ヤマハサウンドシステム株式会社

10周年記念ページ

お世話になっている皆さまより

ヤマハサウンドシステム設立10周年に寄せて

− YSSとの絆 〜 ポリシーの融合と熟成 −

公益社団法人 日本舞台音響家協会 理事長 渡邉 邦男

公益社団法人 日本舞台音響家協会
理事長 渡邉 邦男

公益社団法人 日本舞台音響家協会 理事長 渡邉 邦男

公益社団法人 日本舞台音響家協会 理事長 渡邉 邦男

ヤマハサウンドシステムの皆さん、設立10周年おめでとうございます。

−YSSとの絆−

私が劇場で舞台音響の仕事を始めたのは1973年3月、帝国劇場(以下、帝劇)の音響業務を担当する(株)フリックプロでした。当時のフリックプロは、帝劇公演の様々な演目の音響プランとオペレートをすべてこなし、心に響く舞台作品を上演し続けていました。代表の本間明さん、松下喜郎さん、依田征矢夫さんという、のちに私の師匠となる個性豊かな三人が設立したプロフェッショナル音響集団の門を叩き、社会人としての第一歩を踏み出しました。

大林組が施工した新帝劇の杮落としは1966年9月ですから、私が帝劇に勤務したのは、竣工から7年目ということになります。5階にあるミキサー室(帝劇での音響調整室の名称)には、マイクロフォンを調整するM卓(マイク拡声卓)と、6台のオープンテープレコーダなどを再生するマルチパンポット機能を持ったSE卓(効果卓)が設置されていました。その奥には音響機器室があり、40数台の真空管アンプや池藤無線の8波のワイヤレスマイク受信機などが組み込まれていました。舞台音響設備は卓やアンプも含め(株)ニチオンの設計施工でしたが、施工中に解散という事態になったそうです。しかし、音響設備・施工の現場代理人だった鈴木叡さんを含む20名のメンバーが、大林組の下で引き渡しまで職務を完遂したそうです。その後、鈴木さんはヤマハサウンドシステムの前々身である三精エンジニアリングに移りましたが、施工した帝劇に愛情を持って接し、運用開始後も長年に渡り、たびたび劇場のミキサー室を訪れていたそうです。私が入社してからも、上演作品ごとの音響設備の使われ方、スピーカーや音響調整室の理想的な位置や改良すべき点など、現場でオペレーターとして修行を始めたばかりの私とも交流を深めていただき、新しい音響システムについて語り合ったことを思い出します。

音響システムの師匠である鈴木さんは、その後、ヤマハサウンドテック(ヤマハサウンドシステムの前身)の役員となりましたが、退職されるまでに、1978年竣工の銀座博品館劇場や新国立劇場の音響システム設計・施工で、大変お世話になりました。

「音響システムは現場で実際に使う人との共同作業で作り、育てあげていく」という鈴木さんのポリシーは、世代を超えて現在のヤマハサウンドシステムに受け継がれていると思います。

−ポリシーの融合と熟成−

日本舞台音響家協会は、2000年1月に、日本演劇音響効果家協会と日本PA技術者協議会が合併して発足した協会です。

不二音響とヤマハサウンドテックという、舞台音響システムの設計・施工で凌ぎを削ってきた両雄が合併する。という知らせを聞いたときは、大きな期待の中に一抹の寂しさを感じたことを、今でも鮮明に覚えています。

協会の発足前からセミナーや設計・施工現場などで、両社のプロフェッショナルたちと多くの交流を持たせていただき、社の垣根を超えて互いに刺激を受けながら、共に学び、成長してきたと思います。 1997年6月と翌年1月に実施された「舞台用電源セミナー」(PA技術者協議会主催)は、クリーンな電源で施設の音環境を良くしようという趣向で、不二音響の磯部正弘さん(2002年に不二音響代表)他二名の講師を立て、全国6カ所で開催されました。

当時は、舞台音響システムがデジタル化へ動きだした時代で、2000年3月倉敷市芸文館での「全国公立文化施設技術職員研修会」で初めてYamaha PM1Dを使ったデモをおこないました。

また、同年6月には、日本プロフェッショナルオーディオ協議会主催のプロオーディオ総合機器展“PAS2000 Tokyo”が、池袋サンシャインシティ文化会館で開催され、隣接するサンシャイン劇場で、三つのワークショップが実施されました。当協会は初日に「デジタルPA・SEコンソールを考える」の企画運営をおこない、約250名の入場者と共に、出展された4台のデジタルコンソールを使用して、本格化したSRデジタルミキシングコンソールの現状と課題を把握し、可能性を探り、システムの核としてのさらなる進化を求めました。

協会発足と前後して、PM1Dを筆頭にRAMSA WR-D500、TOA ix-7000、STAGETEC CANTUS MA2、不二音響Expertなど、第二第三世代へと進化したデジタルコンソールが誕生し、それに呼応するようにネットワークオーディオやディレイマトリックス、ラインアレイスピーカーなどの進化へとつながっていきました。その後、全公文を含む協会活動では、「会館・ホールの改修」や「劇場仮設電源設備」、「舞台音響技術とデジタル音響機器」、「音像定位」などのテーマで研修会や座談会を開催。プロの舞台人として、それぞれの切り口での意見交換や検証を継続してきました。

皆それぞれに、仕事へのポリシーを持ち、音好きで、モノ作りへのこだわりがあり、会社への愛が強い人達ばかりです。私感ながら、両雄の切磋琢磨する仕事ぶりをもう少し見ていたかった…それは、ウイスキーに例えるなら、不二音響とヤマハサウンドテックという蒸溜所に、さらに味わい深いシングルモルトを作ってほしいと期待していたからです。蒸溜所が一つになることでそれぞれの個性が消えてしまうのでは?という、要らぬ心配をしていました。…しかし、時が経ち、ヤマハサウンドシステムという新しい蒸溜所で、刺激を受けたモルトたちも熟成し、雑味の抜けた濃厚で個性的なブレンドが誕生しています。当時、心に宿った寂しさは、杞憂に過ぎなかったようです。

舞台の音環境が良くなることは、舞台を創る私たちにとって良い結果を生むばかりでなく、観客へのサービスにも良い効果をもたらすことになります。「現場で実際に運用する人が設計から参加する」という土壌を確立するために、音響業界全体で根気強く提言していきたいと考えています。

これからも、「人が使い、人が育てる」をというポリシーを持って、目的に沿った良い音場を作り、音を感じながらコントロールできる、快適な音響室と音響システムを構築してください。

期待しています。

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