いい人材、いいサービスで、いい音を。 ヤマハサウンドシステム株式会社
Kアリーナ横浜 様 / 神奈川県
Japan / Kanagawa Jan. 2026
Kアリーナ横浜 様

提供:株式会社ケン・コーポレーション

2023年9月に横浜みなとみらい地区に誕生した「Kアリーナ横浜」。音楽特化型アリーナとして高い評価を得ており、トップアーティストによる公演が連日開催されています。ヤマハサウンドシステムはその音響システムの設計および施工を担当しました。「Kアリーナ横浜」のコンセプトや音響システムの特長などについて、株式会社Kアリーナマネジメント 営業部 テクニカルグループ テクニカルマネージャー 中山 昂哉氏にお話をうかがいました。

Kアリーナ横浜 様

株式会社Kアリーナマネジメント 営業部
テクニカルグループ テクニカルマネージャー中山 昂哉 氏(右端)
ヤマハサウンドシステム株式会社 技術部
 技術2課 叶井 佑弥(右から2番目)
同 設計部 システム設計2課 河野 峻也(左から2番目)
同 営業部 首都圏営業所 営業課 早野 飛雄馬(左端)

音楽特化型アリーナとして、世界最高峰の没入体験を提供するKアリーナ横浜

● 「Kアリーナ横浜」について教えてください。

中山氏:
「Kアリーナ横浜」は、質・規模ともに世界レベルのワールドツアーに対応できる音楽特化型のアリーナです。一般的な多目的施設とは異なり、音楽に最適化したことが最大の特徴です。
企画段階では、スポーツ興行なども可能な汎用的なアリーナの案もありました。しかし近隣には素晴らしいアリーナ施設があり、後発の私たちが同じような施設を作っても差別化ができないと考えました。一方でエンターテインメント業界全体を見渡すと大規模なライブ会場が不足しているという切実な状況がありました。そこで私たちは、音楽に特化することで他にはない価値を提供しようと大きく舵を切り、音楽に特化したアリーナとしました。

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株式会社Kアリーナマネジメント 営業部 中山 昂哉 氏

● 音楽特化型とは素晴らしいですね。そこにはどんな思いが込められているのですか。

中山氏:
私たちは「アーティストに最上の舞台を、オーディエンスに最高の記憶を」というコンセプトを掲げています。この思いを具現化したのが「体験価値の三本柱」です。

Kアリーナ横浜 様

Kアリーナ横浜公式サイト より

体験価値の三本柱の一つ目は「全席が音の正面」。扇形の形状とスタンド席の千鳥配置により、どの席からもアーティストが近く感じられ、視認性を確保しています。
二つ目は「全身を鼓膜に」。会場全体にハイグレードのスピーカー群を常設し、緻密な計算に基づいた最適な配置で、どこにいても良質な音に包まれる空間としました。
そして三つ目が「全幅の心地よさ」。全席にファブリックシートを採用し、長時間座っても疲れにくい、音楽に没頭できる環境を整えました。

Kアリーナ横浜 様

提供:株式会社ケン・コーポレーション

● 音響システムには特にこだわったとうかがいました。

中山氏:
音響システムにはかなりの投資をしました。確かにビジネス的には大きな決断でしたが、私たちは「音の質」こそが“Kアリーナ横浜の生命線”であり、集客や評価、ひいては稼働率に直結すると判断しました。結果としてこけら落としの「ゆず」をはじめ、モトリー・クルー、マライア・キャリーといった海外のレジェンド級アーティストにもご利用いただいています。

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● アーティストやオーディエンスからの反応はいかがですか。

中山氏:
おかげさまで国内外のアーティストの方々からは「お客様の顔がよく見える」「一体感を持ってパフォーマンスができる」など高く評価されています。
特に喜ばれているのが、客席との距離感です。「Kアリーナ横浜」は2万席という大規模施設でありながら、扇形の形状なのでステージから客席の一番後ろまでが比較的近く感じられます。
また、常設した音響システムのクオリティについても信頼をいただいており、機材を持ち込まなくても最高レベルの音が出せる点は、スケジュールの短縮やコストメリットの点で喜ばれています。オーディエンスのみなさまからも、SNSなどを通じて「Kアリーナ横浜はとにかく音が良い」「低音がすごく響くのに、歌声がクリアに聴こえる」といった投稿を数多く目にします。

Kアリーナ横浜 様

提供:株式会社ケン・コーポレーション

最高峰レベルのラインアレイスピーカーの常設によるアリーナ運用の新たな可能性

● 「Kアリーナ横浜」には巨大なラインアレイスピーカーが目立ちますね。これにはどのような狙いがあるのですか。

中山氏:
これほどの規模でハイグレードなラインアレイスピーカーを常設している例は他にないと思います。このスピーカーを導入した理由は「効率化」と「品質」の二つがあります。
まず効率化についてですが、通常のアリーナ公演であれば主催者様が音響機材をトラックで持ち込み、時間をかけて吊り込み、終演後にまた撤去します。しかし「Kアリーナ横浜」なら、常設で最高峰のスピーカーがあるので持ち込みはほとんどありません。これにより3〜5時間の時間短縮ができ、設営から撤収までが1日で終わるワンデイコンサートが可能になります。主催側としては人件費、機材リース、輸送コストの削減につながりますし、アリーナとしても公演日が増やせます。

