ヤマハサウンドシステム株式会社

PROSOUND FEATURE
最大収容約8,000人のキャパシティを誇る
東京屈指の巨大劇場型ホールが有明に誕生!
東京ガーデンシアター[前編]

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東京屈指の巨大劇場型ホールが有明に誕生!
東京ガーデンシアター[前編]

PROSOUND FEATURE

最大収容約8,000人のキャパシティを誇る

東京屈指の巨大劇場型ホールが有明に誕生!

東京ガーデンシアター[前編]

テキスト:内田匡哉 撮影:土屋 宏

東京ガーデンシアター[前編]

東京ガーデンシアターは、TOKYO2020オリンピック・パラリンピックの競技会場が多く集まる有明エリアに建設された大型複合商業施設の一角に、2020年7月にオープンした劇場型イベントホールである。こけら落とし公演の「J-WAVE LIVE 2020 ~#音楽を止めるな~」や、同年9月に行なわれたOfficial髭男dismのオンラインライブの会場として使われたことでご存知の方も多いかもしれない(Official髭男dismライブのドルビーアトモス収録については本誌2021年6月号で取り上げた)。
スタンディングで最大8,000人収容、着席で7000人収容という会場は、アリーナ席の周囲に3層のバルコニー席がオペラ劇場のように円弧状に配置され、ステージから最遠の席までの距離が約54mに抑えられているとのこと。どの席からもステージが見やすい立体的な客席形式は、アリーナ形式が多い類似施設と差別化されている。また、NEXOの「STMシリーズ」ラインアレイをハウスのメインスピーカーシステムとして常設している点が特徴であるが、かつ、それが持ち込みスピーカーの仮設に影響しないように工夫されている点が特に注目される。その他にも、このシアターにしかない特徴が沢山詰まっている。
今回、現地取材と関係者の方々へのインタビューの機会を得たのでここに紹介したい。インタビューはまず、東京ガーデンシアターの現場責任者である本田裕之氏、舞台技術担当の加無木克志氏、音響担当の寺田泰人氏に施設のコンセプトや経緯など全体的なお話を伺った。その後、音響設備(施設全体の設計施工:竹中工務店)を担当されたヤマハサウンドシステムの長谷浩史氏(提案設計担当)、阿部良生氏(システム設計担当)、柳原涼太氏(施工管理担当)に加わって頂き、音響設備の詳細についてお話を伺った。興味深いお話を沢山聞くことができたので2回に分けてお送りする。

東京ガーデンシアター[前編]

インタビューにご協力いただいた皆さん。左から、加無木克志氏、本田裕之氏、寺田泰人氏

シアターコンセプト

内田:最初に東京ガーデンシアターのコンセプトや建設に至る経緯などを教えて頂けますか?

本田:私は設計当時から係っていた訳ではありませんが、住友不動産としての思いを少しお話したいと思います。有明は、隣にお台場や国際展示場という皆様が休日を楽しみに来られる非日常のエリアがあり、東側には新興住宅エリアの豊洲、東雲があって、非日常と日常のちょうど真ん中に位置しています。  
そんな立地の特徴を活かし、街のコアとして日常と非日常の両方を楽しめる施設をつくろうというのが東京ガーデンシアターの発端です。そして色々なイベントの中でも音楽は日常にとても入りやすくコンセプトとして面白いと考えて、音楽イベントを重視したシアターを施設の一番目立つ所につくりました。

メインスピーカーの常設

内田:シアター自体の特徴について教えて下さい。

本田:イベント会場の多くは土日が稼働の中心ですが、我々は非日常を日常にという考えですので、隣に商業施設があることも含めて、毎日何かしらの本番が行なわれているシアターを目指そうと考えました。その為に設営日の要らない会場にしようと、当日設営、当日本番、当日撤去をコンセプトに掲げています。現実的にはなかなか難しいですが、他に比べると非常に本番率の高い会場になっていると思います。

