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東京国際フォーラム 様 / 東京
Japan / Tokyo Apr. 2026
東京国際フォーラム 様

首都東京の中心・丸の内に位置するコンベンション&アートセンター「東京国際フォーラム」。5,012席を有する国内最大級のホールAをはじめ、多彩な催事に対応する8つのホールと多数の会議室を備えています。ヤマハサウンドシステムは「東京国際フォーラム」の音響システムにおいて、設計・施工から保守までを担当。ホールの音響システムの概要や改修について、株式会社東京国際フォーラム 川邊 貴之氏と有信 智史氏、ならびに舞台設備の運営管理を担当する株式会社パシフィックアートセンターの高松 誠一氏、立川 大介氏にお話をうかがいました。

東京国際フォーラム 様

株式会社東京国際フォーラム
施設部 施設課 課長代理 川邊 貴之 氏(前列左端)
同 施設部 施設課 主任 有信 智史 氏 (前列左から2番目)

株式会社パシフィックアートセンター
東京国際フォーラム 音響グループ 
高松 誠一 氏(前列右から2番目)
同 東京国際フォーラムエリア エリアマネージャー
立川 大介 氏 (前列右端)

ヤマハサウンドシステム株式会社
生産管理部生産管理課 熊崎 勝彦(後列右)
同 設計部システム設計2課 髙橋 杏奈(後列左)

年間約2,300万人が行き交う都市型MICE施設「東京国際フォーラム」

● 最初に「東京国際フォーラム」について教えてください。

有信氏:
「東京国際フォーラム」は大小8つのホール、31の会議室、ガラス棟などで構成される都心型MICE施設です。催事数は年間で約4,000件、来場者は約2,300万人にのぼります。また、地下のコンコースが東京駅と有楽町駅に直結しており、立地面・アクセス面の双方で高い利便性を備えています。

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● 年間に約4,000件のイベントとは、すごい稼働率ですね。

有信氏:
おかげさまでホールAとホールCはほぼ100%の稼働率で、予約は2年先まで承っております。ホールAとホールCではコンサートの開催が多い一方で、その他のホールや会議室では、国際会議や学会、展示会など、さまざまな催事が同時並行で行われています。

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株式会社東京国際フォーラム 施設部 施設課 主任 有信 智史 氏

● 多くの催事をこなしながら高いクオリティを維持されていますが、どのような点を重視されていますか。

川邊氏:
一言で言えば「予防保全」です。問題が起きてから対応するのではなく、トラブルを未然に防ぐことが重要だと考えています。弊社の社員は約60名ですが、株式会社パシフィックアートセンターの方々をはじめ、現場の技術的な運用管理を担っていただいているパートナー企業も含めると、数百人規模のプロフェッショナルが常駐し、この「東京国際フォーラム」を支えています。そうした現場スタッフから寄せられるきめ細やかな点検報告をもとに、トラブルに至る前の劣化の兆候を捉え、先手を打った対応を行っています。また、万一トラブルが発生した場合でも、ヤマハサウンドシステムさんのような専門業者が迅速に対応してくれる体制を整えておくことも重要です。こうした信頼関係こそが、安定した運用を支える基盤だと考えています。

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株式会社東京国際フォーラム 施設部 施設課 課長代理 川邊 貴之 氏

5,012席を有する「ホールA」―その巨大空間の響きを支援するヤマハの音場支援システム「AFC」

● ホールAについてうかがいます。国内屈指の5,012席を誇る大規模なホールですが、どのような用途で使用されているのでしょうか。

高松氏:
ホールAはいわば“東京国際フォーラムの顔”となる存在です。利用用途としては、コンサートなどの音楽系催事が約7割を占め、残りは学会や株主総会、学校行事など、多目的に使用されています。コンサートについても、ポピュラー音楽からクラシックまで、幅広いジャンルに対応しています。

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株式会社パシフィックアートセンター 東京国際フォーラム 音響グループ 高松 誠一 氏

