ヤマハサウンドシステム株式会社

アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター)様 / 兵庫県
Japan / Hyogo Apr. 2024

アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター)様 / 兵庫県
Japan / Hyogo Apr. 2024

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ 大ホール(提供:姫路市)

2021年9月にJR姫路駅から徒歩10分の好立地に開館した「アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター)」は、2,010席の大ホール、693席の中ホール、164席の小ホール、そして4,000平方メートルの展示場を擁する大規模なコンベンション施設です。ヤマハサウンドシステムは「アクリエひめじ」の大・中・小ホールの音響システムの施工を担当し、保守点検を行っています。その仕事ぶりなどについて「アクリエひめじ」マネージャー 田畑 知之 氏、「アクリエひめじ」の音響を担当する有限会社ステップワン 舞台制作・技術部 田中 卓見 氏、同 藤本 浩治 氏、同 越智 加奈恵 氏にお話をうかがいました。

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ マネージャー 田畑 知之 氏(前列右端)
有限会社ステップワン 舞台制作・技術部 田中 卓見 氏(前列左端から2番目)
同 藤本 浩治 氏(前列左端)
同 越智 加奈恵 氏(前列右端から2番目)
ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 大阪営業所 営業課 五十嵐 拓也(後列左端)
同 設計部 システム設計2課 赤坂 智晃(後列左端から2番目)
同 品質管理部 検査課 鈴木 隆士(後列右端から2番目)
同 営業部 大阪営業所 保守課 東宝 秀樹(後列右端)

エンターテインメントから国際会議、学会、展示会まで
幅広い催しに対応する「アクリエひめじ」

● 「アクリエひめじ」についてご紹介ください。

田畑氏:
この場所はもともとJRの広大な跡地でしたが、そこに姫路のまちに賑わいをもたらすことを目的とし、2,000席のホールや4,000平方メートルの展示場、10の会議室などを備えた複合施設である「アクリエひめじ」が建設されました。「アクリエひめじ」は愛称で、正式には「姫路市文化コンベンションセンター」という施設です。アクリエの由来は「架け橋(アーク)」と「創造(クリエーション)」で、未来へ続く新たな創造の場を提供することを意味する造語です。

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ マネージャー 田畑 知之氏

アクリエひめじ 様

● 「アクリエひめじ」の特長を教えてください。

田畑氏:
エンターテインメントから国際会議、学会、見本市などのいわゆるMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)まで、幅広いイベントを受け入れができることが特長です。

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ 中ホール(提供:姫路市)

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ 小ホール(提供:姫路市)

●「アクリエひめじ」はなぜMICEに焦点を当てた施設となったのでしょうか。

田畑氏:
姫路市はMICE推進による地域の国際化、活性化を図るまちづくりに対応するとともに、播磨の連携中枢都市として、「ものづくり力の強化」「地域ブランドの育成」「交流人口の増加」を促進するMICE推進の拠点として、「アクリエひめじ」を整備しました。「アクリエひめじ」は4,000平方メートルの柱のない広い空間を持っており、展示場として高い能力を持っています。それに加えてエンターテインメントの面でも大・中・小の3つのホールを完備しています。

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大・中・小計10室の会議室をワンフロアに配置

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面積4,000平方メートルの展示場(提供:姫路市)

● オープンして2年以上経過し、さまざまな催し物に使用されていると聞きました。

田畑氏:
おかげさまでさまざまな催し物に活用いただいています。「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉がありますが、新しい施設ができると新たな需要が生まれるということを実感しています。例えばコンサートツアーを大阪、神戸でするけれど、姫路は素通りして広島に行っていたアーティストの方々が、姫路でコンサートをしてくださるようになりました。昨年もある大物アーティストがここでコンサートを行い、MCで大ホールの響きを褒めてくださいました。クラシックでもベルリンやウイーンなどにある世界的なオーケストラの演奏が行われています。

