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岡山芸術創造劇場ハレノワ 様 / 岡山県
Japan / Okayama Feb. 2026
岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

(提供:岡山芸術創造劇場)

新たな岡山の文化芸術の発信拠点として2023年9月にオープンした「岡山芸術創造劇場ハレノワ」。近隣地域で最大規模となる1,753席の大劇場、807席の中劇場を備え、「魅せる」「集う」「つくる」というコンセプトを中心に事業展開しています。ヤマハサウンドシステムは音響システムの設計・施工を担当しました。音響システムのコンセプトや実際の運用で感じていることを、岡山芸術創造劇場 技術グループ 舞台音響担当の内海 常葉氏にお話をうかがいます。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

岡山芸術創造劇場 技術グループ 舞台音響担当 内海 常葉 氏(前列中央)
ヤマハサウンドシステム株式会社 技術部 大阪技術課 柳原 涼太(前列左)
同 営業部 大阪営業所 五十嵐 拓也(前列右)
同 営業部 大阪営業所 営業課 西田 将二(後列右)
同 設計部 システム設計2課 髙橋 杏奈(後列中央)
同 品質管理部 検査課 松岡 亨(後列左)

岡山の新たな文化拠点「ハレノワ」

● 最初に、「岡山芸術創造劇場ハレノワ」について教えてください。

内海氏:
「岡山芸術創造劇場 ハレノワ」は、2023年9月に岡山市にオープンした施設です。大、中、小の3つの劇場と、客席のないフラットな空間のアートサロン等で構成されています。これまで岡山市には、約1,700席の岡山市民会館と約800席の岡山市立市民文化ホールがありましたが、これらを後継する形で機能をひとつに集約しました。「創造劇場」として新たに生まれ変わったことが大きな特徴です。
「創造劇場」とは、公演を招聘して「魅せる」に、劇場スタッフが市民やプロの俳優と共に演目を「つくる」活動を実践し、さらに人々が「集う」という3つのコンセプトを持っています。そのため、演目の制作・創造を支える十分な機材と人員を整えています。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

岡山芸術創造劇場 技術グループ 舞台音響主任 内海 常葉 氏

● 大、中、小劇場にはそれぞれどのような特長があるのでしょうか。

内海氏:
大劇場は1,753席で、バルコニー席が1階に14席、2階に24席、3階に20席あります。音響や照明などの設備を含めると、中国地方において充実した劇場のひとつだと思います。響きの特長は、極めて自然で響き過ぎることもなく、講演会などでも声がしっかりと聞き取れます。ただここには音響反射板がないため、クラシックのコンサートなどではやや響きがもの足りないかもしれません。岡山には「岡山シンフォニーホール」という、音楽に特化したホールがあり、そちらとの棲み分けという意味合いもあります。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

大劇場(提供:岡山芸術創造劇場)

中劇場は807席で客席の傾斜が強く舞台が見やすいのが特長です。響きはやや抑え気味で演劇などに向いた設計です。ただ、こちらには反響板がありますので音楽用途にも向いており、小規模なクラシックコンサートや近隣の学校の吹奏楽部の発表などによく利用されています。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

中劇場(音響反射板使用時)(提供:岡山芸術創造劇場)

内海氏:
小劇場は固定の舞台も客席も持たない平土間で用途に応じて自由にレイアウトが可能です。音響に関しても常設機材はほとんどがなく、スピーカーも自由な場所に設置でき柔軟な運用が可能です。音響的には四方のカーテンを閉めるとかなりデッドになるので、演劇に向いています。客席は300席まで配置できます。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

小劇場(提供:岡山芸術創造劇場)

● 開館して2年ですが、これまで主にどんな催しが行われましたか。

内海氏:
主催で行う演劇やダンスのほか、ポップス、ロック、ジャズ、オーケストラなどジャンルを問わず、コンサートが多かったです。特にツアーものが多いですね。オペラも年に2回ほど開催しています。あとは近隣の学校の式典や講演会などでもよく使われています。
それと創造劇場ならではの催しとしては、2023年9月に「100人ダンス」を行いました。これはダンサーの北村成美さん、北尾亘さんを振付・演出に迎え、商店街からハレノワまでをダンスパレードをして練り歩くものでした。道中の各所に設けられたステージではさまざまなコラボパフォーマンスが披露され、最終地点の劇場前広場「千日前スクエア」では100人を超えるダンサーたちが、オリジナルの曲と振付で「born dance(盆ダンス)」を踊りました。

