ヤマハサウンドシステム株式会社

竹田市総合文化ホール「グランツたけた」様 / 大分 /
Japan / OITA May. 2019

2018年10月7日にオープンした竹田市総合文化ホール「グランツたけた」は、2012年に竹田市を襲った九州北部豪雨災害により被災し閉館した「竹田市文化会館」の後継施設で、竹田市の新たな音楽文化の拠点となるホールです。このたびヤマハサウンドシステムは、「グランツたけた」のホール音響設備、舞台連絡設備の工事を担当しました。音響システムのコンセプトや実際の使い勝手などについて、竹田市役所文化政策課竹田市総合文化ホール「グランツたけた」課長兼館長
山口誠氏(取材当時)、制作 鈴木陽介氏、施設マネージャー 小島聡太氏にお話をうかがいました。

竹田市総合文化ホール「グランツたけた」様

「グランツたけた」施設マネージャー 小島聡太氏(写真左)、館長 山口誠氏(写真中央)、 制作 鈴木陽介氏(写真右)
「グランツたけた」施設マネージャー 小島聡太氏(写真左)、館長 山口誠氏(写真中央)、 制作 鈴木陽介氏(写真右)

「グランツたけた」
施設マネージャー 小島聡太氏(写真左)、
館長 山口誠氏(写真中央)、
制作 鈴木陽介氏(写真右)

● 最初に「グランツたけた」についてお教えください。

山口氏:
以前、この場所には「竹田市文化会館」という、約40年にわたって竹田市民に愛されてきた1000席規模のホールがありました。しかし残念ながら平成24年7月12日の九州北部豪雨災害で被災し、閉館を余儀なくされました。その後しばらくは市の中央にはホールがなかったのですが、多くの市民から、やはり同じ場所にホールがほしいという声があがり、災害への安全性を担保した上で、竹田市総合文化ホール「グランツたけた」が建設され、ト 2018年 5月、同じ地に完成しました。

● 「グランツたけた」の概要についてお教えください。

山口氏:
広さは延べ約4900平方メートル。収容人数713人(固定席696席)の大ホール「廉太郎ホール」と、収容人数275人(可動式客席170席)の多目的ホール「キナーレ」、さらに楽屋や市民ラウンジ、作品展示スペースとして活用できる木柱回廊や木柱大広間などを整備した施設となっています。

「グランツたけた」外観
「グランツたけた」外観

● この施設は木材がたくさん使われており、非常に暖かい雰囲気ですね。

山口氏:
木をふんだんに使うことで、木の温かみを生かしたホールとなりました。竹田市はかなりの部分を山間部が占めており、林業も盛んで製材所が市内にいくつかあります。この施設も大分県産の木材を何割か使っており、竹田市らしいホールができたと思います。

「グランツたけた」内にある、市民が自由に使うことができるラウンジ。木材がふんだんに使用されている

「グランツたけた」内にある、市民が自由に使うことができるラウンジ。木材がふんだんに使用されている

● ホールとしては、どんな趣旨で作られているのでしょうか。

山口氏:
竹田市は日本を代表する音楽家、瀧廉太郎ゆかりの地であり、彼の代表曲である『荒城の月』は、この地の岡城が作曲のモチーフになったに違いないと、昔から竹田市民は思っています。また竹田市では以前から瀧廉太郎を記念した音楽祭が開催されており今年73年目を数えます。現在では「瀧廉太郎記念 全日本高等学校声楽コンクール」として開催されています。「グランツたけた」の大ホールは、その瀧廉太郎にちなみまして「廉太郎ホール」と名付けられました。コンクールも昨年からはこのホールで開催されています。

廉太郎ホールの入口には瀧廉太郎の胸像が設置されている

廉太郎ホールの入口には瀧廉太郎の胸像が設置されている

● 「廉太郎ホール」にはどんな特長があるのでしょうか。

山口氏:
市民のための文化ホールですから、様々な用途に使用できる多目的ホールでなくてはなりません。しかし、その一方で瀧廉太郎の名前を掲げた日本有数の声楽のコンクールも行われる「声楽の聖地」でもあるので、多目的ホールではありながら建築音響面では「声楽の生の声」が一番美しく響くように設計をしてくださいとお願いしました。

竹田市役所文化政策課竹田市総合文化ホール
「グランツたけた」課長兼館長 山口誠氏
竹田市役所文化政策課竹田市総合文化ホール
「グランツたけた」課長兼館長 山口誠氏

● 声楽に最適な響きを実現し、他の用途の時には響きを抑える工夫をしているということですね。

小島氏:
そうです。実際、「廉太郎ホール」は、生の声の響きが素晴らしく、我々としても響きが自慢できるホールです。一方、講演会などで使用する場合は、遮音カーテンなどをつかって響きをコントロールしていますし、用途に合わせてスピーカーの選択や移動スピーカーなどの設置などで、聴きやすい音のサービスをしています。