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ホールA

● 音響的にはホールAはどんな響きなのでしょうか。

高松氏:
多目的な用途に応えるため、スピーチの明瞭性を重視し、空間サイズに対し響きを抑えた、比較的デッドな音響設計となっています。

● 響きが少ないと、クラシック系の演奏では不利になることもあるのではないでしょうか。

立川氏:
通常のセッティングでは響きは控えめですが、音楽公演などで響きを増やしたい場合には、まず反響板を使います。それでもさらに響きが必要な場合には、ヤマハの音場支援システム「AFC」を使用します。「AFC」は開館当初から導入されており、客席全体の響きをきめ細かくコントロールするため、専用マイクとスピーカーを客席壁面に分散配置しています。これまでにシステム更新を重ねながら運用しており、現在では「AFC」はこのホールに欠かせない存在となっています。響きの音質も非常に自然で、以前は難しかったLRの定位感もしっかりと表現できるようになりました。

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株式会社パシフィックアートセンター 東京国際フォーラムエリア エリアマネージャー 立川 大介 氏

● 「AFC」を使用する場合と使用しない場合とでは、響きに違いはありますか。

立川氏:
かなり違いますね。「AFC」をONにすると、1階席や2階席の後方でも生音がぐっと近づき、音の空間に包み込まれるような感覚になります。主催者の方に「AFC」をご説明する際には、ON/OFFを切り替えて実際に体験していただくのですが、多くの場合、とても驚かれます。中には「これなら後方席までS席として販売できますね」と言われることもあります。

● 具体的には「AFC」を、どのように運用していますか。

高松氏:
以前の世代では調整室からの操作に限られていましたが、現在はワイヤレス化され、タブレット端末を持って客席を移動しながら、その場で響きを聴いて調整しています。現場でアーティストや指揮者と確認しながら理想の響きを追求できるため、非常に便利です。また「AFC」の設定をメモリーできるようになったことで、運用面での利便性が高まりました。ここでよく演奏する指揮者の方から「前回のデータある?」と聞かれることもありますが、瞬時に前回の設定が再現できます。

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「AFC」制御用コントローラー

● クラシック以外の音楽でも「AFC」を使うこともあるのでしょうか。

高松氏:
最近ではポップス系の公演でも「AFC」を使用されるケースが増えてきました。以前の「AFC」はホール内に設置したマイクからの音声入力に限られていましたが、現在はミキサーからの出力を直接入力できるようになっています。それにより、PAを使ったコンサートでもホールの自然な響きを加えることができ、より豊かで自然な響きが演出できるようになりました。

卓越した音質と、小柄な方でも舞台を見渡せる運用環境を実現した「RIVAGE PM10」と
露出設置したラインアレイスピーカー

● 音響調整卓にヤマハのデジタルミキシングシステムのフラッグシップモデル「RIVAGE PM10」が導入されました。その選定理由を教えてください。

立川氏:
ホールAでは、これまでもヤマハの「PM5D」を使用してきましたが、更新時期を迎えたことに加え、「更新するのであればフラッグシップクラスを」という「東京国際フォーラム」側の意向もあり、ヤマハの「RIVAGE PM10」を導入しました。

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ホールA 音響室に設置された「RIVAGE PM10」

● 「RIVAGE PM10」を使った印象はいかがですか。

高松氏:
圧倒的に音が良くなりましたし、安定感も素晴らしいです。また「RIVAGE PM10」は、従来のデジタルコンソールでは難しかった、盤面を切り分けた2マンオペレーションができるのも便利です。演劇などの複雑な現場では二人同時に卓を操作することがありますが、2台のミキサーを用意しなくて済むのは、現場として非常に助かります。

立川氏:
意外に重要なのが、物理的なサイズでした。というのも、現在の現場オペレーターは女性が中心となって活躍しています。これまでの大型ミキサーでは小柄な方だと舞台が見えなくなってしまうことがありました。舞台が見えないと仕事にならないため、「RIVAGE PM10」の大きすぎないサイズ感はとても良いです。設置にあたってはヤマハサウンドシステムさんに相談して、可能な限り高さを抑えることで舞台を見やすくするなど、細かい部分まで調整してもらいました。

● ホールAはスピーカーシステムが露出設置です。これにはどのような狙いがあるのでしょうか。

高松氏:
露出設置は音が良いのはもちろんですが、下見の際に「あ、このスピーカーがあるなら持ち込みはいりませんね」と即座に判断してもらえることが大きなメリットです。持ち込みが不要となれば主催者のコスト削減につながりなりますし、仕込みや撤収の時間短縮にもなります。隠蔽設置の場合は図面を見せたり説明が必要となりますが、露出設置であれは話が早いんですよ。