内田:それがハウスの音響設備を持たれた理由のひとつでしょうか。

本田:そうです。とは言え設計段階で悩んだのが、まさに先日増強した音響設備です。音響は好みが分かれるので設計時に少し二の足を踏んでしまったのですが、主催者の皆様の声を聞くと意外と抵抗感をもたれていないように思われました。そこでヤマハサウンドシステムさんにご協力頂いてハウスのスピーカーをきちんと整えたところ、コンセプトにあった使い方をして頂けるお客様が予想よりも多数、全体の1/3強位いらっしゃいました。将来的には半分くらいのお客様に選んでいただけるのを目標にしております。

内田:ハウス機材使用と全部持込みでは設営時間はどの位変わりますか?

加無木:1時間半~2時間かな。リギングの時間が全く要らなくなるので、そこが大きいですね。

内田:前日仕込みじゃなくても可能になると?

加無木:そうですね。基本的に当シアターは7時~24時が貸出時間なんです。色んな事情で前にこぼれることはあって、その辺りの作業効率を上げるためにシアターとしてどう支援していくか、これからも考えてきたいと思っています。

内田:音響設備を増強されたのはいつ頃ですか?

本田:初めてお客様が入ったのが昨年の7月で、音響のご相談をヤマハサウンドシステムさんにしたのが昨年の11、12月ですかね。ですので、最初の方はすべてのお客様が持ち込まれる状態でした。

内田:当初の音響設備はどんなものでしたか?

加無木:持ち込みが非常に多いという予測のもとで、持ち込みの効率の良さを優先していたので、正直、パワーが不足気味でした。そこでハウスのスピーカーを使って全体の作業時間を減らせるようにスピーカーを増強しました。かつ、いい音になるようにヤマハミュージックジャパンさん、ヤマハサウンドシステムさんに大変なご協力を頂きました。今は結構評判良く使われています(常設スピーカーが持込スピーカーの設営に影響しない工夫については後述する)。

東京ガーデンシアター[前編]
東京ガーデンシアター[前編]

ステージの両サイドにフライングされたメインスピーカーシステム。フルレンジモジュールNEXO 「STM M28」×18とベースモジュール「STM B112」×4。アウトフィルスピーカーはフルレンジNEXO「GEO M1012」×5+「GEO M1025」×1+サブウーファー「MSUB15」。その外側を仮設用トラスが通過する様子を見せて頂いた(写真右)

東京ガーデンシアター[前編]
東京ガーデンシアター[前編]

舞台下に配置されたサブウーファーNEXO「STM S118」とニアフィールドスピーカーシステムNEXO「PS15U」と「PS8」。すべてキャスター式で配置が変更可能になっている。舞台は組み立て式である

劇場形式の客席

内田:大型の音楽イベント会場はアリーナ型が多いですが、こちらは固定席が多い劇場型ですね。そうした経緯や理由を教えていただけますか?

本田:一番はどれだけ本番日を増やせるか=コスト低減という点です。アリーナ型だと様々な準備が必要になると伺っており、それを極力避けるため劇場型にしました。

内田:利用者の反応はいかがでしょうか。

本田:いいと思います。初年度は準備日をきちんと取ってご予約されていた方が今年は準備日を減らしてご予約されるケースがかなり見られます。お客様にとって準備日のコスト削減につながっているのではと感じております。

加無木:ここはステージに立つとお客さんがアーティストを囲むような感じなんですね。下見に来られた方からは、観客の熱を感じやすく、アーティストとしてお客様と対峙するのに凄く気持ちいい会場だと評価を頂いています。

本田:色んな用途に使えるというアリーナ型の利点を削ってまで劇場型にしたのは、音楽をとことん強化しようと考えたからです。観客の皆様が何を喜ぶかを考えた時に一体感や近さがあったので、それらを突き詰めた結果がこの形ということです。もちろん音楽以外のイベントも大歓迎です。例えば今年もK-1を開催して頂きました。ただ音楽に対する強みはきちんとアピールしていこうと考えております。

