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第二幕 Act5
公益財団法人 札幌市芸術文化財団
札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

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第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団
札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

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札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

公益財団法人 札幌市芸術文化財団 市民交流プラザ事業部 管理課 舞台調整係 佐藤 令奈 氏(写真 左)
ヤマハサウンドシステム株式会社 マーケティング部 マーケティング課 野村 有佳子(写真 右)

公益財団法人 札幌市芸術文化財団 市民交流プラザ事業部 管理課 舞台調整係 佐藤 令奈 氏(写真 左)
ヤマハサウンドシステム株式会社 マーケティング部 マーケティング課 野村 有佳子(写真 右)


「Intermission(幕あい)」とは、一幕が終わって、次の一幕が始まるまでの間。舞台に幕が下りている間のこと。このシリーズでは、ヤマハサウンドシステムが日頃お世話になっているホール・劇場の世界を牽引するキーマンの方々に、市場のトレンドやヤマハサウンドシステムへの期待などを、その仕事の「Intermission(幕あい)」に語っていただきます。
第二幕 Act 5にご登場していただくのは、公益財団法人札幌市芸術文化財団 市民交流プラザ事業部 管理課 舞台調整係の佐藤 令奈 氏です。文化の発信地として「札幌文化芸術劇場 hitaru」が担う役割や、今後の劇場のあり方についてお話をうかがいました。

プロフィール 佐藤 令奈(さとう れいな)
北海道札幌市出身。大阪芸術大学舞台芸術学科舞台音響効果コースを卒業後、公益財団法人札幌市芸術文化財団に就職、市民交流プラザ開設準備室の一員として舞台音響を主に「札幌文化芸術劇場 hitaru」の立ち上げに関わる。「札幌文化芸術劇場 hitaru」オープン後は市民交流プラザ事業部舞台技術課にて舞台音響に従事し、さまざまな公演に携わる。現在は、市民交流プラザ事業部 管理課 舞台調整係として劇場管理業務を主に担当。

北海道の文化芸術活動の発信地「札幌文化芸術劇場 hitaru」

野村:まず「札幌文化芸術劇場 hitaru」について教えてください。

佐藤氏:「札幌文化芸術劇場 hitaru」は客席数2,302席の劇場で、アーティスト公演やクラシックコンサートはもちろんオペラ、バレエ、ミュージカルなど本格的な舞台芸術の鑑賞が行える北海道の文化芸術の発信地として作られました。2018年9月に閉館した「ニトリ文化ホール(旧北海道厚生年金会館)」の後継施設にもあたり、地域の文化や人々の交流を促進し、情報の共有やコミュニティの結びつきを深める場である複合施設「札幌市民交流プラザ」の一部を構成しています。

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

公益財団法人 札幌市芸術文化財団 市民交流プラザ事業部 管理課 舞台調整係 佐藤 令奈 氏

野村:「札幌文化芸術劇場 hitaru」にはどのような特長がありますか。

佐藤氏:劇場が主体となって作品を制作する「創造型劇場」であることが特長です。今は日本各地にいくつか創造型劇場がありますが、当時北海道にはなかったので札幌に創造型劇場を造ることが「札幌文化芸術劇場 hitaru」のコンセプトでした。
ちなみに今年(2023年)の2月に「フィガロの結婚」を上演しましたが、これは当劇場が主体となって制作した作品です。技術などのスタッフも札幌の人材を採用し、大道具も札幌で作り、衣裳にもデザイナーを招聘して札幌のアトリエで製作しました。そのように札幌のリソースを最大限に活用して制作した作品といえます。

野村:素晴らしいですね。その他には、どのような催事が多いのですか。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 マーケティング部 マーケティング課 野村 有佳子

佐藤氏:代表的な催事は?と聞かれてもすぐには言えないぐらい多種多様な催し物をやっています。地元札幌の中・高生の定期演奏会、企業のセミナーや学会、3階のクリエイティブスタジオを含めるとカラオケ大会も開催しました。先日は地元の有名なよさこい団体の公演も行って大劇場が満席となりましたね。また「サッポロ・シティ・ジャズ」の冬季シーズンは「札幌文化芸術劇場 hitaru」が会場となり過去には大野雄二さん、日野皓正さんやスティーヴ・ガッドさんなど国内外の著名アーティストが出演しました。地元の文化から世界的なアーティストまで、まさに多岐にわたる文化を発信する役割を担っています。

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札幌文化芸術劇場 hitaru 」(当社HP納入事例より)

野村:とてもきれいな劇場ですし、規模も大きいですから、札幌の方、北海道の方にとっては憧れの舞台でもあるんでしょうね。

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

佐藤氏:そうですね。「周年事業などでいつかはhitaruの舞台に立ちたい」というお声も頂き、嬉しく思っています。利用料金はやや高めですが、客席数を制限した使い方や非営利団体のご利用なら安価な金額でお使いいただける料金設定もご用意しており、できるだけ多くの市民の方々に気軽にご利用いただけるよう工夫しています。

