ヤマハサウンドシステム株式会社

やまぎん県民ホール 様 / 劇場 / 山形県
Japan / Yamagata January 2022

やまぎん県民ホール 様

2020年5月、JR山形駅西口に山形の新たな文化芸術拠点「やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)」が開館しました。2001席という東北地方屈指の収容人数を誇る大ホールの音響設備工事の施工をヤマハサウンドシステム・山形パナソニック特定建設工事共同企業体が担当しました。ホールの音響システムの概要や使い勝手について、そしてヤマハサウンドシステムの仕事ぶりなどについて、やまぎん県民ホール 支配人 宇山 友思 氏、同 音響担当 推名 紘子 氏、同 音響担当 鈴木 和磨 氏にお話をうかがいました。

やまぎん県民ホール 様

やまぎん県民ホール 支配人 宇山 友思 氏(右から2番目)
同 音響担当 推名 紘子 氏(左から2番目) 
同 音響担当 鈴木 和磨 氏(左端)
ヤマハサウンドシステム システム設計室 高橋杏奈(右端)
同 技術部東京技術2課 大澤雄三(リモート参加)

芸術・文化活動の拠点であり、
山形の魅力の発信地でもある「やまぎん県民ホール」

● 「やまぎん県民ホール」についてご紹介ください。

宇山支配人:
「やまぎん県民ホール」は山形県が設置した新たな文化施設ですが、その目的は主に3点あります。1つは山形県民の新たな芸術・文化活動の拠点となること。2つめが山形県の魅力発信の拠点となること。そして3つめが当館の催し物などを通じて多種多様な人の交流を生み出し、山形の経済の活性化に資することです。

やまぎん県民ホール 様

ホール外観

宇山支配人:
大ホールはプロセニアム形式と音響反射板形式の両方に対応し、オーケストラピットの設営も行えるなど、東北地方屈指の高品質な芸術・文化の発信拠点としての機能を備えています。このホールのキャパシティは2001席ですが、東北6県で2000人規模のホールは数えるほどしかありません。

やまぎん県民ホール 様

大ホール

やまぎん県民ホール 様

支配人 宇山 友思 氏

● 材木の質感がとても美しいですね。

宇山支配人:
ありがとうございます。材木は大ホールだけでなく館内全体でふんだんに使われていますが、ほとんど県産材です。他にも館内には、山形が世界に誇る技術や伝統文化が用いられており、山形の魅力をそこかしこで感じ取っていただけます。
たとえば大ホールの緞帳やロビーなどのカーペットは山形県山辺町にある世界的なカーペットメーカー、株式会社オリエンタルカーペットの「山形緞通」で、これは皇居や迎賓館、バチカン宮殿などでも採用されています。緞帳は「紅」-BENI-という作品で、意匠はフェラーリのデザインなどを手掛けた山形市出身の奥山清行氏によるものです。客席の椅子は天童木工の技術を使用し、座面には米沢織物の技法で織られた生地に庄内刺し子の紋様を織り込むなど、山形県各地の伝統が感じられます。このように「やまぎん県民ホール」は、山形の伝統と文化のショールームとしての役割も果たしています。

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天童木工の技術が生かされた大ホールの椅子

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ロビーのカーペットは山形県のオリエンタルカーペット社製

卓越した大ホールの響きと、その響きを活かしたPA機器による拡声

●「やまぎん県民ホール」の音響面の特徴を教えてください。

推名氏:
このホールは反響板設置時で1.9秒、非設置時でも1.6秒ほどの残響時間があります。低音の響きも豊かですし、高音の伸びも素晴らしく、舞台の生声は3階席の後ろまで十分に届きます。全国屈指の卓越した豊かな音響だと思います。

やまぎん県民ホール 様

大ホール

やまぎん県民ホール 様

音響担当 推名 紘子 氏

宇山支配人:
私自身、長年ホールで仕事をしていて、日本中のホールに行きますが、このホールの生音の響きは本当に素晴らしくて、日本でもトップクラスの響きだと確信しています。しかも、ただ残響が長いというだけではなくて、非常にクリアで、1階席から3階席まで、どこで聞いても音のバラつきが極めて少ない。舞台上でも客席でも同じ鳴り方をするんです。非常に質の高い響きだと思います。