内田:コンベンション利用の告知も見ましたが。

本田:有明はMICEを推進しているエリアでもあります。今回、国家戦略特区を活用させて頂いており、国や東京都が目指しているMICE誘致にも貢献して行こうと考えております。国際会議は舞台上に登壇者がいて観客の皆様が舞台を注視するという点において音楽コンサートと親和性が高い形式ですので、活躍できると考えております。

東京ガーデンシアター[前編]

円弧状に配置された3層のバルコニー席。側壁は木毛セメント板で吸音しつつ、ギザギザにして定在波にも配慮しているようだ。後壁は空気層をとったグラスウールで吸音しているとみられる

充実した配信・中継対応

内田:配信や中継も従来の会場より充実していると拝見したのですが。

本田:我々は50年先も活躍できる建物としてつくりました。実際には50年先はなかなか想像できませんが、少なくとも想像しうる近い未来、例えば10年先にどういう使われ方をするかと想像しました。そうした時、配信関係は今後益々増えて行くだろうと。我々が5年先、10年先と思っていた世界がコロナ禍でグッと前倒しされた感じで、今、配信や収録での利用率は高いです。

加無木:ここは常設の光回線を4本引いていまして、それを正副で2プラットフォームとしてお客様にご提供できます。更に、それとは別にMDFからシアター1Fの中継室まで独立した40芯の光ファイバーを敷設しています。ソケットからすぐに引っ張れるので中継が増えてきました。ビジネスイーサワイドなどの臨時光回線を、利用者様にお申込みいただいて放送局さんに直接送れます。それが可能なインフラが当シアターにはあります。

内田:4回線というのは外線という意味ですか?

加無木:そうです。それとは別に40芯があるので、お客様のニーズに応じて通信会社にお申込み頂き適宜工事をして頂けば、好きな回線を引き込むことができます。そうすると中継車にも対応できます。ここまでお客様に提供できる会場は少ないと思います。今までは使用頻度が不明でしたが、今は先ほど申し上げたように7割程度が光を使っています。配信だったら常設の回線を使ってください、プラットフォームをいっぱいお使いなら増設してください、中継ならもっと高品質の回線を引き込んで下さいと、お客様が選択できる状況にあります。あとシングルモードの光24回線を劇場にループで敷いていて、ご自由にお使いくださいって提供してます。

内田:各所にLANスイッチもあるんですか?

加無木:各所は光ケーブルで常時パッチになっていて、必要な所に挟み込める移動用のLANスイッチを用意しています。

内田:それはすごく便利そうですね。

加無木:ありがとうございます。お客様も内覧に来られると喜んで下さいます。

東京ガーデンシアター[前編]

中継室の機器架。各所に様々な配線が敷設されている

東京ガーデンシアター[前編]

綺麗に整えられた舞台袖の盤類

音響面の特徴

内田:シアターの音響面の特徴は何でしょうか?

寺田:ここはとても自由度の高い劇場だと思っています。いろいろな対応ができる工夫もあれば、設備にもなっていまして、催事内容は多少選ぶかと思いますが、持ち込みなしでもお使い頂けます。逆に、持ち込みの場合にも縛りが少なく快適にお使い頂けることが特徴だと思います。あとシアターが凄くデッドにつくられていまして、入った瞬間に分かるほどに吸音率が高いです。アリーナ独特のホワーンとした残響感がなくて、ここがとても広い空間だと認識しづらいという理由で舞台が近く感じられるのだと思います。システムチューナーさんが来られる催事が多いですが、彼らから低音の処理がすごく楽だというご意見を頂きます。大きな音量を出してもベースラインが埋もれない、低音楽器の仕事がちゃんと分かるほどのデッドな空間がいいねと言われることもあります。

内田:建築設計時にリクエストされたのですか?

