ヤマハサウンドシステム株式会社

バイノーラル使ってみた

「バイノーラル」という言葉、耳にしたことのある方は多いと思います。最近は音楽ストリーミングサービスや動画配信サービスでもバイノーラル技術を使った音を聴けるようになるなど、段々と身近になっています。
左右2つのイヤホンで聴いているのに、四方八方あらゆる方向から音が聴こえてくるバイノーラル音源は、なんだか不思議な心地がしますが、一体どんな仕組みなのでしょうか?また、どんな活用法や楽しみ方があるでしょうか?

バイノーラル使ってみた

バイノーラルってなに?

音は、音が鳴っている位置によって、鼓膜に届くまでの距離やレベル、周波数特性などが少しずつ異なります。
例えば目の前の人と話すときには、正面から耳の穴へ入った音と 顔や胸元で反射した声が、何度も反射しながら鼓膜に届きます。一方、少し離れた背後から声をかけられたときには、遠いぶん音の到達時間は遅く、後頭部や背中に当たった音が頭を回り込んで耳の穴に入ります。

このような、音源から耳までの 音の通り道による特性を、頭部伝達関数HRTF:Head Related Transfer Function)と呼びます。人や動物は、生活する中で自分の頭部伝達関数を学習し、方向を認識していると言われています。

元々の音源に頭部伝達関数を適用することで、仮想的に音の位置を再現するのがバイノーラルの技術です。こうすることで、距離感や方向感をもった、没入感のある音を作っているのです。(参考: Tip17人はどうやって音の方向を感じるの?

聴いてみよう

バイノーラルの仕組みをご説明しました。言葉にするとちょっとややこしかったかもしれません。
百聞は”一聴”に如かず、ということで、実際に音源を聴いてみましょう!

足音が、頭の周りを一周する音源を用意してみました。ぜひヘッドホンをつけてお聴きください。

※ 音声が再生されます。ボリュームを調整してご視聴ください。

バイノーラル使ってみた

いかがでしたか?
元の音素材は同じ場所で足踏みを繰り返していますが、頭部伝達関数を適用して左右の耳に入ってくる音の音量差や時間差、音質を変化させることで、まるで音が頭の周りを動いているように聴こえます。

イマーシブとバイノーラル

上のバイノーラル音源は、ヤマハのイマーシブオーディオソリューションのひとつ、音像制御システム「AFC Image」を使って制作しました。*
イマーシブオーディオというと、ホールや映画館などの大空間で使われるサラウンドシステムのようなものを想像される方が多いかもしれませんが…実は、バイノーラルとイマーシブオーディオは相性が良く、切っても切れない関係にあるのです。

イマーシブオーディオとバイノーラルを組み合わせた使い方は主に2つあります。

1. イマーシブ作品のモニタリング
2. 没入感たっぷりの音でストリーミング配信

1. イマーシブ作品のモニタリング

大空間でたくさんのスピーカーをつかうイマーシブ作品ですが、音源の制作期間中ずっと会場を貸し切るのは現実的でないですよね。イマーシブ作品を制作するための製品やソフトウェアには、制作中の作品をバイノーラルに変換する機能が搭載されているものも多くあります。作品をバイノーラル化してヘッドホンでモニターできるようにすることで、制作環境はいつもどおりのまま、耳元は会場にいるような感覚で作業することができます。
また、実際にホールや劇場で上演するときも、客席と隔てられた音響調整室にいる場合はバイノーラルを使ったモニタリングが活躍します。

2. 没入感たっぷりの音でストリーミング配信

バイノーラル音源は、全方位から音が聞こえるとはいえ左右2chの音源です。ステレオ音源が扱えるプラットフォームであれば同じように配信することもできます。
ライブ配信にバイノーラル音源を使えば、まるで自宅が会場かのように!…とまでは難しいかもしれませんが、会場の外にいるお客様にも没入感のある体験を共有できるでしょう。
ヤマハの音場支援システム「AFC Image」は、バイノーラル出力にマイクで集音した客席の音も加えられるので、歓声や拍手といった客席の空気感も一緒に配信することができます。

バイノーラル使ってみた
*主なバイノーラル音源の作成方法として、頭部の形を模したダミーヘッドマイクロフォンに音源を入力して録音する方法と、音源にデジタル信号処理で頭部伝達関数を適用してバイノーラル化する方法の2種類があります。今回使用したヤマハ「AFC Image」は後者にあたり、平均的な頭や耳の形の頭部伝達関数を採用しています。

まとめ

今回はバイノーラルについて、仕組みと例をご紹介しました。ステレオ再生は戦後から普及し現在まで長きに渡り主流ですが、近年バイノーラルやイマーシブといった没入感を重視した方法も、かなり話題になってきました。
進歩しつづける技術を体験しながら、音へのワクワクを感じていただけたら幸いです。

新しい技術を学んで、さらに音を追求できるような情報を、今後も掲載していきます。これからもお楽しみに。

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