タッチパネルはスマートフォンやタブレット端末、ATMなどにも広く使用されており、私たちにとってとても身近な存在です。近年では、音響機器においてもタッチパネルは欠かせない操作インターフェースとなっています。
日常的に当たり前のように操作をしているタッチパネルですが、「何か操作感が違う」と感じたことはないでしょうか。実は、タッチパネルにはいくつかの方式があり、それぞれに異なる特徴があります。
今回は、タッチパネルの主な方式とその特徴、そして音響機器に搭載されているタッチパネルについて紹介します。
タッチパネルの方式
はじめに、主なタッチパネルの方式と、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
感圧式(抵抗膜方式)
画面を“ぎゅっ” と押すと反応するタッチパネルです。操作面では、手袋をした指でも反応します。一方で、押した力を検知するしくみのため、軽く触れただけでは動作しません。また、滑らせるような操作はあまり得意ではありません。構造上、位置ずれが起こることもありますが、キャリブレーションで補正が可能です。
静電容量方式
「静電容量(電気のたまりやすさ)」の変化を検知して動作するタッチパネルです。軽く触れるだけで操作できます。マルチタッチに対応しており、例えば2本指での操作が可能です。一方で、電気的な変化を利用するしくみのため、水分の影響を受けやすいほか、絶縁性のある手袋を着用し、完全に導電しない状態では操作ができません。手袋を着用して操作する場合は、タッチパネル対応(導電性)手袋をご使用ください。
超音波表面弾性波方式
超音波の「波」を利用して、触れた位置を認識するタッチパネルです。画面表面に超音波(主に3~10MHz程度)を流し、指が触れてその波を遮られた位置を検出するしくみになっています。ガラス表面をそのまま使用できるため、透過性が高く、画面表示がきれいという特長があります。一方で、超音波の伝搬を妨げる水分やほこりの影響を受けやすい方式です。
電磁誘導方式
タッチペン内部に搭載されたコイル(小さな電磁石)と、画面下にある電磁センサーが相互に信号をやり取りし、ペンの位置を検出するしくみです。高い精度で入力できるほか、タッチペンの筆圧を検知できる点も特徴です。一方で、指による操作には対応しておらず、専用のタッチペンがないと操作できない方式です。
音響機器でのタッチパネル
ここでは、ヤマハプロ音響機器の「デジタルミキサー」に搭載されたタッチパネルを紹介します。なお、本記事では生産完了品を含めて取り上げます。
ご注意ください!
先のとがったものや爪などの硬いもので、画面を操作しないでください。画面に傷がつくなど、タッチパネルでの操作ができなくなるおそれがあります。
タッチパネルが汚れたら、電源を切った状態で柔らかい布で乾拭きしてください。
感圧式のデジタルミキサー
以下のモデルは、感圧式タッチパネルを採用しているデジタルミキサーです。
・ CLシリーズ
・ QLシリーズ
・ RIVAGE PM10
・ RIVAGE PM7
静電容量方式のデジタルミキサー
以下のモデルは、静電容量方式のタッチパネルを採用しているデジタルミキサーです。
・ TFシリーズ
・ RIVAGE PM5
・ RIVAGE PM3
・ DM3
・ DM7シリーズ
※ RIVAGE PMシリーズについて
リリース時期の違いにより、PM10およびPM7には感圧式、PM5およびPM3には静電容量方式のタッチパネルが搭載されています。
方式による操作感
感圧式のタッチパネルを搭載した機種は、指でしっかりと押して操作します。静電容量方式に比べると、反応がやや鈍く感じられる場合がありますが、圧力によって検出するしくみのため、確実に押し込むことが操作のポイントです。
静電容量方式の機種は、スマートフォンと同様の感覚で操作できます。画面を滑らせるような操作にもよく反応するため、タッチパネル上のON/OFFキーをまとめて操作することにも適しています。
マルチタッチ操作
静電容量方式に対応したデジタルミキサーの中には、2本以上の指を使ったマルチタッチ操作に対応し、複数のパラメーターを同時に操作できる機種もあります。以下では、具体な操作例を紹介します。
マルチタッチ操作でEQコントロール
下の写真は、ヤマハ「DM7C」のEQをコントロールする画面です。このEQ操作画面では、マルチタッチ機能を活用した操作が可能です。
PINCH
ピンチイン/ピンチアウト操作によって、選択しているバンドのQを調整します。
BOOST
3本の指で、0dBより上の領域をタップしたまま上下にスライドすると、ブーストしているすべてのEQバンドのブースト量を拡大/縮小できます。
CUT
3本の指で、0dBより下の領域をタップしたまま上下にスライドすると、カットしているすべてのEQバンドのカット量を一括して増減できます。
EXPAND
4本の指で、タップしたまま上下にスライドすると、すべてのEQバンドのゲイン調整量を一括して拡大/縮小できます。また、0dBラインをはさむように3本の指を置き、ピンチ操作を行っても同様の操作が可能です。
最後に
今回は、主なタッチパネルの種類とその特徴、そしてデジタルミキサーにおける注意点や活用事例を紹介しました。音響機器へのタッチパネルの採用は、今後さらに増えていくと考えられます。
便利である一方で、方式によって操作感が異なることや、多くの操作では目視しないと操作しているパラメーターを把握しにくいといった側面もあり、状況によっては誤操作につながる可能性もあります。タッチパネルの方式を理解することで、少しでも誤操作防止の参考になれば幸いです。
今回紹介していない便利な操作もまだ多くありますので、ぜひ皆さまも実際の機器を使いながら調べてみてください。