加無木:ここは竹中工務店さんが設計されていて、その時点で建築音響のスペックが残響時間1秒でした。8,000人で1秒って信じられない値ですよね。

内田:本当ですか?驚きです。

加無木:ですよね。そんな流れで出来上がって、ホントにそうだと感じました。残響でぼやけないので3階バルコニー席とステージとでしゃべれます。

寺田:これ、ビックリされます。怒鳴らなくても普通に会話できます。

内田:その分、スピーカーシステムにはパワーが求められますね。

寺田:そうですね。ハウスのスピーカーは口径の小さなものを選んでいますので、空気が動いている感じまでには正直なりづらいですが、必要な音量は出ていると思っています。

内田:今回の機種選定で気を付けたことや狙ったことはありますか?

本田:ハウススピーカーに関しては、この会場規模では普通ラージスピーカーを選ぶと思いますが、我々はあえてこのサイズのスピーカーを選びました。ポイントは2つございまして、1つ目は持込の自由度はそのままにハウスのスピーカーでもきちんとした音が出せること。これをまず目指して欲しいとヤマハサウンドシステムさんにお願いしました。

内田:難しい目標ですね。

本田:有難いことにそれを実現して頂いたと思っています。ハウスのスピーカーを上に飛ばすことは、お客様の持ち込みに何ら支障なく、わざわざ外さずに済むことが一番のポイントだと思っております。ラージスピーカーを持ち込むお客様がマイナスからにならず少なくともゼロからのスタートを可能にして、ハウススピーカーを使って頂けるお客様にはプラスから始められるような音響にしたかった、これが1つ目です。もう1つはラージスピーカーで台数を少なくという考え方よりも、縦積みの複雑な客席形状に合わせてきめ細かく方向を合わせられるように考えたのが2つ目です。

加無木 :あと、各バルコニーの軒下に補助スピーカーを1ブロック3台ずつ入れて頂いて、ディレイをかけてバルコニーの一番奥のお客様にも音がきちんと届くようにヤマハサウンドシステムさんに苦労して頂きました。それもほんとに評判良くって、スピーカーを持ち込まれたお客様にもお使い頂いています。

当日設営、当日本番、当日撤去を目指して

寺田:あと、搬入口がものすごく近いんです。これは他のアリーナにはないアドバンテージだと思います。雨が降ってようが夏だろうが冬だろうが、舞台のすぐ横にトラックを直付けできます。状況によっては大型トラック4台ぐらいが同時に搬出入できるのはすごい強みです。

本田:早ければ午前中からリハーサルがはじめられるということですね。

内田:これまで運用されてきて、この先に対してのお考えがあればお聞かせいただけますか?

加無木:先ほどから本田が申し上げているように、1日で完結して本番日を増やすような手助けを我々が提供して、それによって稼働を上げていこうと考えています。お客様の選択肢を増やして、色んなやり方ができて、かつどう時間短縮をするのかも選べる状況をどんどん作っていきたいですね。

本田:我々の目指す姿は、平日はライブハウスの大きい版みたいな感じですかね。加無木が今言った当日で終わって帰るかたち。逆に土日は、今、割とアリーナツアーの一部に組み込んで頂いてます。なのでライブハウスからアリーナツアーまで、幅広くお客様の選択肢を増やせる箱なのかなと。それに我々もきちんとした形で応えていければ、また面白いコンセプトの会場になっていくのかなという気はしております。

内田:フル稼働できる日々が楽しみですね。

東京ガーデンシアター[前編]

最大11tトラックが4台入れる荷捌きスペース。中央のシャッターの向こう側が直ぐにステージ上手袖である。写真左側には客席側へのシャッターがある

Fs 96kHz駆動と秀逸なリミッター

内田:ここからはヤマハサウンドシステムの皆さんにも加わって頂きましたので、音響設備について具体的にお聞かせ頂けますか?