● 音響機器についてはいかがでしょうか。

鈴木氏:
メインの調整卓にはヤマハの最新デジタルミキシングシステム「RIVAGE PM7」が導入されています。私はヤマハの「QLシリーズ」を使ったことがあって、かなり音が良いと感じていましたが、その上位機種なので「どんな音がするんだろう」とワクワクしながら触わりましたが、やっぱり全然違いましたね。いい音が出ますので、ホールの一番後ろの音響調整室でも作業しやすいです。

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音響担当 鈴木 和磨 氏

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メイン調整卓として「RIVAGE PM7」が設置されている音響調整室

● スピーカーなどの出力系についてはいかがでしょうか。

推名氏:
さきほどホールの生の響きが素晴らしいと申し上げましたが、PAで拡声した時の音響も素晴らしく、生の響きに近い豊かな低音の響きがあって「あ、生音と同じだな」と思いました。

宇山支配人:
このホールは音響システムのクオリティも高く、PAを入れても生音でも、同じ豊かな響きと明瞭度を兼ね備えた音が鳴る。そこがこのホールの音響の最大の特徴だと思います。

● 音楽以外の用途ではいかがでしょうか。

鈴木氏:
残響時間が長いため、残響が音の明瞭度に影響してしまうという面はありますが、このホールは補助スピーカーが充実していますので、明瞭度を欠くことなく、講演会や落語、スピーチなどの公演でも安心して使えます。

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3階バルコニー用の補助スピーカー

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アンダーバルコニーに設置された補助スピーカー

● HYFAXのマトリクスコントローラー「LDM1」を導入いただきましたが、使い勝手はいかがでしょうか。

鈴木氏:
「LDM1」はホールのいろんなところに音を返してほしいと言われた時、その場でスムーズに信号を送り出せるのが便利です。アナログミキサーのマトリクスから送るような感覚で使えて、しかも膨大なチャンネル数が出せます。

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音響調整室に設置されたHYFAXのマトリクスコントローラー「LDM1」

● トークバック専用のスピーカーも設置されていますね。

推名氏:
舞台で最初に電源を入れる音響ラックがあるんですけども、そのスイッチを入れるだけで、トークバック用のマイクが使えるようになっています。そして、そのトークバックの拡声用のスピーカーが館内の1階席用、2階席用、3階席用とあるサイドスピーカーの隙間や、舞台上のいろんな場所に設置されています。ですから誰かがすのこで作業をしていても、舞台袖で「今からバトンが動きます」と言えば、すぐに伝わります。このホールは特にバトンが多いので、たくさん吊りものを使う催し物でも安全を確保しながらスムーズに仕込みが行えるように、トークバック専用スピーカーが導入されています。

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舞台下手袖に用意されたトークバックのシステム

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サイドカラムに設置されたトークバック専用スピーカー(白いホーン型スピーカー)とブザーや影アナの拡声用のアナウンススピーカー(黒いスピーカー)
アナウンススピーカーはヤマハ「CBR12」、前席用と後席用で構成している

ヤマハサウンドシステムはソフト、ハードの両面から手厚くサポートしてくれる

● ここからは音響機器のシステム構築や施工管理にかかわったヤマハサウンドシステム システム設計室 高橋杏奈と技術部東京技術2課 大澤雄三も参加させていただきます。高橋さんはシステム構築をする上で特に力を入れた点はありますか。

高橋:
さきほど「RIVAGE PM7」を入れて良かった、音質がいい、などというお話をうかがい、とても嬉しいです。私としては最初からDanteの96kHzでシステムを動作させたいという思いがありました。発注図は調整卓が「CL5」だったのですが、設計の途中段階で「RIVAGE PM7」が発売されましたので、全体予算を調整しつつ「RIVAGE PM7」を中心にシステムを組み替えて96kHzでの稼動を実現しました。メイン系で採用したd&b audiotechnikのスピーカーの特性もあり、非常にいい響きに仕上がったと思っています。

