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お役立ち情報「TIPS」#38 はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう

音響の現場では、マイクケーブルの自作や修理が必要になることがあります。とはいえ、「修理や自作って、なんだか職人っぽくて難しそう…」と思っていませんか?実は、基本の道具とちょっとしたコツさえ押さえれば、はんだ付けは案外楽しくできるんです。
今回は、当社のベテランスタッフから聞いた“はんだ付けの基本とコツ”を、初心者の方にも分かりやすくまとめました。

使用する部材と道具

◎ 使用する部材
・ XLRタイプコネクター 
:金メッキなどでできた腐食しにくいものがおすすめ
・ マイクケーブル    
:2芯または4芯でシールドが巻かれたマイクロホン専用のもの
・ はんだごて&はんだ  
:はんだごては温度調節可能なものがおすすめ
・ ワイヤーストリッパー 
:芯線を傷つけずに被覆を剥くのに使用します
・ カッター
・ ニッパー

◎ あると便利
・ ピンセット
・ 熱収縮チューブ&ヒートガン
・ テスター
・ 吸煙器
・ ハンダ吸い取り線やポンプ

作業手順とポイント

ケーブルの準備

1. 必要な長さにケーブルをカットして、シース(外皮)を剥く
カットしたところから約3cmの位置にカッターで軽く切り込みを入れ、ケーブルを曲げて割くようにして剥きます。力を入れすぎると内部の線を傷つけるので注意してください。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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2. 芯線とシールド線を分ける
シースを剥くと、赤や青の色のついた芯線(ホット)と、白などの無彩色の芯線(コールド)が、銀色のシールドに包まれた状態で出てきます。編組シールドの場合、ピンセットなどで丁寧にほぐし、ねじって1本の線にまとめます。また、一緒に出てくる紙の糸などは不要なので、カットします。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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3. 芯線の被覆を剥く
ワイヤーストリッパーを使って約1cm剥きます。ワイヤーストリッパーがない場合は、カッターで軽く切り込みを入れて剥きます。芯線は切らないように注意してください。1本でも傷ついた場合は切り落としてやり直すのがベストです。被覆を剥いたら、丁寧に芯線を撚ってまとめます。

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4. 絶縁処理
シールド線が他の導線部分に触れてショートしないよう、熱収縮チューブを使って絶縁処理を行います。チューブの位置をなるべく根本側にすることで、より効果的にショートを予防できます。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう

(写真、チューブの位置に注意)

はんだ付け

1. コネクターの持ち手パーツをケーブルに通す(忘れがち!)
はんだを手に取る前に、まずコネクターの持ち手パーツをケーブルに通します。これは非常に忘れがちですが、後から通すことはできません。作業を開始する前に、必ず通したことを確認しましょう。

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2. 導線にはんだをつける
はんだごてを加熱します。温度指定ができる場合は、380℃を目安に、はんだごての種類や導線の太さに合わせて調節します。十分に温まったらコテ先に少量のはんだを付け、剥いて撚った芯線およびシールド線に、まんべんなくはんだをつけます。こうすることで、導線やシールドがパラけるのを防ぎ、コネクターにはんだ付けする際の予備はんだになります。はんだの量は、ねじった導線にしっかりと染み込み、かつ、ねじり模様がうっすら見える程度が適量です。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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3. コネクターのカップに予備はんだをする
導線にはんだができたら、コネクターのカップにはんだごてをあてて温め、少量のはんだを流しておきます。これは後の接合を確実にするための重要な下準備です。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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4. 導線をカップに挿し込み、再加熱して接合する
予備はんだをしたカップに線を挿し込み、動かないように押さえながらコテでカップを温めます。導線とカップがなじんだところで、必要に応じてはんだを少量付け足し・または余分なはんだを除去します。はんだの量は、導線のよじれがうっすら確認できる程度が適量です。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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よくある失敗は、「はんだがうまく乗らない」「導線がすぐ外れてしまう」といったトラブルです。この原因は、加熱が足りないことや、はんだに含まれるフラックスの蒸発が考えられます。焦らず、しっかりとカップ側を温めてからはんだを流し込むことがポイントです。はんだの流れが悪い場合は、フラックス補給の意味で少量のはんだを追加すると、スムーズに流れるようになります。

5. 組み立てて、導通チェック
導線とコネクターが接合できたら、残りのコネクターパーツを組み立てて完成です。仕上げに導通チェックを必ず行いましょう。写真はケーブルチェッカーを用いた導通チェックの確認例ですが、テスターでも可能です。

はんだ付けでマイクケーブルを作ってみよう
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作業のコツとノウハウ

断線対策
ケーブルに強い力が加わる可能性がある現場では、万が一の断線に備える対策も重要です。マイクケーブルを製作時にできる工夫のひとつとして、ホット線・コールド線に比べてシールド線を少し短めに切っておく方法があります。こうすると、強い力が加わったときに、最初に切れるのがシールド線になり、音が完全に出なくなる事態を回避できます。

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コテ先の当て方
コテ先には、あらかじめ少量のはんだをのせてから当てるのがコツです。こうすることで、母材(カップや導線)に、点ではなく“面”で熱を伝えることができ、効率よく加熱できます。点で当てるよりも面で温めるほうが熱がスムーズに広がり、はんだと導線が密着しやすくなります。

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温度管理
はんだごての設定温度と、実際のコテ先温度には誤差が生じることがあります。温度が低すぎると、はんだが十分に溶けず、接合不良の原因となります。反対に温度が高すぎると、はんだが焦げたり、コネクターのカップを傷めたり(溶かしてしまう)する恐れがあります。
コテ先温度計を使用して、実際の温度を確認してから作業することで、安定したはんだ付けが可能になります。

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仕上がりをきれいに
はんだに含まれるフラックスは、加熱すると焦げた汚れのように表面に残ることがあります。はんだ付けが完了したら、無水エタノールを拭き取り紙に含ませ、はんだ部分を軽く拭き取りましょう。汚れが落ちて、仕上がりがきれいでピカピカになります。

まとめ

はんだ付けは、最初は少し難しく感じるかもしれませんが、何度か繰り返すうちに、次第にコツがつかめてきます。はんだが溶ける感覚を、手と目で覚えることが上達への第一歩です。
慣れてくると、ケーブルの修理やカスタマイズも自由にできるようになります。現場での「困った!」に素早く対応できるようになるためにも、ぜひ一度、実際に作ってみてください!

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