ヤマハサウンドシステム株式会社

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様 / 東京都
Japan / Tokyo Apr. 2022

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様
/ 東京都
Japan / Tokyo Apr. 2022

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東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

東京都新宿区西新宿三丁目、京王新線「初台駅」東口に直結した複合施設「東京オペラシティ」。その一角にある「東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル」は、豊かな響きと卓越した音響によりクラシック専用ホールとして世界的に高い評価を得ています。2021年には大規模な改修工事を実施。電気音響設備の設計と改修工事をヤマハサウンドシステムが担当しました。改修のポイントや、ヤマハサウンドシステムの仕事ぶりなどについて、公益財団法人東京オペラシティ文化財団 施設管理部長 大橋 弘之 氏、同 ホール事業部 主任 ステージマネージャー 三村 祐介 氏、東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 音響担当 池田 修 氏、同 音響担当 中野 智輝 氏、同 音響担当 中澤 芳郎 氏にお話をうかがいました。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

公益財団法人 東京オペラシティ文化財団 施設管理部長 大橋 弘之 氏(前列中央)
同 ホール事業部 主任 ステージマネージャー 三村 祐介 氏(前列右端)
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 音響担当 池田 修 氏(後列左端)
同 音響担当 中野 智輝 氏(後列中央)
同 音響担当 中澤 芳郎 氏(後列右端)
ヤマハサウンドシステム株式会社 計画設計室 宮本 進也(前列左端)
同 システム設計室 神谷 康平(リモート参加 左)
同 営業部 東京営業所 営業課 主事 五十嵐 拓也(リモート参加 右)

豊かで美しい響きにより世界で十指に入るホールと評価

● 「東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル」についてご紹介ください。

大橋氏:
東京オペラシティは「21世紀の劇場都市の創出」をコンセプトとし、文化を軸とした活気ある商業・オフィス空間の実現をめざして開発された街区で、オフィスや商業テナント、そしてアートギャラリーやコンサートホールといった文化施設で構成されている東京オペラシティビルと、そのビルに隣接した新国立劇場で構成されています。
クラシック専用ホールとして設計された「東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル」は東京オペラシティビル3Fにあります。ホール自体を一つの大きな楽器としてとらえるという発想から、音響面で最も優れていると言われるシューボックス型の形状を採用し、変形ピラミッド型の天井とピラミッド型の反響板を備えることで、非常に豊かな美しい響きを実現しています。ホール名に加えられている「タケミツ メモリアル」とは、芸術監督として設計段階から深く携わった作曲家・武満徹氏の名前を冠したものです。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

公益財団法人 東京オペラシティ文化財団 施設管理部長 大橋 弘之 氏

● 開館25周年を迎えられるということですが、日本屈指のクラシック専用ホールとして高く評価されていますね。

三村氏
ありがとうございます。おかげさまで国内のみならず海外でも高い評価をいただいており、英国の新聞であるガーディアン紙の「世界最高のコンサートホール ベスト10」にて日本で唯一選んでいただきました。このホールの音響は、残響時間の長さだけでなく、天井がかなり高いので、響きが降ってくるような感じで、どの席で聴いても豊かで温かみのある響きがあります。しかも天然木の内装ですので、木にしか出せない空気感というものがあると思います。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

公益財団法人東京オペラシティ文化財団 ホール事業部 主任 ステージマネージャー 三村 祐介 氏

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ホールの天井は天然木による変形ピラミッド型となっている

●主にどのような公演が行われているのですか。

大橋氏:
世界トップクラスのアーティストたちがここで演奏し、オーケストラからソロリサイタルや声楽など、また古楽から現代音楽の公演まで幅広く利用されています。また在京のオーケストラの定期公演や、私ども財団主催によるパイプオルガンの無料コンサートも開催しております。

三村氏:
このホールは響きの良さをご評価いただいているので、アマチュアの合唱の方々のご利用も多いと感じます。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

舞台裏の壁面には出演者のサインが飾られている

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

毎月パイプオルガンのコンサートが無料で開催されている

響きが豊かなホールでトークを明瞭に
伝達できる電気音響システムを構築する

● 2021年に改修が行われましたが、電気音響面ではどんなコンセプトで改修を行ったのでしょうか。

池田氏:
非常に豊かな響きをもつホールですので演奏面ではメリットが大きいのですが、トークの時は何を言っているかがわかりにくくなってしまうんです。そのため出演者の方には、できるだけゆっくりお話ししてくださいとお願いし、音響的にも響きが多い帯域をカットするなどの対策をしてきました。それでもちょっと早口になると聞き取りづらいことがあるので、できるだけそれを解消しトークを明瞭にしたいというのが今回の改修で重視した点です。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