「劇場管理」とは常にベストな状態で
使ってもらえるようにしておく仕事

野村:佐藤さんご自身についてお聞かせください。佐藤さんは、どのような経緯で「札幌文化芸術劇場 hitaru」に関わるようになったのですか。

佐藤氏:私はもともと札幌の出身なんです。大学は大阪芸術大学に進学し舞台芸術学科舞台音響効果コースを卒業し、しばらくは大学の研究室で学生や先生方をサポートする仕事に就いていました。学生時代から大学の先生の紹介で奈良県のホールにお世話になり、「劇場管理」の仕事を知って興味を持つようになりました。そして鮭が遡上するように北海道に戻って(笑)札幌市芸術文化財団に就職しました。当時はまだ、「市民交流複合施設(のちの市民交流プラザ)」の準備室があっただけで劇場は影も形も名前すらない頃でした。

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

野村:では劇場ができる前から「札幌文化芸術劇場 hitaru」に関わっていたわけですね。立ち上げの時点で佐藤さんのお仕事を具体的に教えてください。

佐藤氏:劇場管理とは施設や資材をメンテナンスし劇場を常に一番良い状態に整え、最高の状態でお客様に使っていただけるように管理する仕事なんです。でも劇場の立ち上げ時点ではどんな方が、どんな風に使うのかわらなかったので、完成後を想像しながら設備や機材を決めていきました。今にして思えば、大阪から札幌に帰って来たばかりの「現場とは」をよく知らない新人に、よく設計段階の大切な時期を任せてくれたなと思います。

野村:計画の段階に佐藤さんが提案されたことで、印象に残っていることはありますか。

佐藤氏:よく覚えているのはホワイエのスピーカーですね。実は、設計の段階ではホワイエのスピーカーは完成後のいまの数より少なかったんです。当時は様々な劇場がこの問題を抱えており、改修工事で解決した事例を多く聞きました。当初の設計ではこの劇場もホワイエでアナウンスやベルが十分に聞こえないと感じましたので、開業を前にスピーカーを10基ほど増設しました。

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野村:それは実際に音響に携わっていた佐藤さんだからこその気づきですね。開館後も音響出身であることが劇場管理においてプラスになっているのでしょうか。

佐藤氏:なっていると思います。もちろん照明や舞台機構についても勉強していますが、音響については深いレベルまでお客様の相談に応じることができます。
たとえば催事でもマイクはハンドマイクなのかピンマイクなのか、あるいはヘッドセットが必要なのかが判断できますし、最近ビッグバンドの利用が増えていますが、「フットモニターは必要ですか? 少なくともピアノには必要だと思います」とか、ドラムにはマイクで2本だけでいい、という利用者にも「キック、ハイハット、スネア、そしてオーバーヘッド2本で、5本くらいは必要だと思います」と音響の現場にいたからこそわかるアドバイスが行えます。備品代の請求額にも関わる部分なので、少額で見積もると現場が困りますからね。

野村:音響の現場をよくご存じなので、本番での苦労ができるだけ少なくなるような提案があらかじめできるんですね。素晴らしいと思います。

佐藤氏:ありがとうございます。ただ、音に関しては「いい音」といっても、100人いれば100人がそれぞれ違うかもしれないですよね。ですから貸館の場合はどこまでこちらから提案していいのか、そこはまだ悩みどころです。当日のオペレーターは私ではないので尚更です。

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

人材を育成し、仕事に就ける環境を作ることも創造型劇場の役割

野村:音響の話になりましたので、「札幌文化芸術劇場 hitaru」で音響を担当する株式会社北海道ステージアートアライアンスの石井悠貴さんにもご参加いただきたいと思います。石井さんは「札幌文化芸術劇場 hitaru」の音響担当としてどんなことに留意していますか。

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石井氏:ホールが開館してから3年間はベテランの音響技術者がメインオペレーターを務めていましたが、その先輩が異動となり、今は私がメインオペレーターを務めることが多くなりました。「札幌文化芸術劇場 hitaru」は規模の大きなホールですから、音響担当としては広い視野が必要だと感じています。どこの作業で何が起こっているか、劇場の至る所に設置されているスピーカーをどう運用すればより聴こえやすくなるかなど、常に全体を把握している必要があり、けっこう大変です。

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株式会社北海道ステージアートアライアンス(「札幌文化芸術劇場 hitaru」 舞台技術部 音響担当) 石井 悠貴 氏

野村:「札幌文化芸術劇場 hitaru」は自主公演も多く企画されていますが、石井さんは自主公演の音響にも関わっているのですか。

石井氏: 2022年から「Creative Art Mix(クリエイティブ・アート・ミックス)」と銘打った自主公演を開始していて、その音響に携わっています。会場は劇場ではなく小規模な3階クリエイティブスタジオですが、そこでの音楽はジャズ、ヒップホップ、ポップスなど様々なジャンルの音楽が生バンドで演奏されるので結構大変なんですが、頑張っています。

