ヤマハサウンドシステム株式会社

映像ケーブルのあれこれ

ホール・劇場などの「音響さん」は、音響設備の一部として映像設備も一緒に管理するということもあるのではないでしょうか。舞台音響設備には、円滑な運営や進行・演出に必要な舞台連絡設備が含まれ、その中にはITVシステムなどの映像設備もあります。
映像のシステムや伝送規格は多くの種類があり、内容を把握するのも大変かと思います。今回は、映像設備も携わる音響さんの助けになれればという思いを込めて、映像ケーブルについてのお話です。

映像ケーブルのあれこれ

映像ケーブル・伝送路の種類

音響設備では、マイクやスピーカー、最近ではLANなど、さまざまな専用ケーブルを使用していますね。
これは、伝送する信号の規格が、デジタルだったりアナログだったりとさまざまあり、それぞれに合った専用のケーブルが決められているためです。
映像設備も同様に、伝送する映像信号の規格によって、さまざまな専用ケーブルがあります。

・ 同軸ケーブル(BNCコネクター、Fコネクター)
・ HDMIケーブル
・ Display portケーブル
・ LANケーブル
・ 光ファイバーケーブル
・ USBケーブル
・ VGAケーブル
・ DVIケーブル
・ RCAケーブル

たくさんの種類がありますね。これ以外にもまだまだあります。
それぞれの映像ケーブルについて、今回は概要を確認していきましょう。

それぞれの映像ケーブル概要

同軸ケーブル(BNCコネクター)

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同軸ケーブルは、古くから防犯カメラ設備や、ホール・劇場のITVシステムカメラなどの映像伝送に用いられています。昔はアナログ映像信号に使われていましたが、近年は高解像度デジタル映像信号を伝送できる同軸ケーブルが登場し、アナログからデジタルに置き換えが進んできています。
HD-SDIの信号伝送は、数百メガヘルツ(MHz)やギガヘルツ(GHz)という、アナログと比較するとかなり高い周波数の信号を用いるため、高周波信号の伝送に適した規格と太さをもったケーブルを用いなければなりません。
HD-SDIのみならず、3G-SDI、6G-SDI、12G-SDIなど、映像信号の高解像度化にともないどんどん周波数が高くなっています。
ケーブルや電線材料のメーカーが、周波数による減衰特性などを公開しています。ケーブルの選定の際は、伝送規格に適したものを使用しなければ思わぬトラブルに見舞われることになりますのでご注意ください。

また、同軸ケーブルには、主に「特性インピーダンス」が異なる2種類が存在しています。50Ωと75Ωです。映像伝送は75Ωのものを使用します。
特性インピーダンスが異なるケーブルを使用すると、信号の反射が発生するなどして適切な伝送ができなくなります。インピーダンスを揃えること(インピーダンスマッチングと言います)にご注意ください。
機器の仕様書に特性インピーダンスを記載されている場合がありますのでメーカーの資料をご確認ください。

同軸ケーブル(F型コネクター)

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ご家庭のテレビの映像信号に使われているものを見たことがあるかもしれません。昔のアナログテレビ信号や、現代の地デジ信号の伝送、ケーブルテレビなどによく用いられています。
前述の同軸ケーブルと同様の線材を使うことが多く、接続コネクターのみが異なります。
BNCコネクターがバヨネット方式と呼ばれる、差し込んだ後に90度ひねって固定する方式である一方、こちらはただ差し込むだけのものや、ねじが切ってありコネクターにねじ込んで固定するものがあります。写真はねじ込み式のコネクターです。

HDMIケーブル

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この端子を見たことがある方は多いのではないでしょうか。PCや家庭用AV機器などで普及している端子と言えます。
高精細なデジタル映像信号のみならず、サラウンドを含む多チャンネルの音声や、イーサネットの信号も伝送可能です。
ただし、HDMIケーブルには、Mini HDMIケーブルなど複数の種類があること、伝送距離によってケーブルの接続方法の指定があるケーブルも存在することなど、注意が必要です。

Display port ケーブル

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前述のHDMIケーブルによく似たコネクター形状をしているケーブルです。近年、解像度の高いスペックが搭載されているディスプレイやコンピューターが普及してきており、見かけることも増えてきました。
接続する製品によっては、複数のディスプレイを数珠つなぎにして、それぞれの画面に映像を映せるものもあります。また抜け止めのロックがついているものもあり安心して使用できるほか、HDMIと比較して規格のライセンス料がかかっていないため、比較的安価に入手できるメリットがあります。