音響担当 池田 修 氏

● このホールで電気音響を使用するのは主にトークですか。

池田氏:
MCや演奏者のトークの拡声が主です。最近はシネマティックコンサートなどで映画を流しながらオーケストラで演奏する公演もありますが、そういった場合ではPA機材が持ち込まれることが多いです。

● 今回の改修で音声の明瞭度を上げるためにどんな対策をされたのでしょうか。

池田氏:
メインスピーカーがパイプオルガンの両サイドにありますが、ヤマハサウンドシステムさんに相談してラインアレイに入れ替えました。またステージの両脇にサイドスピーカーがありますが、カバーエリアを今までより広くとりたいということで、スピーカーを入れ替えて、内向きに設置しました。

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パイプオルガンの両サイドに埋め込み設置されているメインスピーカー。片側あたり7本のラインアレイスピーカーを収納している

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サイドスピーカー

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ステージ奥の固定はね返りスピーカー

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パイプオルガン近くのバルコニー席の補助スピーカー

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2階席バルコニーの補助用シーリングスピーカー

● 電気音響面の改修点としてその他にどんな点が挙げられますか。

中野氏:
楽屋への連絡用インフラを整備しました。以前はそういった設備がなかったので、必要なときにステージ袖から楽屋まで仮設でケーブルを引いていました。今回の改修でマイク2回線、さらにLAN2回線を敷設しましたので、将来はマルチ音声や、映像信号なども伝送できるようにしました。それと、細かい部分では、エアモニターマイクの場所を変えてもらいました。

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音響担当 中野 智輝 氏

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ステージ下手袖奥

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ステージ上手袖奥

● エアモニターマイクの場所はどう変わったのですか。

中野氏:
客席上の天井の高いところに照明用のスペースがあって、以前はそこにエアモニターマイクを設置していたのですが、マイクが照明に近いため照明の灯体ノイズを拾ってしまっていました。それとピンスポットが入る公演ではそこに人が入るのでその作業ノイズも拾っていました。今回の改修で天井から3メートル吊り下げた位置にエアモニターマイクの設置場所を変更してもらったので、それらのノイズが入らなくなくなりました。

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天井から3メートル下に吊り下げられたエアモニターマイク

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音響調整室の前に設置されたエアモニターマイク

● 音響調整室の前にもエアモニターマイクが設置されていますね。

中野氏:
はい。そちらを使うこともありますが、拍手が大音量で入ってしまうので、天井から吊り下げられたマイクを使うことが多いです。ただ電気音響の音は音響調整室前のほうがダイレクトに拾うので、状況に応じて使い分けています。

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音響調整卓にヤマハ「RIVAGE PM5」が導入された音響調整室

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スピーカーへの出力をモニターするHYFAXデータロガー「DL3 System」

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音響調整室内に設置された影アナブース

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音響調整室の背面に設置されたパワーアンプ架、DSP架

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パワーアンプ架、DSP架はファンノイズ対策のため防音扉で仕切られている

短い施工期間での工事と万全のアフターフォローで
頼れる存在のヤマハサウンドシステム

● このたびヤマハサウンドシステムが電気音響設備の設計と改修工事を担当しました。仕事ぶりはいかがでしたでしょうか。

中野氏:
かなり短い施工期間でしたが、一生懸命やっていただいたと思います。アフターフォローもしっかりやっていただいています。

中澤氏:
新しい機材になったばかりで、それなりに初期トラブル的なことはありますけど、いつもすぐにフォローしてくださるので助かっています。電話やメールでも相談しますが、その日のうちに来てくださることもあります。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

音響担当 中澤 芳郎 氏

池田氏:
ヤマハサウンドシステムさんは今まで数多くのホールを手掛けられていて、音響機器などに関しても知識が豊富で我々より詳しくご存じの部分も多く「こういうことをしたいんだけど、どうすればいいですか」と聞くと、いつも的確なアドバイスをいただけるので、本当に頼りにしています。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

● ここからは音響機器のシステム構築や施工管理にかかわったヤマハサウンドシステム 計画設計室 宮本 進也、システム設計室 神谷 康平(リモート参加)、営業部 東京営業所 営業課 五十嵐 拓也(リモート参加)も参加させていただきます。宮本さんは設計で特に力を入れた点はありますか。