「グランツたけた」施設マネージャー 小島聡太氏
「グランツたけた」施設マネージャー 小島聡太氏

● 「廉太郎ホール」には、音響機器としてはどのような機材が導入されているのでしょうか。

鈴木氏:
メインの音響調整卓にはヤマハのデジタルミキサー「QL5」を採用しています。そして舞台袖の音響操作ワゴンには小型のデジタルミキサー「QL1」を使っています。

音響室に設置されたヤマハ「QL5」
音響室に設置されたヤマハ「QL5」
舞台袖に置かれている音響操作ワゴンの上にヤマハ「QL1」が設置されている

舞台袖に置かれている音響操作ワゴンの上にヤマハ「QL1」が設置されている

● デジタルミキサーを実際に使用してみての感想をお聞かせください。

鈴木氏:
PAシステムのデジタル化によって、コンパクトかつ必要最小限でありながら、様々な用途に対応するシステムが構築できており、運用に利便性を感じています。なにより場所を取らない「QL1」は使い勝手が良くて助かります。これがアナログミキサーだったらずっとサイズが大きいでしょうし、音声信号の配線もアナログだったらちょっと動かすだけで大変だったと思います。

「グランツたけた」制作 鈴木陽介氏
「グランツたけた」制作 鈴木陽介氏

● 音声はデジタル伝送ということですが、デジタルオーディオネットワークのDante で行っているのでしょうか。

小島氏:
はい。Danteが採用されています。LANケーブルでつなげばいいので非常に楽なんです。袖の「QL1」を上手側に持って行くのも簡単ですし、さらに客席に「QL1」を持ち出して使う場合もLANケーブルをつなげば、袖で操作している時と全く同じようにできるので、とても重宝しています。

舞台袖に設置された音響操作ワゴン Danteで接続されている

舞台袖に設置された音響操作ワゴン Danteで接続されている

音響室のラックに設置されたLANスイッチ LANスイッチは音響室、アンプ室に設置されDante ネットワークを構築している

音響室のラックに設置されたLANスイッチ LANスイッチは音響室、アンプ室に設置されDante ネットワークを構築している

ステージの上階のアンプ室にもLANスイッチが設置され、舞台や音響室から音声が伝送される

ステージの上階のアンプ室にもLANスイッチが設置され、舞台や音響室から音声が伝送される

アンプ室にはヤマハの「DME64N」やNEXOのコントローラー「DTD-I-N」などのプロセッサー類も設置されている

アンプ室にはヤマハの「DME64N」やNEXOのコントローラー「DTD-I-N」などのプロセッサー類も設置されている

● 次にスピーカーについて教えてください。「廉太郎ホール」ではプロセニアムスピーカーとしてNEXOの「PS15U」をお使いいただいています。

鈴木氏:
声楽の生の声が良く響くように設計されたホールですので、PAで音を増幅すると、音が響きすぎて聞こえづらい点があります。当ホールはプロセニアムスピーカーにNEXO「PS15U」、サイドスピーカーに「PS15U」+「LS18」が採用され、シンプルなスピーカーシステムがゆえ響きすぎることなく、パワフルですので十分な音量でクリアな拡声ができます。さらにサイドバルコニー席にはヤマハの「CBR10」を、またアンダーバルコニースピーカーには「VXC5FW」を使っています。

プロセニアムスピーカーにはNEXO 「PS15U」を導入。反射板使用時はスピーカーを天井裏に格納可能

プロセニアムスピーカーにはNEXO 「PS15U」を導入。反射板使用時はスピーカーを天井裏に格納可能

サイドバルコニー席に採用されているヤマハ「CBR10」
サイドバルコニー席に採用されているヤマハ「CBR10」
アンダーバルコニーに採用されているヤマハ「VXC5FW」(設置面の同色に塗装されている)
アンダーバルコニーに採用されているヤマハ「VXC5FW」(設置面の同色に塗装されている)

● 次に多目的ホール「キナーレ」についてお聞かせください。

小島氏:
ここは最初から、展示会や立食パーティー、さらに会議から演劇、映画まで、何でもできる空間として設計されましたが、実際に稼動してみると、会議、式典、そのあとの懇親会のような立食パーティーといった用途で使われることが多いです。また最近の会議はプロジェクターの映像が入ってきますので、音響だけでなく映像利用の仕込みもスムーズにできるように工夫しています。

木材を多用した多目的ホール「キナーレ」
木材を多用した多目的ホール「キナーレ」

● 多目的ホール「キナーレ」でもヤマハ「QL1」を使われていますね。

小島氏:
はい。ミキサーが大ホールの袖と同じく「QL1」、そしてスピーカーはヤマハ「DBR12」を2本、というのが基本的なシステムです。スピーカーの位置は催しものによって変更します。映像中心の催しならプロジェクターのスクリーンに近づけますし、お話が中心であれば前に出したりします。その都度ケーブルも引き回しますが、ここには壁面に3カ所コネクター盤が用意されているので、一番近いところから線を引くことができ、非常に便利です。