Kアリーナ横浜 様
Kアリーナ横浜 様

常設として用意されているラインアレイスピーカー

そしてもう一つは、妥協なき音質の追求です。単に「あるから便利」のレベルではなく、持ち込みより遥かに良い音が出るクオリティを目指しました。

● 床面もオールフラットで設営作業も効率が良さそうです。

中山氏:
おっしゃる通り搬入動線にもこだわっています。アリーナ床面はフルフラットで、運搬用の大型トラックがアリーナ内に直接入ることができます。これにより、機材の積み下ろしや移動の効率が格段に上がります。
さらに重要なのは、「安全で効率的な作業」の実現です。例えば、照明グリッドの仕込み作業ですが、「Kアリーナ横浜」はグリッドの高さが25メートル(ビル7階相当)にも達します。通常、これほどの高所作業では命綱が必須となりますが、ここではグリッド自体を床面まで降ろすことができるため、危険な高所作業を回避し、安全かつ効率的に作業を進めることが可能です。このように常設設備を充実させることは、昨今の人手不足の問題への具体的なソリューションになると考えています。最低限の機材で設営作業を短縮でき、終演後もスムーズに撤収できる。これは持続可能なアリーナ運営のために重要な要素だと考えています。

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搬入用トラックが直接入れるフルフラットなアリーナ

● そうした効率化は、アリーナの稼働率にも影響していますか。

中山氏:
ワンデイ運用が可能なことで、公演日数が最大化できており、これが大きく影響しています。米国音楽業界誌「POLLSTAR(ポールスター)」が発表した、2025年の世界アリーナ年間ライブ動員数ランキングで、「Kアリーナ横浜」が1位を獲得しました。おかげさまで、稼働率は非常に高い水準で推移しています。

常設の巨大ラインアレイを動かす
プロコトル「Milan」に挑戦する

● ここからは、ヤマハサウンドシステムの担当にも話を聞きます。
システム設計担当の河野さんは「Kアリーナ横浜」で、どのような点にこだわりましたか。

河野:
このような巨大な施設での課題の一つに音響システム電源の集中管理があります。しかも「Kアリーナ横浜」では音質を最優先してスピーカーケーブルの長さを最短とするため、パワーアンプは各スピーカーの近くに分散配置されています。このパワーアンプ電源を一カ所で安全に制御するために産業用の「PLC(プログラマブルロジックコントローラー)」を採用したシステムを構築しました。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 設計部 河野 峻也

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天井近くに設置されたラインアレイスピーカー用のパワーアンプ群

● PLCとは何ですか。

河野:
工場機械などで使われる産業用の制御機器です。ネットワークを使って長距離伝送ができ、しかも高い安定性を持っています。「Kアリーナ横浜」では音響調整室の制御パネルから各パワーアンプラックへ指示を出す仕組みを構築し、確実な電源管理を実現しました。

● 音声信号の伝送ネットワークについては、どのような方式を採用したのですか。

河野:
音声の伝送方式に「Milan(AVB)」という規格を採用しました。システム全体の流れとしては、音響調整室のミキサーからプロセッサーまではAESなどのデジタルオーディオ、プロセッサーから各パワーアンプまでの長距離伝送に「Milan」を用いています。
「Milan」を採用した理由は、「Kアリーナ横浜」で使用されている機材が「Milan」に準拠していたからなのですが、信頼性を担保する意味合いも強いです。「Milan」は使用可能なネットワークスイッチが指定され、設定項目も細かく定義されています。一見すると制約が多いように見えますが、これは規定された構成・設定を守ることで、確実かつ安定した動作を担保できるという堅牢さの裏返しでもあります。

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音響調整室

● 施工管理を担当した叶井さん、施工ではどんな点を工夫しましたか。

叶井:
「Kアリーナ横浜」はスピーカーを200台以上常設するという他に類を見ない規模で、これは私のいままでの人生で最大の物量と難易度の施工でした。中でも一番の課題は、巨大なラインアレイスピーカーの吊り下げ方でした。ここでは巨大なラインアレイスピーカーを常設していますが、さまざまな演出に対応するためそれを動かす必要があります。特に苦心したのは吊ったままの状態で「角度調整」を可能にすることです。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 技術部 叶井 佑弥

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巨大なラインアレイスピーカーはチェーンモーターによる昇降や角度調節が可能

センタークラスターは前後のチェーンの長さで垂直方向の角度を調整可能としましたが、特に難易度が高かったのは外側のクラスターでした。こちらは左右の「振り」も調整したいということでしたので、三角形の「デルタ金具」を使用して3点で吊り下げました。これにより、空中で左右の振りも調整を実現しました。

