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ホール、劇場のITVシステム

ITVシステム

近年、ITVシステムのデジタル化が進んでいます。そこで今回は、ホール、劇場のITVシステムの種類や、機器選定について紹介します。ITVシステムは、カメラを使用した監視設備です。ITVは、Industrial Television(工業用テレビ)の略です。ホールや劇場のITVシステムには、大きく分けて2種類の設備があります。

1つ目は、防犯・防災のためのITVシステムです(以下、防犯用ITVシステム)。出入口の監視や避難経路の確認を行い、施設の安心、安全を守ります。多くの場所にカメラを設置し、それらの映像を施設内の防災センターや監視室で一括監視するケースが一般的です。建物に付帯する設備として、電気設備工事の範疇で設置されます。

2つ目は、公演のためのITVシステムです(以下、舞台運営用ITVシステム)。公演の状況を出演者やスタッフに知らせるために使用します。例えば、公演中は舞台上の状況を舞台袖のスタッフや楽屋にいる出演者へ知らせたり、公演の準備中は搬入出の様子を知らせて安全を確認したりします。また、客席で公演を見られないお客様のために、ホワイエで公演の映像を映すこともあります。舞台運営用ITVシステムは、用途に沿ってカメラやモニターの性能や設置場所、映像の送り先を決めていく必要があります。舞台連絡設備として、舞台音響設備工事の範疇で設置されます。

ITVシステムは主に、映像を撮るカメラ、伝送された映像を分配する分配器、映像を映し出すモニターの3つで構成されます。これらの間をどのような方式で伝送するかも重要なポイントです。

【 防犯用ITVシステムと舞台運営用ITVシステムの違い 】

【 防犯用ITVシステムと舞台運営用ITVシステムの違い 】

ホール、劇場のITVシステムの機器選定

舞台運営用ITVシステムは、公演の進行状態をリアルタイムで確認したり、公演に必要な場所を見えるようにしたりするための運営補助として使用します。さらに、ホワイエにいる観客に向けて劇場・ホール内の状況を知らせるなど、さまざまな役割があり、その役割にあった機器を選定します。

◆ カメラ

カメラは、設置場所とその環境に合わせて選定します。例えば、暗転中の舞台を見たい場合や暗所の安全確認をしたい場合は暗視性能のあるカメラ、広い範囲を見たい場合は広角カメラ、カメラの向きや画角を動かしたい場合はリモコンでリモート操作できるカメラを選択します。

舞台下手袖に設置されたカメラ 舞台下手の状況確認用

舞台下手袖に設置されたカメラ
舞台下手の状況確認用

 舞台上手袖に設置されたカメラ 上手袖の出演者の出待ちや仕込みの状況確認用

舞台上手袖に設置されたカメラ
上手袖の出演者の出待ちや仕込みの状況確認用

投光フレームに設置されたカメラ 	客席の状況確認用

投光フレームに設置されたカメラ
客席の状況確認用

2階席先端に用途に応じて設置された4台のカメラ  
左より赤外線ライト(暗視用)、4Kカメラ(ホワイエのお客様用)、 暗視カメラ(暗転時用)、
リモート操作可能なカメラ(舞台監督用)、定点カメラ(スタッフ用)

2階席先端に用途に応じて設置された4台のカメラ
左より赤外線ライト(暗視用)、4Kカメラ(ホワイエのお客様用)、 暗視カメラ(暗転時用)、リモート操作可能なカメラ(舞台監督用)、定点カメラ(スタッフ用)

◆ モニター

モニターは、設置する部屋や、そこで視聴する人に合わせて選定します。例えば、1つのモニターで複数の映像を同時または切り替えながら監視する場合は、モニターとスイッチャーを組み合わせてシステムを構築します。具体的には、舞台技術者のいる舞台下手袖では、舞台正面や演者が登場する上手袖、観客のいる客席やホワイエなどの監視を行います。一方、楽屋に設置する場合は、出演者がテレビ(地上波放送)も見られるように、テレビモニターを使用する場合もあります。この場合、カメラの映像はテレビ共聴機器を用いて地上波チャンネルに割り込ませて配信します。

舞台下手袖の音響架に設置されたモニター 常にさまざまなスタッフが常駐するため、すべてのカメラの映像が確認可能

舞台下手袖の音響架に設置されたモニター 常にさまざまなスタッフが常駐するため、すべてのカメラの映像が確認可能

◆ 伝送方式

伝送方式は、カメラからモニターまでの伝送距離と遅延時間を考慮して選びます。近年は、HDMIよりも長距離伝送することができるHD-SDI規格を使用することが多くなっています。ネットワーク伝送は、分配や長距離伝送が容易で便利ですが、遅延が大きいため、舞台運営用ITVシステムではまだあまり普及していません。また、映像で演出のタイミングを計りたい場合は、カメラ・モニター・伝送方式を合わせた遅延時間がなるべく少なくなるよう工夫してシステムを構築します。下の表のように、どこで、どの映像を必要とするのかをまとめると、各機器に求める要素を絞り込むことができます。

例)ITVシステムの星取表

例)ITVシステムの星取表

まとめ

ITVシステムの種類と機器選定についてご紹介しました。舞台運営用ITVシステムは、必要となる機能を明らかにして、設置する機器や配信の伝送方式を選択していきます。音響設備と同様に、施設ごと目的に沿って検討します。
当社では、音響設備だけでなく舞台連絡設備の一環として、公演の運用を支援する舞台運営用ITVシステムの提案、施工を行っています。

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