多目的ホール「キナーレ」にはミキサーとしてヤマハ「QL1」が導入されている

多目的ホール「キナーレ」にはミキサーとしてヤマハ「QL1」が導入されている

多目的ホール「キナーレ」の3カ所の壁面に用意されたコネクター盤

多目的ホール「キナーレ」の3カ所の壁面に用意されたコネクター盤

多目的ホール「キナーレ」のスピーカーにはパワードスピーカーのヤマハ「DBR12」を導入

多目的ホール「キナーレ」のスピーカーにはパワードスピーカーのヤマハ「DBR12」を導入

● 小ホールでもデジタルミキサーを導入した理由はどんなところにあるのでしょうか。

小島氏:
キャパシティとしてはアナログ卓でもよかったのですが、デジタルミキサーであればよく使う設定をシーンとしてメモリーしておけるので便利です。例えば最近はここで映画の上映をしています。その場合5.1チャンネルのサラウンドで音声を再生しますが、それらの設定も毎回ゼロから組み上げるのではなく、シーンを設定してあって、ワンプッシュで設定は立ち上げられます。それとなんといっても、「廉太郎ホール」と同じミキサーなので迷わず使えます。万一どちらかのホールのミキサーが故障しても、入れ替えて運用できる、という安全面も含めて、安心して利用できます。

● ヤマハサウンドシステムは「グランツたけた」のホール音響設備、舞台連絡設備の工事を担当いたしましたが、感想をお聞かせください。

小島氏:
正直言ってヤマハサウンドシステムさんには、ずっと頼りっぱなしの感じです(笑)。

鈴木氏:
納入してもらった機材のことに限らず新たな相談をしても、より良い方法を提案していただいています。

小島氏:
先ほどお話しした「キナーレ」での映画上映に関しても、最初は映画再生用の機材が充分ではなかったので、お客様から「ちょっと音が聴こえづらい」、「セリフが分かりづらい」といった声がありました。それでヤマハサウンドシステムさんに相談して、ここで5.1チャンネルのサラウンド再生を行うなら、このような機材がいいのではないか、とアドバイスをもらい、それをベースとして映画用のシステムを構築しました。その結果、今はもう映画の音響もバッチリです(笑)。

山口氏:
ですから、何か困ったときには取りあえずヤマハサウンドシステムさんに、お願いする、という形になっています。それにヤマハサウンドシステムさんは、フットワークもいいですね。いつも福岡や東京から竹田市まで、よく来てくださいます。

● 今後「グランツたけた」を、どんなホールにしていきたいか、最後に一言ずつお願いします。

鈴木氏:
「グランツたけた」はなんといっても大ホールの響きが一番の自慢ですので、より多くの方にこの響きを味わっていただきたいと思います。今までもバリトン歌手の渡辺弘樹さんや、ジャズピアニストのスガダイローさんが、このホールで素晴らしい演奏をして、とてもいい響きを聴かせてくださいました。竹田にはアマチュアの合唱団がたくさんありますが、いつかここで歌うのが夢だと言ってくださるかたもいらっしゃいます。この「響き」が多くの方に認知され、聴きに来てくださる方が増えるといいなと思っています。

「グランツたけた」はなんといっても大ホールの響きが一番の自慢ですので、より多くの方にこの響きを味わっていただきたいと思います。今までもバリトン歌手の渡辺弘樹さんや、ジャズピアニストのスガダイローさんが、このホールで素晴らしい演奏をして、とてもいい響きを聴かせてくださいました。竹田にはアマチュアの合唱団がたくさんありますが、いつかここで歌うのが夢だと言ってくださるかたもいらっしゃいます。この「響き」が多くの方に認知され、聴きに来てくださる方が増えるといいなと思っています。

● 小島さんはいかがでしょうか。

小島氏:
九州には、近隣にもいろんなホールがありますが、「グランツたけた」には、ここにしかない「響き」の良さがあるので、特に声楽やクラシックに関しては、「グランツたけた」にぜひ来てくださいと言いたいですし、それに見合うだけの響きは十分持っていると自負しています。

● 最後に館長の山口さん、一言お願いします。

山口氏:
「グランツたけた」は、竹田市の「音楽のまちづくり」の拠点になる場所です。以前は貸し館の業務が多かったのでが、これからはクラシックからポピュラーコンサートまで、さまざまな自主企画をやっていきたいと思います。また、ホールに来ていただくことも大切ですが、集客ばかりではなくてお客様を作り出す「創客」も大切だと思っています。ですからホールから出て行って「グランツたけた」の魅力を届けるようなアウトリーチの活動もしていきたいと思います。さらにアーティストの方にも長期滞在していただいて、ここでリハーサルして最終的にレコーディングする、その間は市内にご滞在いただくといった、アーティスト・イン・レジデンス的な企画も目指しています。温泉も、美味しい食べ物もありますから、ここに籠もって音楽を作りませんか、と。いずれは催しがなくても、自然と市民の方々が集まってくる、そういった場所にしていきたいですね。

本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございました。

【設計監理】有限会社 香山壽夫建築研究所
【施工】西松・松井特定建設工事共同企業体

竹田市総合文化ホール「グランツたけた」

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