阿部:ミキサーはヤマハの「RIVAGE PM7」です。「RIVAGE PM」シリーズの中でDSPとサーフェイスが一体型の機種で、調整室に本卓として1台、FOHやモニター卓として移動型2台、合計3台を導入しました。I/Oボックスとは光ケーブルによってヤマハのTWINLANe規格で繋いでいます。出力は「RIVAGE PM7」のバスをHYFAX「LDM」マトリクスに入れて、その後にHYFAX「AMQ3」というFIRフィルタに繋がります。「AMQ3」はタップ数が16,384と多いのと、レイテンシーが最大1.7ミリ秒と少ないのが特徴です。その後はNEXOの「NXAMP」に行っていまして、そこまで全部サンプリング周波数96kHzで駆動しています。

内田:48kHzと96kHzでは音が随分違うのでは?

寺田:ここの劇場管理に入った時から96kHzのシステムでしたのでそれが普通になってしまって、ここにいると48kHzの音を忘れちゃいますね。

阿部:新しい「NXAMP4x4MK2」の発売がちょうど間に合って96kHz化ができました。

寺田:「NXAMP4x4MK2」のスピーカープロテクション機能が秀逸ですね、凄いです。昨日ちょっとフルパワー掛けてみようかってドーンと突っ込んだんですよ。アンプの稼働状態が分かるアプリNeMoでプロテクションがどれ位効いているのか見ていたら、フルプロテクションが掛かっても音量が上がった感じに聞こえたんですよ。わっ、凄いなこれ!まだ上がるの?って。その場にいた一同ビックリしました。ダイナミックEQを使用していると聞きましたが、そういう技術がここまで来てるのかと驚きましたね。これまでのアンプでリミッターが掛かった瞬間にフッと下がる感じが無く、まだ上がる感じなんです。精度の高いアンプですね。

内田:真っ先にリミッターを評価されるのは使っている人ならではですね。

加無木:突っ込む乗り込みさんもいらっしゃるんで、その時に守ってもらえる堅牢性がハウスのスピーカーには重要だと思います。その点もNEXOのシステムはアドバンテージがあると思いますね。

東京ガーデンシアター[前編]

舞台裏の音響架、各種回線のパッチパネルとI/Oボックス。架の背後に分電盤群が見える

東京ガーデンシアター[前編]

舞台裏に配置されたヤマハ「RIVAGE PM」のI/Oラック「RPio622」

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アンプ室のNEXO「NXAMP4x4MK2」

東京ガーデンシアター[前編]

アンプ室の機器類

隅々まで音を届ける
常設のスピーカーシステム

内田:メインアレイのNEXO「STMシリーズ」の印象はいかがですか?

寺田:会場規模にしては小ぶりな点は別として、とても素直な音がしていると思います。あとはホントに好みですね。NEXOはこの劇場に来るまであまり使ったり聞いたりしなかったのですが、日々ブラッシュアップされて現状に至って、今では使いやすいスピーカーだなと思っています。

内田:8,000席の客席を小ぶりなシステムでカバーするという難しい挑戦をされていますが、それには応えている感じですか?

寺田:そうですね。補助スピーカーもかなりの数入っていますので、その効果も相まってエリアカバーは完璧だと思います。

内田:補助スピーカーの機種は何ですか?

柳原:アンダーバルコニースピーカー(以後UBスピーカー)はNEXO「PS10U」です。1パレット毎に3台ずつ設置してます。

長谷:メインスピーカーの出す音圧とバランスが取れるパワーを持ったスピーカーじゃないと機能しないだろうと思い「PS10U」を提案しました。

寺田:割と至近距離にあるスピーカーなので必要十分なチョイスだったかなと思います。メインとの音のつながり的にも丁度良いサイズと思います。

東京ガーデンシアター[前編]
東京ガーデンシアター[前編]

メッシュ仕上げの天井内に配置されたアンダーバルコニースピーカーNEXO「PS10U」

内田:持ち込みのメインスピーカーに補助スピーカーを併用される場合に、音質の調整とか統一感はいかがですか?

