ヤマハサウンドシステム株式会社

第二幕 Act4
公益財団法人 富士市文化振興財団
富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

第二幕 Act4
公益財団法人 富士市文化振興財団
富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

  • ホーム
  • 幕あい
  • 第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

第二幕 Act4 公益財団法人 富士市文化振興財団
富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

第二幕 Act4
公益財団法人 富士市文化振興財団
富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 氏(写真 左)
ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 東京営業所 営業課 主任 齊藤 健太(写真 右)

富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 氏(写真 左)
ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 東京営業所 営業課 主任 齊藤 健太(写真 右)


「Intermission(幕あい)」とは、一幕が終わって、次の一幕が始まるまでの間。舞台に幕が下りている間のこと。このシリーズでは、ヤマハサウンドシステムが日頃お世話になっているホール・劇場の世界を牽引するキーマンの方々に、市場のトレンドやヤマハサウンドシステムへの期待などを、その仕事の「Intermission(幕あい)」に語っていただきます。
今回は富士市文化会館 ロゼシアター開館当初から30年にわたって音響・運営に携わってきた長谷川 圭一氏。市民のためのホール、劇場、会館は地域に対してどんな存在であるべきか、そしてそれら施設の管理・補修に対する考え方などについてうかがいました。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

プロフィール 長谷川 圭一(はせがわ けいいち)
1970年静岡県出身。公益財団法人富士市文化振興財団職員。「富士市文化会館 ロゼシアター」の開館(1993年)当時から音響技術者として従事し、さまざまな催し物に携わる。2006年富士市の指定管理者制度導入に伴い、公益財団法人富士市文化振興財団が富士市文化会館の指定管理者となる。以降、施設全体の運営管理を担う施設運営グループを主に担当。舞台機構調整(音響調整作業)一級技能士。日本音響家協会会員。

「富士市文化会館 ロゼシアター」は多くの市民が利用する地域の文化の中心

齊藤:最初に「富士市文化会館 ロゼシアター(以下、ロゼシアター)」について教えてください。

長谷川氏:「ロゼシアター」は1993年11月に「人が集まり憩える場」、「発表の場」、「文化を受ける、育てる場」、「新しい文化の創出の場」として開館しました。「ロゼシアター」には大・中・小の3つのホールがあり、オーケストラの演奏から全国ツアーを行うようなバンドのライブ、そして演劇や大規模なイベントまで、幅広い用途に対応しています。またプロによる興行だけではなく、市民の方々の利用が多いのも特徴で、詩吟や舞踊の発表会、近隣の企業の研修や会議などでもご利用いただいています。リピート利用も多くて市内の幼稚園のお遊戯会の発表は毎年行われていますし、静岡県は吹奏楽がとても盛んですが、静岡県東部の大会は毎年ロゼシアターで開催されています。富士市の市民であれば、誰もが一度は「ロゼシアター」に訪れたことがあるのではないでしょうか。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

富士市文化会館ロゼシアター 長谷川 圭一 氏

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

富士市文化会館ロゼシアター 大ホール

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

富士市文化会館ロゼシアター 中ホール

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

明るいロビーには103メートルにも及ぶタペストリー(シーラ・ヒックス作)が展示されている

齊藤:開館して30年も経っているとは思えないほどきれいな施設ですね。

長谷川氏:ありがとうございます。これは地域のみなさんが大事に使ってくださっているからだと、常に感謝しています。施設をきれいにしておけば利用する方にもきれいに使ってもらえるという思いから、日頃の維持管理に力を入れており、改修のスケジュールもきちんと組んでいます。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 東京営業所 営業課 主任 齊藤 健太

施設ができる前から携わることができたことが、一番の財産

齊藤:長谷川さんは、どのようなきっかけで音響の世界に入られたのですか。

長谷川氏:高校の頃にギターに夢中になったのがきっかけで、漠然と将来は音楽に関わる仕事に就きたいと思い、専門学校の音響芸術科に進学しました。当時はなんとなく選んだ進路でしたが、専門学校の同級生たちはみんなそれぞれ夢を持っていたので、とても刺激を受けました。彼らはすでに「コンサートの仕事をしたい」「テレビの仕事をしたい」などの具体的な目標を持っていて、在学中から目指す業界でアルバイトをして着実に現場経験を積んでいました。私も映像系の会社でアルバイトを始めました。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

齊藤:専門学校卒業後は、どんなお仕事に就かれたのですか。

長谷川氏:映像系の会社のアルバイトで映像と音を組み合わせることに興味を持ち、CMなどを手掛けるポストプロダクションの会社に就職しました。それが20歳の時です。当時はまだフィルムが終焉を迎えそうな頃だったので、映写機を回しながら、音声を光学録音してフィルムに記録するといった仕事をしていました。

齊藤:「ロゼシアター」には、どういった経緯で関わることになるのでしょうか。

長谷川氏:私の地元である富士市に新しい市民会館ができることになり、そこで舞台・照明・音響担当を募集しているという話を聞きました。私は長男でいずれは地元に帰るつもりだったので、これはいい機会だと思い、応募して採用されました。まだ「ロゼシアター」の形もない頃です。 当時私は23、4歳で、舞台音響の経験は全くのゼロでした。そんな私が、嘱託技術の方と一緒に「このホールにはマイクスタンドが何本必要なのか」ということからひとつずつ計画を立てていきました。とはいえ、まだ開館前で、この会館がどう使われるのかまったくわからない状態の中での作業でしたから、正解がまったく見えないなかでの試行錯誤でした。それでなんとか開館にまでこぎ着けました。今思えば、その時の経験が私にとって一番の財産になっていると思います。

