーブルを使用して、100mまでと規定されています。
100mを超える長さだと信号が届かないというわけではありませんが、信号が減衰するため正確な信号を安定して伝送することができない可能性があることを意味しています。また、100m以内であってもケーブルの性能によっては安定した伝送ができないものもあります。

最大伝送距離イメージ

最大伝送距離イメージ

100mを超えるときは光に変換

それではコンサートホールや劇場など大規模な施設でLANケーブルが100mを超えるときにはどうすればいいのでしょうか。
その場合はメディアコンバーターで光信号に変換し、光ファイバーケーブルで伝送します。光に変換した場合、最長数十kmの伝送が可能になります。

光ファイバーケーブルを使用した接続例

光ファイバーケーブルを使用した接続例

光信号に変換するメディアコンバーター

光信号に変換するメディアコンバーター

電気信号を光信号に変換する機能を持つネットワークスイッチ

電気信号を光信号に変換する機能を持つネットワークスイッチ

手前のオレンジのケーブル「光ファイバーケーブル」

手前のオレンジのケーブル「光ファイバーケーブル」

まとめ

ここまでご紹介したように、ギガビットイーサネットである1000BASE-Tで使用するLANケーブルの場合、最長100m引き回すことができます。ホールなどの施工で注意しなければならないのが、考慮すべき長さは固定線だけはないという点です。固定線の端末から、実際にステージや調整室の機器に接続するパッチケーブルの長さも伝送距離に含みます。また、ケーブル同士を接続して延長すると信号ロスも発生しますので、パッチケーブルの長さや接続端子の数などを考慮し、マージンを持った長さにする必要があります。

ホールや劇場でのLANケーブルの引き回し例

ホールや劇場でのLANケーブルの引き回し例

接続端子を使用したケーブルの延長、黒いケーブル:通常固定線で使われるケーブル、青いケーブル:パッチケーブル

接続端子を使用したケーブルの延長
黒いケーブル:通常固定線で使われるケーブル
青いケーブル:パッチケーブル

LANケーブルが100mを超える場合の回避策として光ファイバーを使う方法をご紹介しましたが、リピーターハブを使う方法もあります。しかし、リピーターハブの場合、設置場所がメンテナンスしやすい場所とは限りません。例えば塵や埃が多いところに設置する場合、リピーターハブが故障する可能性があります。このようなリスクがある場合には、配線の途中にリピーターハブを設置して距離を延長することは避けた方がいいでしょう。

最後になりましたが、当社がLANを構築する際、まず工事をする前に図面上で敷設距離を確認します。規定の距離をオーバーする可能性がある場合は、あらかじめ光ファイバーケーブルをご提案いたします。そして、LANケーブルを敷設工事後、専用の測定器を用いて通信速度と帯域を実測し、規定の伝送特性が得られているかを確認しています。安心してお任せください。

LANケーブルチェックの様子

LANケーブルチェックの様子

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