ヤマハサウンドシステム株式会社

湘南台文化センター市民シアター 様 / 神奈川県
Japan / Kanagawa October. 2020

神奈川県藤沢市北部に位置する湘南台駅は小田急電鉄・相模鉄道・横浜市営地下鉄が乗り入れる交通の拠点であり、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)、多摩大学湘南キャンパス、文教大学湘南キャンパスなどの教育機関も多く位置しています。湘南台駅から歩いてすぐの距離にある「湘南台文化センター」の一角に、藤沢市の文化の一翼を担う「市民シアター」があります。ヤマハサウンドシステムは開館以来市民シアターの音響保守に携わっており、2020年に行われた音響設備改修も担当しました。音響設備改修のきっかけやヤマハサウンドシステムの保守などについて、藤沢市 生涯学習部 文化芸術課 課長補佐 井澤 邦章氏、藤沢市湘南台文化センターの指定管理者の構成団体である藤沢市民会館サービス・センター株式会社 市民シアター長 角田 成史氏、同 係長 中井 有恒氏、同主任 佐竹 良太氏、同 杉山 悟氏にお話をうかがいました。

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 係長 中井 有恒氏(左端) 
同 市民シアター長 角田 成史氏(左から2番目) 
同 主任 佐竹 良太氏(中央) 
藤沢市 生涯学習部 文化芸術課 課長補佐 井澤 邦章氏(右から2番目) 
藤沢市民会館サービス・センター株式会社 杉山 悟氏(右端)

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 係長 中井 有恒氏(左端)
同 市民シアター長 角田 成史氏(左から2番目)
同 主任 佐竹 良太氏(中央)
藤沢市 生涯学習部 文化芸術課 課長補佐 井澤 邦章氏(右から2番目)
藤沢市民会館サービス・センター株式会社 杉山 悟氏(右端)

演劇を主眼として作られた藤沢市民のための劇場

● 「湘南台文化センター市民シアター」の概要を教えてください。

井澤氏:
ここは「藤沢市湘南台文化センター」という複合施設で、市民シアター、こども館、市民センター、そして公民館が集まっています。市民シアターは市の南部にある市民会館と並ぶ文化施設で、市民会館が音楽ホール、こちらの市民シアターが演劇を主眼とした劇場、と役割を分担しています。規模としては600席のホールで、ステージは直径10.6mの円形舞台を持っています。

藤沢市 生涯学習部 文化芸術課 課長補佐  井澤 邦章氏

藤沢市 生涯学習部 文化芸術課 課長補佐 井澤 邦章氏

市民シアター - 湘南台文化センター外観
市民シアター - 湘南台文化センター外観

市民シアター - 湘南台文化センター外観

● 音響的にはあまり響きのない空間設計になっているのでしょうか。

中井氏:
はい。当館は円形劇場なので響きが多くなりそうな空間ですが、建築内装に吸音材をたくさん入れることで響きを抑え、芝居の台詞が遠くまでよく聴き取れる、演劇に適した音響空間として設計されました。
したがって音楽用途としては残響が少ないわけですが、ピアノの発表会や吹奏楽などの音楽用途での使用も想定されていましたので、開館時からヤマハの音場支援システムを導入し、電気的に響きを付け加えることで音楽用途でも違和感なくお使いいただいています。

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 係長 中井 有恒氏

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 係長 中井 有恒氏

● 音場支援システムがオフの状態では、音楽用途での使用は難しいのでしょうか。

中井氏:
非常に響きが少ないので、ちょっと音楽にはならないですね。ですから市民シアターにとって音場支援システムは不可欠なシステムだと思います。

● 市民シアターでは 今年、音響機器が全面的に更新されました。それはどういう趣旨だったのでしょうか。

井澤氏:
当館は今年で築30年となります。音響調整卓は一度更新しましたが、音場支援システムなど開館以来使い続けてきた機器は、いろんな部分に経年劣化が進んでおりましたが、昨年の3月にとある事業でトラブルを起こしてしまいました。それで昨年6月、音響機器を全面的に更新することを市として決定しました。

杉山氏:
私は開館以来ここで仕事をしていますが、音場支援システムについては老朽化が激しく騙し騙し使っていた状態でした。また、最近はダンスの発表会の利用頻度がとても高くなってきました。ダンスはかなりの音量が必要になりますが、それまでの音響システムは音量面でちょっと弱かった。それで改修に際してはその対応も考えていただきました。