野村:メインオペレーターとしての裁量が試される催しですね。

石井氏:はい。これまで仕事で得た経験を受け継ぎつつ、さらにそこに、いろんなコンサートやライブで得た知識や、自分の音楽観も含め、自分の色も少し出せていけたら、と思っています。

野村:裁量が大きい自主公演に若手を起用して育成することも創造型劇場の役割、ということでしょうか。

佐藤氏:おっしゃる通りです。ゆくゆくは石井さんが大劇場のメインオペレーターとして自主公演に携わることになります。そうすればもっと裁量は大きいですし、できることも増える。それに伴って苦労も大きくなりますが、それが成長につながるのだと思います。
こうしたことは一昔前のいわゆる「箱もの」と呼ばれる貸館がメインの劇場ではできません。創造型劇場は、地元のアーティストやスタッフを育むという役割を担っていますから、テクニカル始め制作も含め、その仕事に就ける環境を作ることで、首都圏への人材流失に歯止めをかけたいと思っています。

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毎日の催事にいつでも真摯に向き合いたいから、
あえて「半人前」でいる

野村:ホームページを御覧の方々には音響を志す若者も多いと思いますので、劇場に携わる楽しさや、佐藤さんがモットーとしていることなどがあれば教えてください。

佐藤氏:私、実は最初は「ミュージカルの音響」をやりたいと思ったんです。でも実際に音響の仕事を始めて見たら、ロングランが向かない性格であることがわかって劇場付の仕事を選びました。たぶん、色々やりたい人なんですよ。
劇場なら一つ一つの催し物が毎回全然違います。たとえば講演会であれば、一見どれも同じに見えても、利用者が違えば、スクリーンサイズも違うし、ハンドマイクかピンマイクか、など利用者のニーズも違います。やっぱり毎回毎回が別の講演会なんです。
ですから私は、あえて「慣れない」ようしています。それは一つ一つに真摯に向き合うということです。

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一つの催しは、私たちにとっては年間に300ある中の一つかもしれませんが、お客様にとっては1年の集大成かもしれないし、吹奏楽の卒業公演だったらそれこそ一生の思い出となる晴れ舞台なのかもしれません。ですから似たような催しであってもルーティンにせず、それぞれがお客様にとって大切な公演であることを肝に銘じたい。だから年を取ってもずっと「半人前」の気持ちでいたいんですよ。半人前なら仕事を慎重に、丁寧にしなくちゃいけない。慣れやだれる気持ちを律しながら、毎日の催しに向き合っていきたいと思っています。
私の中で「一人前」というのは処理の速さ、正確さも大切ですが、何事もなく終演するようご案内できること、何よりも提案や代替案のレパートリーが豊富であることです。「半人前」らしく、日々の出来事や先達からどん欲に情報のインプットも心がけたいと思っています。

野村:若手人材の育成に関して「札幌文化芸術劇場 hitaru」としての取り組みはありますか。

佐藤氏:劇場の技術者は、音響なら音響係、照明なら照明係と、それぞれの仕事が独立していて、垣根があります。その傾向は大きな劇場になればなるほど強いと思います。でも「札幌文化芸術劇場 hitaru」ではその垣根を取り払い、劇場やホールに関わる業務をオールマイティーにできる人材の育成に取り組んでいます。
私自身、音響から事務に異動してから照明や舞台、映像について改めて勉強し直しました。例えば、白いホリゾントに白い看板だと映えないからブラックスクリーンにするとか、明るさを求められているエリアのためには何台の灯体が最低限必要か、どこから当てるかということは、音響の時は知りませんでした。でもそれらを当劇場の専門員から学んだ今、舞台人みんなにとって必要な知識だと感じています。そんな思いもあって、ここでは若手には舞台、照明、音響/映像と各専門分野を1年かけて学んでもらいます。そこで総合的な知識を得た上で、自分のやりたい専門を見定め、その道を極めてくれることを願っています。

野村:今後の「札幌文化芸術劇場 hitaru」について、展望はありますか。

佐藤氏:「hitaruの舞台で踊るのが夢」「いつかはhitaruのステージで歌いたい」と憧れられるような場であり続けたいですね。舞踊で例えるなら、今はコールド(群舞)で舞台に立つ10代の若いダンサーが、ゆくゆくは世界に羽ばたき、ソリストとしてこの「札幌文化芸術劇場 hitaru」に凱旋してくれる、そんな劇場でありたいです。もちろん出演者だけではなく、スタッフにも北海道、札幌の若い人材を引き続き登用していきたいですね。一時的に道外へ出ても、ここ北海道、札幌でも仕事があると、できるだけ多くのアーティストや舞台人が、ステージに関わることができる環境を作っていきたいと思います。

第二幕 Act5 公益財団法人 札幌市芸術文化財団 札幌文化芸術劇場 hitaru 佐藤 令奈 様

野村:創造型劇場として作品を世に送り出すことには、人や地元の未来を創造することも含まれるのですね。今後の発展が楽しみです。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

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