寺田:持ち込まれたスピーカーのレイテンシーによってUBスピーカーのディレイタイムが合わないことが時々あって、UBスピーカー全体を10ms短くしてくれとか色んなリクエストが来てたんですね。当初は規定値から1系統ずつ数値を変更していたのですが、こんなに要望があるならもっと使い易くしようと、「AMQ3」の中に持込調整用のディレイ設定部をつくって、それをリンクして一括で数値を設定できるようにしました。

内田:UBスピーカーへのお客様からのリクエストが予想より多かったんですね。

寺田:メインスピーカーが両サイドの客席に対して見切れになるケースでは、本来よりも高いところにメインスピーカーを設置することがあるんです。その場合、軒下は蹴られてしまうことが多いのでUBスピーカーはよく使われます。慣れてきた業者さんはこのブロックとこのブロックだけ使いたいとか、ピンポイントで指定されるケースが増えてきてます。

内田:使われる方にも大分浸透してきていると。

寺田:ですね。一番上の第3バルコニーには、天井付近に「STM M28」のディレイスピーカーが設置されているんですが、第3バルコニーをどう考えるかも乗り込み業者様ごとに違っていて、持込のスピーカーを目一杯持ってきてメインスピーカーの音を聞かせるチームもあれば、第3バルコニーはここのスピーカーに完全に頼ってそれよりアリーナの音圧を上げたい業者様もいて、面白いですね。

東京ガーデンシアター[前編]

キャットウォーク下に設置されたシーリングスピーカーNEXO「GEO S1210」×3アレイ

東京ガーデンシアター[前編]

キャットウォーク下に設置された第3バルコニー補助スピーカーNEXO「STM M28」 (90°)アレイ

内田:他のブランドのスピーカーとの相性は?

寺田:大丈夫ですね。音質に関してのリクエストはほとんどないですね。

長谷:常設で補助スピーカーを設置しておいて、必要があればそれを使って頂けるようにするのが理想と考えて提案しました。無いとその都度、仮設で対応しなければならないので。色々と考えて提案したので、乗り込みさんから使わせて欲しいという要望が多いと聞くと嬉しいですね。あと、展示会等の催事用として、シーリングスピーカーを天井に分散配置しています。

内田:結構高い位置ですよね。

長谷:NEXO 「GEO S12」ラインアレイを入れてます。

柳原:片側3個所ずつ、アリーナ用に内側に向けて設置しています。先日伺った時はそれをガナリで使われていました。

寺田:バトンの操作盤にマイクを用意して、昇降時のアナウンスを出してるんですけど、場内全体に綺麗に聞こえますね。ここのガナリスピーカーは最高だねって乗り込み音響さんが感心してます。

東京ガーデンシアター[前編]

アリーナ最後方部から舞台を臨む。その距離、約36m

常設としても、仮設としても機能する充分な設備と工夫が施された「東京ガーデンシアター」。後編は、電源まわり、FIRフィルタの利点と課題、ネットワーク構成、映像関係等についてご紹介します。

筆者紹介

内田匡哉(うちだ・まさや)

内田匡哉(うちだ・まさや)
1970年東京都生まれ。日本大学大学院理工学研究科建築学専攻 博士前期課程修了。1995年「株式会社 永田音響設計」に入社、以降15年に渡り、ホール・劇場をはじめ会議施設・体育施設・教会など多数の新築・改修プロジェクトを担当。電気音響設備を中心に建築音響、防振・遮音、騒音制御に関する音響設計・音響コンサルティングに従事。2010年、同社を退社の後、2011年「内田音響設計室」を設立。 個人事業として音響コンサルタント業務を開始。現在は兵庫県芦屋市に拠点を移しさまざまなプロジェクトで手腕を発揮している。

 

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