さまざまな要求に応える響きと設備を備えたホール運用

● ホールでの催し物はどのようなものがありますか。

田中氏:
大ホールは有料コンサートが4割ほどで、その他は企業の会議が多く一部は地域の文化発表会もあります。地域の方々による発表会は主に小ホールで行い、規模の大きなものは中ホールで開催しています。学会やコンベンションといったMICEイベントでは大・中・小ホールの全てを使用することもあります。最近では医療ロボットや介護ロボットの展示会がありました。展示場に介護ロボットが展示され、会議室の複数の部屋で発表が行われ、小ホールではディスカッションを行いました。

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有限会社ステップワン 舞台制作・技術部 田中 卓見 氏

● 大ホールは音響面で特に高い評価を得ていると聞きました。

田中氏:
大ホールは「響きが豊か」ということではなく、演奏しやすいちょうどいい響きなんですよ。しかもリハーサルと本番で響きの変化が少ない、という点を高く評価いただいています。大ホールの壁面は小さなレンガが組み合わされており、音が同じ方向に反射しないように設計されています。このような音への行き届いた配慮が扱いやすい響きを実現しているのだと思います。有料コンサートではスピーカーシステムを持ち込むことが多いのですが、その音づくりもしやすいと評価いただいています。

アクリエひめじ 様

アクリエひめじ 大ホール

アクリエひめじ 様

中ホール壁面

● 一方で大ホールは講演会などのスピーチ用途でも利用されています。その際の扱いやすさはいかがですか。

藤本氏:
自然ではあるものの響きがある中で、スピーカーシステムで明瞭な拡声をするのはオペレーションで苦労するかなと思いましたが、思ったより苦労せずにオペレーションができています。大ホールでは前半が講演、後半が吹奏楽やアコースティックピアノの演奏といった催しがよくあり、反響板を立てた状態でマイクを使うことが多いのですが、音楽でもスピーチでも問題なく使えています。おそらく建築音響、電気音響両方の基本設計がいいのだと思います。

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有限会社ステップワン 舞台制作・技術部 藤本 浩治 氏

● まさに多彩な用途ですね。

越智氏:
コンベンションはスピーチがメイン、コンサートは音楽がメインと思われますが、「アクリエひめじ」で行う地域の催しはスピーチもあり、音楽もあります。ダンスなどでCDをたっぷりな音量で鳴らす場合もあります。学校の文化祭もそういう感じですね。また邦楽(箏、三味線、尺八等の和楽器)の会などは、非常にたくさんの数のマイクを使う催しとなりますし、何でも来いでやっています。

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有限会社ステップワン 舞台制作・技術部 越智 加奈恵 氏

● いろんなタイプの催しがあって大変ではないですか。

越智氏:
いろいろな分野の催しをまんべんなく勉強できるので楽しいです。大ホールのような大きい空間の音を音響調整室でモニターしながら操作するのはまだ不慣れなので、そこは今修行中です。

● この3人で、何が来ても対応されるのですか。

田中氏:
ありがたいことに大・中・小の3つのホールが高い稼働率で動いています。同時稼働の際には、それぞれのホールにオペレートとステージマンなど複数の音響スタッフが必要ですから僕らだけでなく、外部スタッフにも来てもらって運用しています。

システムの核をヤマハ「CLシリーズ」とし、大・中・小ホールで同一の操作環境を構築

● 音響設備についてお聞かせください。

田中氏:
「アクリエひめじ」の音響設備は使い勝手についてはよく考えていただいているようで、使いやすいです。
大ホールの音響調整室にはヤマハのデジタルミキシングコンソール「CL5」、中ホールの音響調整室には「CL3」と同じ「CLシリーズ」があり、小ホールの舞台袖に「QL1」があります。このようにヤマハのしっかりした卓があるのは大きなメリットです。「アクリエひめじ」には催し物によって外部のオペレーターが入りますから、扱いやすくて信頼性の高いヤマハミキサーがあるのは助かっています。メーカーが統一されていることで、それぞれのバックアップとしても機能します。

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大ホール音響調整室の音響調整卓はデジタルミキシングコンソール ヤマハ「CL5」