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 杉山 悟氏

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 杉山 悟氏

ヤマハの最新世代の音場支援システム「AFC4」の導入により
残響の質の向上と拡声効果を実現

● ヤマハの最新世代の音場支援システム「AFC4」を導入いただきました。その選定理由を教えてください。

井澤氏:
今申し上げたように当館では音場支援システムは不可欠ですが、そのような機能を持つ製品はヤマハ以外には少ないと思います。また開館以来保守でお世話になっているヤマハサウンドシステムさんが「ヤマハAFC認定インストーラー」として最良の調整をしてくださるということで選定しました。

● 新しい音場支援システム、「AFC4」の響きはいかがでしょうか。

杉山氏:
以前の音場支援システムは、初期反射音は客席向きのスピーカーから、そして残響音は壁向けに設置したスピーカーから鳴らして壁に反射した音を客席に返す方式でした。今回の改修で「AFC4」のスピーカーが全て客席向きになり、残響音の成分をそのまま出すという方式になりました。そのおかげでしょうか、ピアノの発表会で「AFC4」を使ったところ、非常に響きが綺麗でクリアなことに驚きました。また音量的にも十分に客席に返ってきて、この劇場の響きのグレードが一気に上がったと感じました。

「AFC4」用マイクはステージ上に吊下設置プロセッシング部

「AFC4」用マイクはステージ上に吊下設置

音響調整室のラックにセットされた「AFC4」
プロセッシング

音響調整室のラックにセットされた「AFC4」プロセッシング部

会場の隅々に配置されている「AFC4」用スピーカー

会場の隅々に配置されている「AFC4」用スピーカー

「AFC4」をWi-Fi経由でコントロールできるiPad用アプリ

「AFC4」をWi-Fi経由でコントロールできるiPad用アプリ

佐竹氏:
今までの音場支援システムはあくまで残響を付加するものでしたから、演劇では使っていませんでした。しかし「AFC4」はある程度の拡声もできるということなので演劇にも使おうと思っていて、そのためのパラメーターも設定していただきました。プロの舞台俳優ではない方、たとえば学生の演劇の発表会などではときおり台詞が聴こえにくいケースがあったので、今後は演劇でも「AFC4」を積極的に使ってみたいと思っています。

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 主任 佐竹 良太氏

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 主任 佐竹 良太氏

中井氏:
私としては、クラシックの演奏者の方などに「自分の音が聴こえづらい」と言われていたので、「AFC4」を入れるにあたっては舞台で演奏する方にも自分の演奏音がよく聴こえるように調整してほしいとヤマハサウンドシステムさんにお願いしました。その点を考慮して調整いただいたことで、ステージ上でもかなり音がよく聴こえるようになったと思います。今後も調整を繰り返し、音楽用としても使いやすいホールにしたいと思っています。

● 今回更新となったメインスピーカーはいかがでしょうか。

中井氏:
音質面だけでなく実際の催しものでの使われ方や設置、そして運用面までよく考慮していただき、円形のこの劇場によくあったスピーカーを選んでいただきました。そのあたりもヤマハサウンドシステムさんは、保守を通じて当劇場のことをよくわかっていてくださったので、安心でした。

メインとなるプロセニアムスピーカー

メインとなるプロセニアムスピーカー

音響調整卓にヤマハの「RIVAGE PM7」を導入。客席からiPadで遠隔操作できるアプリ「RIVAGE PM StageMix」で操作性が飛躍的に向上

● 音響卓にはヤマハのデジタルミキシングコンソール「RIVAGE PM7」を導入いただきました。その選定理由をお聞かせください。

中井氏:
ここではずっとヤマハのミキサーを使っています。開館当初はアナログミキサー「PM3000」でした。のちにデジタルミキサー「PM1D」に更新され、今回の更新で「RIVAGE PM7」にかわりました。

佐竹氏:
今までとの大きな違いはDanteに対応したことですが、操作性については「PM1D」も新しい「RIVAGE PM7」も、世代こそ違いますが操作性や考え方が通底している部分が多く、ほとんど違和感なく使うことができました。全く違う操作性だったら、短時間で慣れなくてはいけないのでかなり厳しかったと思います。
あと、使い勝手で言えばiPadを使ってワイヤレスでミキサー操作ができるアプリ「RIVAGE PM StageMix」が非常に便利です。今までは客席で音を聴いて、また調整室に戻って調節し、また下まで聴きに行くというように何度も行き来していましたが、「RIVAGE PM StageMix」なら客席で音を聴きながら調整ができるので、とても助かります。

