MATRIXってどう使うの?
いろんな音を混ぜ合わせて、いろんなスピーカーに分配できるミキサー。このいろんなスピーカーに音を送るためにあるのが「バス(出力バス)」です。バスは音の通り道を表します。
このバスには、さまざまな種類があります。ステレオ(STEREO)、モノ(MONO)、ミックス(MIX)、マトリクス(MATRIX)、グループ(GROUP)、オグジュアリー(AUX)、そのほかいろいろ・・・
今回は、そんなバスの中でも、「MATRIX」のしくみを中心に説明します。
MATRIXバスとは?
MAIRIXバスは、ミキサーの音をまとめるステレオやMIXといったバスとは別に、これらのバスの音を必要に応じて更に組み合わせるものです。諸室への音声を分配するときに使用することが多くあります。
もし、MATRIXバスを使わず、STEREOやMIXバスだけを用いて各所に音を分配しようとすると、以下の図のように経路が非常に多く、ミキサーの操作がとても煩雑になってしまいます。
もしも入力を直接出力にアサインすると…?
そこで、MATRIXの出番です。まずは入力された音を適したバランスになるようにMIXバスでまとめます。そして、そのまとめた音をそれぞれのMATRIXバスに振り分けることで、ミキサーの操作・設定を簡単にすることができます。複数のMIXバスを用いることで、入力信号の種類に応じたミックスのかたまりを作ることができ、場所に応じて必要な音を選択して出力することができます。
MIXバスごとに混ぜ合わせた音声を、必要なMATRIXバスに分配している状態
下の図はステージの音をMIXバスにまとめ、そのまとめた音を、MATRIXバスを用いてプロセニアムスピーカー、サイドカラムスピーカーや補助スピーカーにそれぞれ適した音量で分配している例です。
それぞれのスピーカーに必要な音をまとめて振り分けている様子
単に音声を分岐させるだけでなく、複数のバスの音声もまとめることができるため、使い方次第でさまざまなことに活用できます。
ミキサーのMATRIXバス
MIXバスからMATRIXバスに送る
では、ヤマハのデジタルミキシングコンソール「QL1」の画面を見てみましょう。
この写真はMATRIX1の設定画面です。(画面上ではMATRIXを省略してMTRXやMTと表記しています。)
点線で囲った「FROM MIX」のツマミを操作することで、MATRIX1のバスに、どのMIXバスからどのくらい音を送るかを設定できます。前の章の図でいう、オレンジの矢印に該当します。
また、「QL1」は、MIXバスやSTEREOバスだけでなく、インプットチャンネルの信号を直接MATRIXバスに送ることもできます。
インプットチャンネルからMATRIXバスに直接送る
インプットチャンネル1の設定を変更する画面を下に示します。
点線で囲った「MATRIX」ツマミを操作するとインプットチャンネル1の音声を任意のMATRIXバスに送ることができます。MATRIXバスをMIXバスのように使うこともできるのですね。これは近年のデジタルミキサーならではの便利機能です。
もっと知りたい!…なぜMATRIXという名前?
音響から離れてみると、「MATRIX」という単語は、数学で言う「行列」という意味を持つ英語です。数学の行列はこのようなものです。
なぜ音響機器で「行列」なのでしょうか。
ヒントを得るために、すこし昔に遡って、アナログミキサーの例を見てみましょう。
こちらがアナログミキサーのMTARIXセクションです。
なにやらツマミがたくさんあって、一見むずかしそうですよね。
どのような音の流れになっているか、見てみましょう。
縦方向に各AUXバス(「QL1」でいうところのMIXバス)の信号が流れており、横方向に各MATRIXバスの信号が流れています。縦横それぞれのバスの交点にあるツマミを操作することによって、AUXバスごとにMATRIXバスへ送る音声のレベルを決めることができます。
この図は先程の行列に似たような並び方に見えますね。
このように、AUX・MIX・GROUPなどのバスに対して、それらをまとめるためのバスが直交し、行列のような形になっているため、「MATRIX」という名前なのです。
まとめ
いかがでしたか?ミキサーのMATRIXバスについてご紹介しました。このMATRIXバスは工夫次第でさまざまな用途で使用でき、円滑なオペレーションを役立つ機能です。
この記事が皆さんのオペレーションにお役に立てば幸いです。
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