宮本:
私が設計として特にこだわったのは各スピーカーが担うカバーエリアの再構築による明瞭性の向上です。まずサイドスピーカーはステージ両サイドの壁面にスピーカー収納ボックスを設けているのですが、改修前のスピーカーはほぼ客席最後部に向けて設置されていたため、直近である客席前方側はあまりカバーできていませんでした。そこでスピーカーボックスを解体し形状変更、新しいスピーカーを45度内側に向けて設置しました。実は、スピーカーをもっと大きいものにしたかったのですが、スピーカーボックスが大きくなり、フルオーケストラ時の演奏者配列に支障が出ることが判明しました。ステージマネージャーの三村さんを中心とした協議の結果この形状に落ち着き、客席前方側に明瞭な音を届けられるようになりました。また、ボックス側面には脱着できる細長い点検口を設け、スピーカー向きの微調整をしやすい形状としました。

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ヤマハサウンドシステム 計画設計室 宮本 進也

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ステージ脇のサイドスピーカーはスピーカーの変更とともに向きを変更した

● その他にこだわった点はありますか。

宮本:
パイプオルガンの両サイドにあるメインスピーカーはラインアレイを導入しました。トークの明瞭な拡声を主軸に、

・スピーカーから出た音が客席へ適正に届くこと

・スピーカーから出た音が客席外の壁面等へは向かないことで余分な残響が増えないこと

・ボーカルや楽器系の拡声にも応えられる音質

これら3要素を兼ね備える機種としてBOSEの「ShowMatch」を選定しました。ラインアレイ型では珍しい水平指向角が多様に変えられるタイプです。客席後方のような遠距離用は指向角を狭めてスポットライトのように直進性を高め、中近距離では指向角を広めて客席全体に音が届くように精密な配置計算を行いました。豊かな響きの中、スピーカー配置の制約がある条件であっても、より明瞭にお客様へ届くよう工夫をしました。

● 五十嵐さんはどんな点にこだわりましたか。

五十嵐:
私は営業としてかなり長い期間にわたって「東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル様」を担当させていただいています。ですので、私としては長いお付き合いの中から現場の要望をできるだけ細かく収集し、それを設計担当の宮本に伝えつつ、ご要望にできるだけお応えできるような形でプランニングし、いいものを納めさせていただくということを心がけました。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ヤマハサウンドシステム 営業部 東京営業所 営業課 五十嵐 拓也(後日撮影。取材時はリモート参加)

● 神谷さんはどのあたりにこだわりましたか。

神谷:
私はシステム構築を担当しました。今回はデジタルオーディオネットワーク「Dante」を使ってシステムを組みました。デジタル機器のサンプリング周波数が48kHzと96kHzの機材が混在するシステムですが、乗り込みの持ち込み機材が48kHzでも96kHzでも対応できる設計を行いました。それともう一点はバックヤードの音環境の改善です。舞台袖で運営系の音量を調節したいというご要望に対し、その場で感覚的に音量を変えられるコントロールボックスを設置しました。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ステージ上手袖奥連絡用スピーカー

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

連絡用スピーカーの音量調節などが行えるコントロールボックス

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル 様

ヤマハサウンドシステム システム設計室 神谷 康平(後日撮影。取材時はリモート参加)

● ヤマハサウンドシステムは保守も担当させていただいていますが、今後に期待することを一言お願いします。

三村氏:
保守に関しても、ヤマハサウンドシステムさんはいつもスケジュール管理から当日の保守作業まで正確で丁寧な仕事をされています。作業終了後の報告も的確かつ簡潔で、しっかり提案もしてくれるので感謝しています。

大橋氏:
私どもは貸しホールですから、どうしても稼動を優先してしまいます。しかも当ホールは休館日がないんです。ですから公演の合間を縫って保守を入れざるを得ずヤマハサウンドシステムさんには「この日しかできません」とか「この部分だけやってください」といつも無理を申し上げ、ご迷惑を掛けています。ただ、そんな状況でも日程を調整してスケジュールを組んでくださり、ホールの音響に関してとても熱心に向き合っていただいており、非常に高いプロフェッショナル意識を感じます。長い付き合いになると思いますが、今後もよろしくお願いします。

● 本日はご多忙中ありがとうございました。

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