アクリエひめじ 様

中ホール音響調整室の音響調整卓はデジタルミキシングコンソール ヤマハ「CL3」

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小ホール舞台袖音響調整スペース

● 藤本さんは、この音響システムの使い勝手はどうですか。

藤本氏:
とても理解しやすい音響システムでよかった、と安心しています。操作はすぐにスッと飲み込めましたね。音響プランニングの意図や設計者の思いが伝わってきました。ミキサーも自分も今までずっとヤマハを使っていたので扱いやすいです。

● オーディオネットワークDanteはどのように使用されているのでしょうか。

田中氏:
デジタルオーディオネットワークDanteが音響調整室と舞台袖で繋がっています。ネットワーク以外にアナログマルチ回線もあります。現場ではデジタルもアナログもどちらも使っています。回線数はDanteだけで十分ですが、芸能発表会などでマイクが何十本も出る場合や転換の具合、その時のスタッフの人数などで、移動用の「Rio3224-D2」「Rio1608-D2」を出すか、アナログマルチを使うかを使い分けます。

● コンベンションとかであるような、複数のホールを繋ぐ用途もあるのでしょうか。

藤本氏:
はい。アナログ回線がホール間を渡ってありますし、デジタルでも繋ぐことができます。コンベンションでは施設全体の催し物になるのでホール連携ができることは大事なことです。

● 楽屋呼び出しなどの連絡装置についてはいかがでしょうか。

田中氏:
私は楽屋呼び出し装置が入っている施設は初めてで、複雑なものと思っていたのですが便利に使っています。使い勝手をよく考えられていると感じます。

アクリエひめじ 様

楽屋呼び出し装置

● 楽屋呼び出し装置があるとないとでは全然違いますか。

田中氏:
それは違いますね。もう何度も使っています。もしなければ各楽屋に「あと何分で本番です」と走って伝えるしかないですが、このシステムがあれば袖からマイクで、任意の楽屋に案内放送ができます。

アクリエひめじ 様

開館から2年を経て、より使いやすい安定した音響システムの構築へ

● ここからは「アクリエひめじ」の音響設計、施工、保守に関わるヤマハサウンドシステムの社員も参加し、工夫した点や学んだ点などを聞きます。まずシステム設計担当の赤坂さんはいかがでしょうか。

赤坂:
「アクリエひめじ」は大・中・小の3つのホールがあり、大と中は規模が違うだけでシステムとしては全く同一としました。音響調整卓も扱いやすさを考えて大・中ホールはヤマハの「CLシリーズ」、小ホールには「QL1」を採用し、使いやすさと汎用性の高さを重視しました。

● 実際に大ホールと中ホールはほとんど同じような感じで使えるんですね。

赤坂:
使えます。入出力ボックスの「Rio3224-D2」「Rio1608-D2」も大・中・小ホールのどこでも使えるようにして汎用性を高めています。それと細かい部分でいえばパネルのレイアウトですね。スイッチの押しやすさや、普段よく使う機材は触りやすい高さに設置するなど、機器の配置、スイッチのレイアウトにこだわりました。

アクリエひめじ 様

ヤマハサウンドシステム株式会社 設計部 システム設計2課 赤坂 智晃

アクリエひめじ 様

大ホール舞台袖の機器ラック

● 音響調整担当の鈴木さんは、「アクリエひめじ」の音をよくするために特に工夫した点やこだわった点はありますか。

鈴木:
私はスピーカーシステムのチューニングを担当しましたが、ホール内にある全てのスピーカーシステムが何を目的として利用されるのかをよく考えて調整しました。たとえば大ホールはコンベンション(会議や集会などの)運用時、全てのエリアで人の声が聴こえやすいよう明瞭性を重視しています。中・小ホールは明瞭性を保ちながら低域の音もしっかりと再生させ、スピーチから音楽までさまざまな催し物で使えることを目指した調整です。