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ホールAのプロセニアム・サイドカラムスピーカー 

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移動用スピーカーはプロセニアム・サイドカラムスピーカーを補助するインフィル、サブウーハ構成

● 外部エンジニアに会場のスピーカーEQを開放しているそうですが、そうした運用は珍しいですね。

立川氏:
一般的な施設では、スピーカーEQを外部に開放しないケースが多いかもしれません。しかし、この会場を使用するPAオペレーターの方々はみなさんプロフェッショナルで、機材の特性も十分に理解されています。そこで私たちは「プロ同士の信頼関係」を前提に、納得いくまで調整を追い込んでいただいています。デジタル機器ですので設定は瞬時にデフォルトへ戻せますしね。とはいえ、「現状はこのような設定にしています」と説明すると、「そこまで調整できているのであれば、このままで問題ありません」と言ってくださる方も多いです。

平土間ならではの柔軟な運用が可能な「ホールB」と
演劇に適した響きを備える「ホールC」

● ホールB(B5・B7)とホールCについても教えてください。

川邊氏:
ホールBは固定席のない平土間で、会議や学会、パーティーなど、多種多様な用途で使用されています。B5、B7ともに中央で仕切ることができるため、「半分は講演会、半分は展示会」といった分割運用が可能な点が特長です。最初は講演会スタイルで、数時間後には懇親会などの立食パーティー会場に転換する、といった使い方もよく行われています。

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ホールB7

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ホールB5

● ホールBの音響システムについて教えてください。

高松氏:
ホールBもヤマハのデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM10」を導入しています。B7には分割使用時のために主調整室と副調整室があり、それぞれに「RIVAGE PM10」を備えているため、独立してオペレーションが可能です。一方、B5は調整室が1室のみの構成で、分割運用時には片側に仮設卓を設けて対応しています。最近では会議や学会といった用途に加え、パーティーに伴うちょっとしたアトラクションやアーティストの演奏などのニーズも増えています。そのため、移動卓を持ち込んだ簡易的なSR構成でライブに対応するケースも、よく見られるようになりました。

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音響調整室(B7)

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音響調整室(B5)

● ホールCについても教えてください。

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ホールC

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ホールC音響調整室

高松氏:
ホールCは3層構造、最大1,500席の劇場で、利用の約7割をミュージカルや演劇が占めています。このホールの最大の特徴は、壁面に設置された「シャッター式残響可変装置」です。これにより残響時間を演劇に適した約1.8秒から、音楽用途に適した2.6秒まで切り替えすることができます。また、今回の改修で音響調整卓を「RIVAGE PM10」に更新し、ホールAとシステム構成や使用感を統一しました。

現場の「生きたルール」を継承し、安全と信頼を形にする

● ここからはヤマハサウンドシステムの担当者も加わります。まず設計の髙橋さんに聞きます。「東京国際フォーラム」の音響システムの設計において、チャレンジしたポイントはありますか。

髙橋:
大きなチャレンジは、ホールB7における「会場分割・統合運用」のための制御システムの再構築でした。B7には主調整室と副調整室の2室があり、それぞれ独立したオペレーションが可能です。事前の現場調査で印象的だったのは、そのシステムが単にプロセッサーで回路を切り替えるだけのものではなく、操作ミスを防ぐための物理的なセーフティ機構が精緻に組まれていた点でした。具体的には、分割使用時に主調整室側から副調整室側のスピーカー選択スイッチを、物理的に操作できないようロックをかける仕組みです。ここまでの複雑な挙動を標準的な製品だけで再現するのは不可能でした。しかし、現場で長年運用されてきたルールは非常に洗練されたもので「これは守りたい」と考えました。そこで社内の専門部署と連携し、特注のロジックを電源制御ユニットに組み込むことで対応しました。その結果、これまで大切に守られてきた運用ルールを一切損なうことなく、システムを最新のデジタル環境へ移行することができました。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 設計部システム設計2課 髙橋 杏奈

