ヤマハサウンドシステム株式会社

デジタル音響システムの電源と電源制御

前回のTipsでは、ノイズによるスピーカー破損を防ぐための電源ON/OFFの順番についてご紹介しました。まだご覧になっていない方は こちら もぜひご覧ください。今回は電源ON/OFFの順番第2弾、デジタル音響機器についてのお話です。
音響機器のデジタル化やネットワーク化は、音響システムに大きな変化をもたらしました。膨大な数のチャンネルの音声を伝送・処理したり、タブレット端末で気軽にリモート操作をしたり、性能も利便性も日々進歩しつづけています。一方で、高度で大規模なシステムを安定して稼働させるためには、少々知識や注意が必要な場合があります。デジタル音響システムを快適に、そして安全に使うためのポイントをご紹介します。

デジタル音響機器のエラーを防ごう

デジタル音響機器やそれらを組み合わせた音響システムは、「ネットワーク」や「デジタル通信」を意識した電源のON/OFFを行います。以下、デジタル音響機器特有の約束ごとをまとめました。

・ネットワークを使用したシステム

利便性や効率の向上に大きく貢献しているネットワーク。その土台となるルーターやLANスイッチ、無線LANアクセスポイントは、ほかの音響機器よりも先に安定した状態をつくっておかねばなりません。もし、ネットワークを介して通信する音響機器が先に起動してしまうと、通信先を見つけられず一時的にエラーとなるなど、正常な接続ができるまでに長い時間を要することがあります。 ネットワーク通信をしっかりと確立させてから、音響機器の電源を入れましょう。

・ワードクロックジェネレーターを使用したシステム

ワードクロックジェネレーターはデジタル音響機器の指揮者ともいえ、指揮に合わせて音楽が演奏されるように、ワードクロック信号に同期してデジタル音響機器の通信が成立します。そのためワードクロックジェネレーターは、すべてのデジタル音響機器よりも先に安定してワードクロック信号を出力していなければなりません。ワードクロックジェネレーターが先に立ち上がっていないと、それぞれの機器が同期できずエラーを起こしたり、パチパチとノイズが発生する場合があります。ワードクロック信号が正常に出力され、指揮者の準備が整ってから、音響機器の電源を入れましょう。

・いくつかの機器を組み合わせたシステム

デジタル音響機器を組み合わせたシステムの起動時は、同期状態が安定するまでにノイズが発生する場合があります。ノイズがスピーカーから出ないように、アナログの音響システムと同様、パワーアンプは最後に電源を入れ、切るときは最初に切りましょう。
内部にコンピュータなどを搭載した音響機器は、電源を切る前にシャットダウンが必要な場合があります。シャットダウン処理をせずにいきなり電源を切ると、設定したデータを保存できなかったり、次にうまく立ち上がらなかったりする恐れがあります。製品取扱説明書などで確認しましょう。

デジタル音響システムの電源と電源制御

安全で効率的な電源の制御

ホールや劇場、スポーツ施設などに常設する音響設備となると、膨大な数の音響機器が施設のあちこちに配置されているため、人の手で正しく電源の操作を行うことは非常に難しいと言えます。毎回電源の順番を考えながら施設じゅうを歩き回るのは気が遠くなるほど時間がかかるうえに、誤って本番前に破損やエラーを起こしてしまったら……想像もしたくありません。
そこで、当社は音響システム全体の電源を正しい順番でON/OFFする「電源制御システム」を提案・導入しています。

◎ ポイント ◎

・通信の土台となるネットワーク機器は、すべてのデジタル音響機器より先に電源を入れる。切るときは最後に。(設備では常時電源ONを推奨)

・ワードクロックジェネレーターはすべてのデジタル音響機器より先に電源を入れる。切るときは最後に。(設備では常時電源ONを推奨)

・音響システムの電源を入れるときは音の入り口から、切るときは音の出口から。

・シャットダウン処理が必要な機器は、シャットダウン処理をしてから電源を切る。

電源ON/OFFの順番やタイミングを自動化することによって、スイッチひとつで安全かつ効率的に、音響設備全体の電源を一括制御できます。設定する順番やタイミングは構成する音響システムによって異なるため、お客様の要求仕様に合わせてカスタムメイドします。

システム電源スイッチの例

システム電源スイッチの例

システム電源スイッチに連動するリモート開閉器を搭載した HYFAX 電源制御部「RP1MB」

システム電源スイッチに連動するリモート開閉器を搭載した HYFAX 電源制御部「RP1MB」

まとめ

前回に引き続き、音響機器の電源を入れるとき・切るときのポイントについてご紹介しました。電源の順番は音響システムの健康に直結する大切な約束ごとです。仮設システムを組むときは手動で音響機器の電源を操作することになりますので、適切な順番を確認して作業に入るとよいでしょう。また、複数人で設営や撤収を行う場合は、声を掛け合うなど、間違いのないように気をつけましょう。常設の音響設備では、電源を自動化する仕組みを使うと効率的な運用につながります。
電源ON/OFFの正しい順番をしっかり身につけて、機器を安全に、大切に扱っていきましょう!

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