光ファイバーによるリング状のデジタルネットワークを構築

● 音響についてうかがいます。「岡山芸術創造劇場ハレノワ」で、特長的なことはありますか。

内海氏:
システム面での大きな特徴は、施設全体にDanteネットワークを構築している点です。大、中、小劇場、そしてアートサロンまで全ての常設設備がDante接続されており、このネットワークに持ち込みのDante機材を組み込んでご利用いただけます。
伝送には光ファイバーケーブルを採用し、ネットワークはリング状になっています。これはヤマハサウンドシステムさんからの提案で、大劇場の調整室から舞台までの距離が100mを超えるので通常のメタル線での接続では物理的な制約があることと、伝送ロスの少ない大容量回線で館内各所を柔軟に接続できる環境を望んでいたことへの解決策でした。このネットワークであればDanteの音声信号だけでなく制御や映像信号も送れるので、その利便性から導入を決めました。

● 音声だけでなく汎用の高速デジタルネットワークを構築したということですね。実際に運用していかがですか。

内海氏:
運用してみると、Danteでなくむしろ映像通信によく使っています。特に大劇場では、映像が入る催しものが頻繁にありますので。例えば登壇者をスクリーンに映し出す場合、客席にカメラとプロジェクターを設置しますが、客席にネットワーク端子が用意されているのでステージまで仮設ケーブルを這わせる必要がなく、迅速に設置できます。

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客席シート下に用意されたデジタルネットワークのコネクター

大劇場、中劇場ともにヤマハ「RIVAGE PM5」とマトリクスコントローラーHYFAX「LDM1」を導入

● 大劇場と中劇場には音響調整卓として「RIVAGE PM5」が導入されました。その選定理由をお聞かせください。

内海氏:
ヤマハのミキサーを選定した理由は、音に余計な色付けやクセが少ないこと、そして何より操作性の高さですね。操作性に関して言えば、ヤマハのミキサーは音響エンジニアなら必ず扱えますので、汎用性が極めて高いと言えるでしょう。
中劇場にも同じ「RIVAGE PM5」を導入したのは、万一どちらかでトラブルが発生した際に、すぐに差し替えられるバックアップの意味合いもあります。

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大劇場音響室のヤマハ「RIVAGE PM5」

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

中劇場音響室のヤマハ「RIVAGE PM5」

● マトリクスコントローラー「LDM1」はどのような目的で導入したのですか。

内海氏:
大劇場のスピーカー出力を個別に制御するために導入しました。というのも大劇場には98台もの常設スピーカーがあります。これはさまざまな演目に常設スピーカーで柔軟に対応するため、すべてのスピーカーが個別系統になっています。この膨大な出力数を制御するにはマトリクスコントローラー「LDM1」が必要でした。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

マトリクスコントローラーHYFAX「LDM1」

徹底的な調整を施したNEXOのスピーカーシステム

● スピーカーの「NEXO」の印象はいかがでしょうか。

内海氏:
私はNEXOの音は以前から馴染みがあり、音の印象は非常にパワフルで鳴りの良いスピーカーですが、「じゃじゃ馬」というか、高域が暴れる傾向があるのではないか、と思っていました。そのため、綿密な調整をしようと考えました。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

中劇場 プロセニアムスピーカー

● スピーカーはどのように調整したのですか。

内海氏:
施工が終わってすぐに音響的にフラットになるようにヤマハサウンドシステムさんに調整してもらいました。さらに運用の直前に、どんなジャンルの音でもバランスよく聴こえるかを確認する機会を設けました。この確認は僕一人でやってしまうと偏りが出てしまうので、年齢も音楽の好みもバラバラな職員を集めて、それぞれが好きな音楽を流し、簡単なEQ操作で心地よい音が出せるかを試しました。僕はヘヴィなロック系を使いましたし、重低音が効いた韓流ラップを流す職員もいれば、アイドルグループの曲をかける職員もいて、幅広いジャンルで検証できました。この結果をヤマハサウンドシステムさんに伝え、一緒に調整を仕上げたことで多様な演目に対応できる、しっかりとした音響の下地が整ったと思います。

● 電動吊マイク装置HYFAX「MHN1」を使用した感想はいかがですか。

内海氏:
吊りマイクは一度決めたら動かさないのが基本ですが、演目によっては照明やプロジェクターに干渉することもあるので、その場合は動かします。この電動吊マイクは3点吊りですがクレーンゲームのように水平・垂直に動かすことができるのでとても使いやすいです。