● 改修当時は世界的な半導体不足の時期だったそうですね。

髙橋:
それも大変でした。「東京国際フォーラム」さんのように稼働率の高い施設では、工事の遅延は絶対に許されません。しかし当初想定していた機材がどうしても入手できないという事態が次々と発生しました。それでも「手に入らないから遅れます」とは言いたくありませんでした。そこで、入手可能な機材の中で要求される運用仕様を完全に満たすシステムを何度も再設計しながら納期を死守しました。これは、われわれ設計グループの執念だったと思います。

● 熊崎さんは、ホールAの電動吊マイク装置の構築担当でしたが、どのようなチャレンジがありましたか。

熊崎:
ホールAには、録音用と「AFC」用を合わせて計19本の電動吊マイク装置を設置しました。このうち、録音用のマイクは11本ですが、これほどの本数の電動吊マイク装置を制御するのは、私にとって初めての経験でした。一番の課題は、限られた仕込み時間の中で、録音用の電動吊マイク装置を迷わず、素早く、確実に昇降・移動させることです。標準的な汎用リモコンでは限界があったため、PCのタッチパネル上ですべての動きを視覚的に管理・操作できる専用のリモートコントローラーを独自に開発しました。
画面設計にあたっては、実際の舞台図面をベースにした配置画面を作成し、どのマイクが今どこにあるのかを一目で分かるように工夫しています。また、実際に使用されるオペレーターの方々から、配置や色使い、文字サイズなどについて具体的な意見をいただくことができ、それが設計の大きな助けとなりました。その結果、「緊急停止は赤」「通常操作は青」といった、現場の感覚に即した直感的なインターフェースを実現することができました。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 生産管理部生産管理課 熊崎 勝彦

● リモコンはワイヤレスという選択肢もあったかと思いますが、なぜ有線なのですか。

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ホールA専用の電動吊マイク装置のリモートコントローラー

熊崎:
利便性を考えれば確かにワイヤレスという選択もあります。ただ、あえて私たちは有線を強く推奨しました。その理由は「安全性」です。電動吊マイク装置のマイクは、5,000人ものお客様が座る客席や、出演者の頭上に吊り下げられます。もしワイヤレス通信で瞬断や混信が起きた場合、制御不能になる可能性を完全にゼロにはできません。確実な通信を担保することで、制御不能による落下リスクを極限まで排除する。劇場においては、それが最優先されるべきだと考えました。

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● 最後に「東京国際フォーラム」のみなさんにうかがいます。ヤマハサウンドシステムの働きぶりはいかがでしたでしょうか。

有信氏:
ほぼ100%という高い稼働率の過密なスケジュールの中で、常に安定したパフォーマンスを発揮できる環境を維持する上で、ヤマハサウンドシステムさんは不可欠なパートナーだと思っています。

高松氏:
私たちの細かな要望を、具体的な使い勝手として的確に落とし込む技術力が素晴らしいと思います。特に今回の改修で、ホールAとホールCの音響システムが共通化できたことは、運用面で非常に大きな効果がありました。どのホールでも同じ感覚で迷わずに操作できることが、トラブル防止やオペレーションの精度の向上に直結しています。

立川氏:
私たちは、ヤマハサウンドシステムさんを大変頼りにしています。音響に関しては「どんなトラブルでもすぐに復旧してくれる」という安心感があるからです。
また、ヤマハサウンドシステムさんの図面は非常に細かく、丁寧につくられています。通常は線一本で表現されがちな部分も、信号の流れが追えるように描かれています。ロジックを開示してくれるのでブラックボックスにならないんです。改修のたびに私たちはその図面と向かい合いますが、そうすることでシステムを理屈で理解でき、万一の際、判断の質が格段に向上します。単に機材を納め、保守してくれるだけでなく、私たちの成長まで支えてくれる存在だと感じています。プロフェッショナルとしての信頼感をいつも抱いています。

川邊氏:
ヤマハサウンドシステムさんは、非常に心強い存在です。特に当館の主催事業である『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO』のような大規模な催事では、複数のホールが朝から晩までフル稼働する状況が、数日間にわたって続きます。そうした非常にハードな現場においても、ヤマハサウンドシステムさんの技術力と細やかなサポート体制には絶大な信頼を寄せています。
これからも「東京国際フォーラム」という巨大な施設を、ともに守り続ける良きパートナーとして、末永くよろしくお願いします。

東京国際フォーラム 様

● 本日はご多忙中ありがとうございました。

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