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ヤマハサウンドシステム システム設計室 高橋杏奈

● その他にこだわった点はありますか。

高橋:
バックアップですね。万が一デジタル回線で何かがあった時のために、アナログ回線をアンプに直接入力することで音が出せるようなシステムを組んでいます。そのバックアップ専用のミキサーも用意してあります。もう1つはファンノイズ対策です。ファンノイズが最も大きいのはパワーアンプなので、運営系のスピーカーを駆動するアンプも含めて全てのアンプをアンプ室に集約しました。通常なら運営系のアンプは舞台袖に置くことが多いのですが徹底しました。

やまぎん県民ホール 様

アンプ室

やまぎん県民ホール 様

舞台下手袖の音響ラック

● 大澤さんは、どんな部分を作業されたのでしょうか。

大澤:
d&b audiotechnikのスピーカーのシミュレーションは幾度か提案させていただき協議を行いました。その結果、自分でいうのも何ですが、素晴らしい音になったと思っています。
今回は山形パナソニック株式会社様と共同企業体という形で工事を進めました。私は共同企業体として工事を進めるのは初めての経験でしたが、お互いの力を出し合うことができ、いい仕事ができたと思っています。普段は現場代理人としてひとりで現場運営をするのですが、地元に強い鈴木様とふたり体制で進めることができ、心強かったです。ともに工事を担当した鈴木様をはじめ、山形パナソニック株式会社の皆さまには、この場をかりて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

やまぎん県民ホール 様

ヤマハサウンドシステム 技術部東京技術2課 大澤雄三(リモート参加)

● ホールの方々から見てヤマハサウンドシステムの働きぶりはいかがですか。

推名氏:
私はこれまでクラシックの専門ホールでずっとアナログ卓をオペレートしてきたので、ここまで大規模なシステムでデジタル卓を扱う経験はありませんでした。ですから「え?こんなことも知らないの」と言われても仕方ないのに、ヤマハサウンドシステムの方々は、そんな私にも真摯に向き合っていただきました。特に高橋さんにはみっちり教えていただき感謝しています。その時に書いていただいた手書きのメモを今も持っていて、たまに見返しています。

鈴木氏:
わざわざDanteの講師を呼んでDanteシステムの勉強会を開いていただき大変勉強になりました。また、以前インカムでトラブルがあったとき、ヤマハサウンドシステムさんに連絡したら代替機を東京から急いで持って来ていただき、たいへん助かりました。すぐに動いてくださるアクティブ面も非常に頼りになります。今後とも一緒に歩んでいっていただけたらなと思っております。

● 宇山支配人から見てヤマハサウンドシステムの働きぶりはどんな印象ですか。

宇山支配人:
開館して1年半ほど経ちますが、大きなトラブルもなく毎日安心して本番がこなせているのは、我々を支えてくださっているヤマハサウンドシステムさんの働きがあるからだと感謝しています。また、今日スタッフとの会話の様子を見ていてヤマハサウンドシステムさんと当館のスタッフとの間に、しっかりと厚い信頼関係ができているようにお見受けしました。今後も安心してお任せしたいと思います。

やまぎん県民ホール 様

● 最後に「やまぎん県民ホール」の今後の展望をお聞かせください。

宇山支配人:
当館のオープンと同時にコロナ禍となり、数多くの公演がなくなってしまいましたので、やっとスタートラインに立てたというところです。大御所アーティストが全国ツアーする時、通常なら東京・名古屋・大阪、そして福岡・札幌、そこに加えて東北では今は仙台ですが、これからは「山形にいいホールがあるから、山形でやろうよ」と言われるようになるのが我々の夢です。また日本トップクラスのプロオーケストラである、山形交響楽団さんと一緒に運営していますので、その演奏を聴きに東京からお客さんが来ることも目指したいですね。JR山形駅が非常に近いので、それも可能だと思っています。こういったことを積み重ねながら、この山形の地から文化を発信していきたいと思います。

● 本日はご多忙の中、ありがとうございました。

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