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電動吊マイク装置HYFAX「MHN1」コントローラー

多点監視で98台のスピーカーを制御、劇場全体の音を徹底的に磨き上げる

● ここからは、ヤマハサウンドシステムの担当者にも話を聞きます。まず柳原さん、この現場での担当と、特に気を配った点を教えてください。

柳原:
担当は施工管理です。今回、「岡山芸術創造劇場」のホワイエスピーカーについては天井工事前の段階でスピーカー位置を正確に決めることに細心の注意を払いました。一般的に天井がボード仕上げの場合、天井工事後にスピーカーの設置工事ができます。しかし、今回は天井になる部分にコンクリートを打設する「逆梁工法」を採用していたため、そうはいきません。コンクリート打設前にスピーカーと配線箇所を筒型の型枠で押さえ、コンクリート打設時に型枠が動かないようコンクリートが固まるまで緊張が続きました。コンクリートを打ってしまうと後からの修正はできませんので。こうした慎重な施工により、ホワイエスピーカーは計画通りに設置することができました。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 技術部 大阪技術課 柳原 涼太

● 髙橋さんの担当と、今回工夫した点を教えてください。

髙橋:
私は設計を担当しました。大劇場は、これまで私が手がけた現場の中で回線数が多い空間で、Danteの信号フローを効率よく設計することが大きな課題でした。そこで、フロー管理を最適化するために、発注図書では音響室にあったマトリックスプロセッサーをアンプ室へ設置場所を変更しました。マトリックスプロセッサーが音響室にあると、舞台袖からの信号は音響室を経由してアンプ室へ送られることになりますので、ルーティングが複雑になります。アンプ室が最終的な出力地点ですので、音響室と舞台袖の信号をアンプ室のマトリクスプロセッサーでルーティングして出力する形としました。論理的にも物理的にも信号の流れが自然ですし、トラフィック面でも効率化を図りました。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 設計部 システム設計2課 髙橋 杏奈

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アンプ室に設置されたマトリクスプロセッサーHYFAX「LAP4S-LDM240HR」

● スピーカーチューニングを担当された松岡さんは、どんなところにこだわりましたか。

松岡:
先ほど内海さんからお話がありましたように、大劇場にはスピーカーが98台もあって非常に数が多いです。もちろん、このすべてのスピーカーを1台ずつ丁寧にチューニングします。これに加え、今回はスピーカーのカバーエリアごとにグループ分けをし、そこに複数のマイクを配置して多点で監視してチューニングを行いました。これはどのエリアでも均一な音質・音量を得ることができる調整方法です。例えば舞台から遠い席で高域が不足しているとき、スピーカーの数が少ない場合は全体に高域を足すしかありません。結果として別の席では高域がキツすぎることになってしまいます。しかしスピーカーが多ければ、エリアごとに細かく調整できるため、必要な場所にだけ適切な補正を加えることができます。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 品質管理部 検査課 松岡 亨

● 営業担当の西田さんは、最近営業担当を引き継いだそうですね。

西田:
はい、数か月前にこちらの営業担当となりました。営業という立場は、今後の大規模改修に向けてさまざまな提案をすることも大切ですが、内海さんはすべてを一新するのではなく、既存設備を別の場所で活用できないかをまず考えられます。その姿勢に触れて、私自身もこのような劇場運営のあり方について改めて考えさせられました。ヤマハサウンドシステムとしても、そうした「資源の有効活用」を、今後取り入れていきたいと思っています。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 大阪営業所 営業課 西田 将二

● 最後に内海様から、ヤマハサウンドシステムの働きぶりや、今後に期待することなどをお願いします。

内海氏:
実は、「岡山芸術創造劇場」に配属されるまで音響担当が私ひとりだと知らず、驚きました。しかし、さまざまな面でヤマハサウンドシステムのみなさんに相談できたので、本当に助かりました。工事完了後の引き渡しの際に柳原さんから「最後までご支援しますのでご安心ください」と言っていただいた時は、本当に心強かったです。
こうした新しい劇場では、実際に運用してみないと分からないことがたくさんあります。「もう少しここがこうだったらいいのに」といった要望が後から次々に出てくるものです。そこで、無理を承知でヤマハサウンドシステムさんに相談したのですが、いつも快く応えてくださいました。
恐らく今後もお世話になると思いますが、ヤマハサウンドシステムさんには、これまで多くの劇場の音響に関わってきたノウハウが集約されていると思いますので、ぜひ今後も助けていただいて、将来のこの劇場のあるべき姿を一緒に考えていただければと思っています。

岡山芸術創造劇場ハレノワ 様

● 本日はご多忙中ありがとうございました。

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