LANケーブル

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Ethernet伝送と同じLANケーブルを用いて映像をデジタル伝送する規格が多くあります。
Ethernet規格に適合しているものや、LANケーブルを使用するけれどもEthernetではないものなどさまざまあり、現在主流のものとしては

・ HDBaseT
・ NDI
・ SMPTE ST2110-20
・ SDVoE
・ Audinate社「Dante AV」

が挙げられます。

これらは、既存のネットワークインフラでの技術流用が可能で、コストパフォーマンスに優れた導入が可能となる場合があります。

光ファイバーケーブル

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SDIなどの電気信号をそのまま伝送する場合は、どうしても距離減衰をしてしまいます。数百メートルを超えるような長距離を伝送する際、SDI信号を光信号に変換し、光ファイバーにて長距離伝送を実現している製品があります。
光ファイバーには大きく分けてシングルモードファイバーとマルチモードファイバーがありますが、製品によって対応しているファイバーが異なりますので、ケーブルの選定時は機器の仕様を確認するようご注意ください。

テレビ局などで用いられる業務用のカメラには、電源と光信号をまとめて伝送できるカメラコネクタがついているものがあります。

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また、10メートルを超えるような長くて細いHDMIケーブルを見たことがある方もいるかもしれませんね。非常に長いHDMIケーブルには、コネクターの内部で光信号に変換し、光ファイバーを通して長距離の伝送をしているものもあります。

USBケーブル

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近年はUSB Type-Cケーブルが普及してきており、USB Type-Cケーブルでディスプレイに映像を伝送することも増えてきました。
PCと外付けディスプレイをUSB-Cケーブルで接続して画面を映す、ということを行っている人は多いのではないでしょうか。
USB Type-Cはよく似た見た目をしていても映像出力や伝送速度、Power Deliveryの規格が違う、という事があります。機器にUSB Type-C ポートがついていても、必ず映像が出力されるわけではないなど、使用するケーブルや製品が規格に適合しているか、注意が必要です。

VGAケーブル

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少し昔のディスプレイやプロジェクターに搭載されているのを見たことがあるかもしれません。
赤、緑、青を表示するためのアナログ信号をそれぞれ別の接点で伝送します。
近年はあまり見かけなくなりましたが、一部の業務用PCではこの出力を搭載する製品を見ることができます。
色成分以外にも、同期を取るための信号や、ディスプレイの解像度などの情報も通信します。

DVIケーブル

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こちらも少し前のPCやディスプレイに搭載されているものを見たことがあるかもしれません。
DVIコネクターには、同じような見た目をしておきながら、アナログ信号のみ対応のDVI-A、デジタル信号のみ対応のDVI-D、アナログ、デジタルどちらも伝送可能なDVI-I という種類があり、デジタル信号の中でもシングルリンクやディアルリンクといった伝送可能な解像度による違いなど、さまざまな種別がありますのでケーブルの選定には注意が必要です。写真はDVI-Dのシングルリンクコネクタです。

RCAケーブル

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昔のテレビやゲーム機に多く搭載されており、アナログ映像信号を伝送していました。
1本で各色の信号を伝送するコンポジット信号や、輝度信号と色信号を個別に伝送するコンポーネント信号などで使用されていました。

電波

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ケーブルではありませんが、みなさんの身近で活躍している映像の伝送路があります。電波です。
みなさんがご家庭で見ているテレビも、実はこの方式が多く使われています。
テレビ局から電波塔や人工衛星に送られた映像信号は、そこから電波で屋根の上のアンテナに届き、電気信号に変換されてテレビに映ります。
また、近年はカメラで収録した映像を無線で送受信する機器が販売されています。

おわりに

今回は、映像システムで使われるさまざまなケーブル、伝送路を紹介しました。
音と映像をまとめて信号伝送するものも多くあり、音響と映像がより切っても切れない関係になってきました。
用意したケーブルと機器側のコネクターが合わない、買ったケーブルで信号が映らないといった事態を避けるためにも、この記事がお役に立てれば幸いです。

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