アクリエひめじ 様

ヤマハサウンドシステム株式会社 品質管理部 検査課 鈴木 隆士

● 鈴木さんのスピーカーの調整に関するこだわりはありますか。

鈴木:
安全に運用できることを目指してします。「入力信号毎のレベルや音質の補正がしやすい」「人の声と音楽を両立」といった、さまざまな視点をもって調整します。最終的にはオペレーターさんが調整卓等を使って調整できる幅がある音を作ることが大事だと思っています。調整80点、オペレーション幅20点のようなイメージですね。調整の際はマイクを使って自らの声で音を聴き、明瞭で張りと柔らかさがあるかを確認しています。また、さまざまなジャンルの音楽を流し、音楽性を保てるようにちょっとしたレベルとEQの調整を納得がいくまで繰り返し行っています。それらの調整をしたのち、運用の方々の意見をしっかりヒアリングして微調整をして仕上げていきます。

アクリエひめじ 様

大ホールのサイドスピーカー

アクリエひめじ 様

中ホールのサイドスピーカー

● 「アクリエひめじ」の保守を担当する東宝さんはいかがでしょうか。

東宝:
私は赤坂や鈴木が丹精込めて作り上げた音響システムを、お客様に安心して使っていただけるようにするのが仕事です。そのために不具合の早期発見、そして迅速な対応を心がけています。「アクリエひめじ」は特に人気が高く、スケジュールがかなり埋まっているので、何かあったらすぐに動けるように心がけています。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 大阪営業所 保守課 東宝 秀樹

● 「アクリエひめじ」の営業を担当する五十嵐さんはいかがでしょうか。

五十嵐:
私は2022年の12月に東京から大阪に転勤し、「アクリエひめじ」の担当となりました。ですからまずは保守の東宝と同行して、なるべく顔を覚えていただきたい、ということを大切にしています。そして会話を重ねながら、次のステップを一緒に検討していくことが、営業としては一番大事かなと思っています。

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ヤマハサウンドシステム株式会社 営業部 大阪営業所 営業課 五十嵐 拓也

● 今後「アクリエひめじ」と関わっていくのは保守の東宝さんと営業の五十嵐さんだと思いますが、今後はどのようにお付き合いしていきたいですか。

東宝:
これから長いお付き合いになると思いますので、お互いが信頼し合えるような関係を構築していきたいと思います。今は新しい機器ですが、長く使っていくうちに不具合も出てくると思います。この不具合がでる前に防止策を提案させていただき、常に安心して機器を使っていただける環境を提供していきたいと思います。

五十嵐:
「アクリエひめじ」で起こっている不具合や問題点をうまく吸い上げることで、解決に導くための改修提案等のステップに行けるかなと思っています。そのためにも現場の状況や要望が伝わりやすい資料作りを心掛け、施設や姫路市とコミュニケーションを図りながら、お互いの懸け橋になれればと思っています。

アクリエひめじ 様

● 最後に「アクリエひめじ」のみなさんからヤマハサウンドシステムに要望などがあればお願いします。

藤本氏:
保守の東宝さんにはとても助けられています。実際に何かが起きるというより、操作方法が分からなくなったり、こちらの操作ミスで何かエラーが起きることがよくあって、そんな時はすぐに電話で相談していますし、代替えをすぐに対応してもらったこともあります。

越智氏:
想定外のエラーが起きてもヤマハサウンドシステムさんに連絡すればなんとかしてくれると思える安心感は大きいです。実際に何度か電話して対処法や操作手順を教えてもらえて助かりました。またその場の応急措置だけでなく、後日「あれはどういうことが起きていたのか」という話をきちんと聞かせてもらえるのはとても勉強になります。

田中氏:
ゼロから建物が建って、新しいホールがスタートして2年が経ちます。もともとの音響システムの考え方や発想は今、赤坂さんや鈴木さんにうかがいましたが、当初の設計思想のままで使いやすい部分と、現場としてこう変えたほうがいいのでは、という点があるので、現在そのあたりをご相談しているところです。
またヤマハサウンドシステムさんは他のホールも手掛けていらっしゃるので、他のホールでの事例なども教えてもらいながら、よりいいもの、より安定して運用できる方法を構築していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。

● 本日はご多忙中ありがとうございました。

アクリエひめじ 様

(提供:姫路市)

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