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ラインアレイスピーカーの吊り下げ部分

● ラインアレイスピーカーは昇降ストロークが20メートル以上あるそうですが、ケーブルはどう処理するのですか。

叶井:
そこも今回、頭を悩ませたポイントでした。複数の太い24芯スピーカーケーブルを束にして25メートルもの懸垂を求められました。ケーブルリール方式などいくつか検討しましたが、最終的にスピーカー上部に専用の金属製のカゴを設置し、そこにとぐろを巻きながらケーブルを収納する方式としました。

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昇降時のケーブルを収納するカゴ

ただ、「ぶっつけ本番」はあまりにリスクが高かった。そこで、施工前に実際にクレーン車を借り、空き地で実機と同じ環境を作って上下昇降のテストを行いました。試作段階ではカゴは「直方体」だったのですが、実験してみるとケーブルが乱巻きを起こしやすいことが判明したんです。それで試行錯誤の結果、最終的に円筒形に改良しました。このようなテストをしてあったので、現場では大きなトラブルもなく設置できました。

● 営業担当の早野さんは竣工後の担当だそうですが、「Kアリーナ横浜」という施設に対し、どのようにお付き合いしていきたいと思いますか。

早野:
営業担当として強く感じるのはこの施設にいらっしゃるみなさんの「音に対する本気度」の凄まじさです。音響機器に大きな投資をされている点からも、その並々ならぬ覚悟が伝わってきます。お客様の熱量に圧倒されると同時に私たちも音のプロとして「この世界最高峰の音を守らなければならない」という心地よい緊張感の中で日々の業務にあたっています。
実は昨年、弊社の本社事業所が移転し、「Kアリーナ横浜」のすぐ近く、昼休みに歩いて行ける距離になりました。この「何かあればすぐに駆けつけられる」という物理的な距離感も活かしながら、保守や運用サポートを通じて、世界に誇るエンターテインメント空間を一番近くで支え続けていきたいと思います。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 首都圏営業所 営業課 早野 飛雄馬

「Kアリーナ横浜のファン」を作りながら
音楽の街・横浜の新たな玄関口を目指す

● 施設側の中山様から見て、今回のヤマハサウンドシステムの仕事ぶりはいかがでしたか。

中山氏:
率直に申し上げて、私たちはかなり「わがまま」を言わせていただいたと思っています。ケン・コーポレーションとしてアリーナを建設するのが初めてのことでした。ですからこのプロジェクトは、「やったことのない人間がいきなり世界最大級の音楽に特化したアリーナを作る」という、無謀な挑戦でした。私たちには専門知識もないし、専門家の皆様に頼るしかありません。ですからヤマハサウンドシステムさんへのオーダーは、例えるなら初めて入ったラーメン屋でルールも分からずに「とにかく野菜マシマシで!」と注文するような、あいまいで直感的なものだったと思います(笑)。最上の音を追求していくなかでの多くの要望を、嫌な顔ひとつせず受け止め、素晴らしい音響システムを作り上げてくださった。そのプロフェッショナルな設計・施工・技術力には感謝しています。

Kアリーナ横浜 様

● 「Kアリーナ横浜」の今後の展望をお聞かせください。

中山氏:
「Kアリーナ横浜」は今、「会場そのもののファンを作る」という新たなフェーズに進んでいます。2025年4月からは独自の会員制度「K-Arena Club」をスタートさせました。チケットの優先購入権や、隣接するヒルトン横浜の宿泊割引などを提供し、アーティストのファンであると同時に「Kアリーナ横浜だからまた来たい」と思っていただける場所を目指しています。

Kアリーナ横浜 様

● 会場のファンを増やしていく上では、ライブの前後の体験も重要になりそうですね。来場者の「滞在価値」を高めるための施策について教えてください。

中山氏:
「Kアリーナ横浜」は「音楽の街・横浜」の新たな玄関口として、ライブを待つ時間や終演後の余韻も含めた体験価値の向上に注力しています。施設内には、各階に売店が設けられているほか、5階には約400名を収容できるLounge 5があり、飲食が楽しめます。最上階の7階にはArena Bar 7があり、こちらは終演後もご利用いただけるため、ライブの余韻に浸ることが可能です。バーラウンジが付いているホールは珍しく、お客様からもご好評をいただいています。

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Lounge 5 提供:株式会社ケン・コーポレーション

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Arena Bar 7 提供:株式会社ケン・コーポレーション

さらに、隣接するヒルトン横浜などのケン・コーポレーショングループのホテルとも連携しています。音楽事業者や行政による連携プロジェクト「Music Port YOKOHAMA」の構想とも連動し、音楽で街に賑わいを作っていきたいと考えています。

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Kアリーナ横浜を擁するミュージックテラス外観 提供:株式会社ケン・コーポレーション

Kアリーナ横浜を擁するミュージックテラス外観 
提供:株式会社ケン・コーポレーション

● 本日はご多忙中ありがとうございました。

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