ヤマハサウンドシステム株式会社

音響ラックのここに注目!

ホールや劇場、スポーツ施設などの施設じゅうに音を届けるための大事な音響機器がたくさん詰まった音響ラック。そこには、設計や施工のこだわりもぎゅっと詰まっています。
特に気を配るのが、「使いやすさ」と「安全性」。当社の担当に話を聞いてみました!

音響ラックのここに注目!

使いやすさの追求

まず、当社で音響機器を配置する際に気をつけているのが、「使いやすさ」です。
使いやすい音響ラックにするためには、どのような配置で音響機器を組み込んでいくのがよいでしょうか。

よく使うものは見やすく、手が届く位置に

音響機器を組み込むラックはさまざまな高さのものがありますが、中でも代表的なのが、音響調整室などに常設する2mほどの大型ラックです。
音響機器は配置する高さがよくないと操作しづらかったり、そもそも手が届かないことも考えられます。操作する音響機器は見やすく手の届く位置に配置します。簡単なことのようですが、日々ストレス無く快適に使うための、大切な工夫のひとつです。
下の図は、当社が設計時に作成する図面の一部です。操作する人の身長や目線を考慮しながら配置を考えています。

音響ラックのここに注目!

人が描かれている図面

誤って触れたくないものは手の届きにくい位置に

反対に、必ずしも見えやすい・手が届きやすいのが良いとは限らない音響機器もあります。
例えばルーターやLANスイッチなどのネットワーク機器は、あえて音響ラックの上部の奥まったところに配置します。ネットワーク機器は機器の前面にケーブルを接続するものが多く、ケーブルが前に飛び出します。この飛び出したケーブルに誤って人や物がぶつかると、ケーブルが抜けて音が止まってしまったり、怪我や事故などの意図しないトラブルに繋がりかねません。これを防ぐため、音響機器をパネル面から少し奥まった位置に設置する「リセス設置」を行います。
また、一度設定したルーターやLANスイッチは再度操作する必要がほとんどないので、更にアクリルパネルで覆うことで簡単には手が届かないようにします。

音響ラックのここに注目!

リセス設置の様子

音響ラックのここに注目!

アクリルパネルで覆ったLANスイッチ

目立たせたくないものは地味に

ネットワーク機器をはじめ多くの音響機器には通信や電源の状態を示すインジケータがついていることが多いですが、公演の本番は、客席の電気を消した暗い環境で行われることが多く、インジケータの光が目立ってしまうことがあります。
本番中に音響機器のインジケータがチカチカと見切れていたら、気になってしまいますよね。
そうならないように、客席に光が漏れない配置を考えたり、音響ラックの前面ににスクリーンを設置したり、暗い色の付いたカバーを被せたりなど、公演の邪魔にならないような工夫をしています。

音響ラックのここに注目!

カバーなしの状態

音響ラックのここに注目!

カバーありの状態

安全性の追求

ここまでお伝えしてきた「使いやすさ」は、いい音がトラブル無く音が出続ける、人が怪我しないなどの「安全性」の上に成り立つものです。快適さの土台となる「安全性」に対する、妥協ないこだわりをご紹介します。

見えない場所でのトラブルを防ぐ

音響機器どうしを接続するケーブルは、音響ラックの内部で丁寧にまとめます。外からは見えない部分ですが、ぐちゃぐちゃにしておくとケーブル自体の重さが負荷となり、抜けたり傷んだりしてしまう恐れがあるからです。束線棒やケーブルダクトを使って用途ごとに束ねます。
また、一時的にケーブルを外した後に簡単に元通りにできるよう、行きかうケーブルの両端に音響機器やポートの名前を書いた札をつけ、行き先をひと目でわかるようにします。

音響ラックのここに注目!

パッチ盤の裏側 アナログケーブルの規則的な束線。

音響ラックのここに注目!

行き先を表示する札の一例。

ちなみに、たるみなくピシッとケーブルを整理しておくのがよいとも限りません。ケーブルに余裕がないと、メンテナンスの際に音響機器をラックから引き出して外したり、正しく復旧させたりする作業が困難になってしまうからです。メンテナンスのしやすさも考えて、丁寧に束線します。

ノイズを防ぐ

アナログケーブルは、マイクやライン入力などの微弱な電気信号を取り扱うため、外来ノイズによる影響を受けやすいです。電源ケーブルやスピーカーケーブルのような比較的大きな電流が流れるケーブルと一緒に配線すると、アナログケーブルにノイズ混入する可能性があります。これを防ぐため、アナログケーブルはその他のケーブルと離隔をとって配線します。

音響ラックのここに注目!

配線作業中のラック裏。電源ケーブルと音声ケーブルを分けて配線する。

また、音響機器の信号用アースは一般保安用のものとは別の単独のものに接続します。音響ラックは一般保安用アースと混触しないよう建築躯体、配線用部材との接続部分に気をつけます。

熱トラブルを防ぐ

音響機器は高温になると停止して音が出なくなってしまう恐れがあります。各音響機器が発する熱を音響ラックの外へ逃がすように、空気の流れや熱の伝わり方を考えます。放熱用のファンを使用する場合は、ファンの動作音が許容できるかどうかもポイントです。音響ラックの熱対策については、Tips 音響ラックの熱対策 で深く取り上げています。ぜひあわせてご覧ください。

決して事故が起こらないように

重く背の高い音響ラックを設置するには安全対策が欠かせません。
音響ラックを据え付ける際は、設置する条件から算出したアンカーボルトでの固定や、壁などから転倒防止の措置を行います。緩み止めの処理を行うなど、決して事故が起こらないように、なによりも「安全」を重視した工事を行います。

まとめ

ご紹介したいポイントが多すぎて、ついつい いつもよりも長めのTipsになってしまいました。
どっしりと大きな音響ラックですが、細部までこだわって製作することで、ストレスや事故無くお使いいただけるように工夫しています。音響ラックを見かけることがあったら、ぜひ注目してみてください。それでは、グッドラック!

定期保守点検のご案内

【施設紹介】イベント制作会社・乗り込みスタッフ向け 施設情報を随時募集中!

リースのご案内

10周年

facebook

ヤマハ プロオーディオ

Copyright © 2024 Yamaha Sound Systems Inc. All Rights Reserved.