音響調整室にセットされたヤマハ「RIVAGE PM7」

音響調整室にセットされたヤマハ「RIVAGE PM7」

iPadでワイヤレス操作が行える「RIVAGE PM StageMix」

iPadでワイヤレス操作が行える「RIVAGE PM StageMix」

移動用備品として導入されたデジタルミキシングコンソール「QL5」

移動用備品として導入されたデジタルミキシングコンソール「QL5」

HYFAXマトリクスコントローラー「LDM1」

HYFAXマトリクスコントローラー「LDM1」

HYFAX「LDM1」のプロセッサー部とデータロガーマスター

HYFAX「LDM1」のプロセッサー部とデータロガーマスター

音響調整室背面のアンプ架

音響調整室背面のアンプ架

HYFAXデータロガーシステム「DL3システム」によりスピーカーラインレベルを監視

HYFAXデータロガーシステム「DL3システム」によりスピーカーラインレベルを監視

舞台愛、音響愛を感じさせる
ヤマハサウンドシステムの保守サービス

● ヤマハサウンドシステムは開館以来保守に携わっており、このたびの改修工事も担当しました。感想があればお聞かせください。

井澤氏:
今回の全面改修に関してはヤマハサウンドシステムさんから「直さなくていい点はそのままでいい」という提案をいただきました。既存のシステムとの整合性もとれて、コスト面でも合理的でしたので、ありがたい提案をしていただいたと思っています。

中井氏:
ヤマハサウンドシステムさんは長年にわたってこのシアターの細部まで熟知していて、一言ですぐに内容を理解してくれる存在ですし、何かあったら迅速かつスピーディーに対応してもらえるので、とても信頼できる存在です。

佐竹氏:
今回の改修でも、こちらが使い方を変えたいと言ったところは、すぐに対応いただいて、より使い勝手がいいようにしてもらいました。

● 市民シアター長の角田さんはいかがですか。

角田氏:
ヤマハサウンドシステムの保守の方々は、気さくな方が多いですし、我々が現場でより使いやすいようになるならと、手間暇を惜しまずカスタマイズをしてくださいます。ほんと、音の職人さんだと思います。「舞台愛」「音響愛」を感じる保守です。

藤沢市民会館サービス・センター株式会社  シアター長 角田 成史氏

藤沢市民会館サービス・センター株式会社 シアター長 角田 成史氏

新規の顧客にもアピールする卓越した音響で
より多くの市民の方々に使っていただける会場に

● 今はコロナ禍で大変な時ですが、最後に、今後やってみたいことなどがあれば教えてください。

中井氏:
今回の音響の全面改修では音場支援システムの「AFC4」をはじめ、ミキサーも「RIVAGE PM7」になったり、スピーカーも変わったりと、今までと音がかなり変わっています。ですから、今までこのホールを使ってきたお客さまに、ぜひ音の変化をご体験いただきたいと思います。

杉山氏:
この館がオープンした翌年から慶応大学のダンスのサークルには毎年発表会をやっていただいているのですが、残念なことに今年はコロナで発表会ができませんでした。ほかにも毎年市民シアターを使ってくださる常連さんにご迷惑をかけてしまったので、今はしっかりと新しい音響システムの準備を行い、コロナが落ち着いたら、ぜひ使っていただきたいと思っています。

佐竹氏:
私は個人的には、先ほどお話しした「AFC4」を演劇での拡声として使ってみる、というトライアルを楽しみにしています。「AFC4」ではインプットのボリューム調整ができるようにとか、いろいろわがままを聞いてもらったので、はやくそれを使ってみたいです。

井澤氏:
私は在課4年になりますが、最初ここで音を聴いた時と改修後の音では迫力が全然違うんですよね。かなり迫力のあるサウンドが出せるようになりました。市民の方、お客さまに満足してもらえるようなシステムに更新できたと思います。音がこれだけよくなったわけですから、今まで使っていただいていた既存のお客さまに加えて、ぜひ新しいお客さまや、より多くの市民の皆さまに、湘南台市民シアターを使っていただければと思います。個人的にはロックが好きなので、ここでロックバンドやスカバンドを聴いてみたいと思ってます。

● 本日はご多忙の中、ありがとうございました。

 

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