市民会館としての「進化すべき面」と「継承すべき面」

齊藤:長谷川さんは開館以来30年間「ロゼシアター」に関わってこられたということですが、これまで市民会館に関わってきた立場から、市民会館とはどのような存在であるべきだとお考えでしょうか。

長谷川氏:市民会館の特徴は商業的な催し物や興行を数多く開催するホールとは違い、市民の方々の利用が多いことが挙げられます。そのような催し物ではほとんどの場合、舞台や音響の専門家はいませんので、できるだけ専門用語を使わずに、わかりやすい言葉で利用者とやりとりをしなくてはなりません。また本番でも、舞台監督のような動きができる方がいない場合、我々でお手伝いもします。市民のみなさんの催し物を専門家として支えていくのも、市民会館の大切な仕事だと思っています。
そして、リピート利用が多い市民会館として、もう一つ大切なことは「変わらない」ことです。たとえば音響ですが、音響は15年ほど前の大規模改修でアナログからデジタルへ移行しました。貸館としてお金をいただくからには、機器も最新のものをそろえ、最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えておく必要があるからです。ただ一方で、毎年開催される行事、たとえば吹奏楽などで去年までのホールの音の聴こえ方や使い勝手と全く違ってしまう、あるいは違和感があると、出演者が困ることもありえます。会館としての音響のスペックを最新のものに進化させつつも、同時に開館以前から培って来た「ロゼシアターらしさ」も継承する。そういった「変わらなさ」も、私たちには求められると思います。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

齊藤:徹底した利用者目線を前提とした運営が求められるのですね。これだけ多くの方に利用されている会館ですから、急に音が変わってしまうと戸惑う演者の方もいらっしゃるかもしれません。音の面で「ロゼシアターらしさ」を継承するために、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。

長谷川氏:さきほどお話した音響機器のアナログからデジタルへの改修で、音質は劇的に向上しました。これは必要な進化です。しかしデジタルならではの音声の明瞭度が威力を発揮する演目もありますが、詩吟や日本舞踊など和楽器を使う演目、あるいは落語などにはあまり適していないと思います。
そこで「ロゼシアター」ではこうした問題に対応するために改修工事で導入したデジタルプロセッサーを使って3つのモードを作り用途に応じて使い分ける、という運用を行っています。まず1つは万能に使える「フラット」モード、次に音楽用に音響システムのハイスペックな能力を活かした「ミュージック」モード、そして講演や落語など人声が聞き取りやすい「マイク」モードです。マイクモードの音は柔らかな音に調整し、改修前の「ロゼシアター」の音に近い「ロゼシアターらしさ」を感じさせる音質のモードとなっています。私たちは機材の進化やスペックに縛られることなく、「いい音」の定義が非常に広いということ、そしてお客さまや演目によって求められる「いい音」は違う、ということを常に意識しています。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

大切なことはスペックや専門知識ではなく、お客様にどんな音を届けるべきか

齊藤:単により高い音響スペックを追求するのではなく、使う方、聴くお客さまにとって最も「いい音」を提供し、その上でさらに「ロゼシアターらしさ」も継承する、ということでしょうか。

長谷川氏:そのとおりです。たとえばこの会館にはグランドピアノが4台あります。それらを開館15年のタイミングで順次オーバーホールしました。オーバーホールが終わったピアノの音を聴くと、曇りが晴れたように瑞々しい音が蘇り、そういえば最初はこんな音だったなと感動しました。でも、グランドピアノのオーバーホールの目的は「この会館のピアノは良い状態ですね」と言ってもらうことではありません。素晴らしい演奏家が、ここのピアノの能力を最大限に活かした演奏表現を行い、それを聴いたお客さまが感動し、あるいは豊かな時間を楽しむ。そのために常にグランドピアノを一番良い状態で維持管理しているわけです。
全く同じことが音響システムにも言えます。スペックの高い機材を導入してHi-Fi的でグレードの高いサウンドを再生することが音響の目的ではなく、それぞれの演目に求められている音はなにか、それはどのように実現できるのか、ということを常に追求するべきです。大切なことは最先端の機材を入れたり専門的な技術を深めることではなく、最終的にはお客さまにどんな音を届けるか、そこを徹底的に考え、実現することにあるのだと思います。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

齊藤:そのお言葉は、音響システムの設計・施工・保守を行っている私たちの心にも響きます。スペックの高い機材やシステムを組んでも、それが自己満足になっては意味がありません。その空間ごとに「いい音」やお客さまが求める音は違います。私たちも客席にお客さまにきちんと向き合って、仕事をしていかなくてはならないと、思いを新たにしました。大変勉強になりました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

第二幕 Act4 公益財団法人富士市文化振興財団 富士市文化会館 ロゼシアター 長谷川 圭一 様

定期保守点検のご案内

【施設紹介】イベント制作会社・乗り込みスタッフ向け 施設情報を随時募集中!

リースのご案内

10周年

facebook

ヤマハ プロオーディオ

Copyright © 2024 Yamaha Sound Systems Inc. All Rights Reserved.