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ヤマハサウンドシステム設立10周年に寄せて

空間創造研究所 代表取締役 草加 叔也

空間創造研究所 代表取締役 草加 叔也

「サンセイエンジニアリング(ヤマハサウンドテックの前身)」「不二音響」という社名を知ったのは、今から40年近く前になるだろうか。その当時から舞台音響設備の計画・設計・施工、そして保守までを専業とする我が国第一線の企業として活躍されていた。その両社が一体となり、現在のヤマハサウンドシステムとなって早10年になるという。両社ともに創業が今から半世紀以上前であることを考えると、我が国の舞台音響設備をパイオニアとして今日まで築き上げ、その成果として多くの実績が積み重ねられてきたことが容易に想像される。

舞台音響設備は、舞台機構設備、舞台照明設備と一体となり舞台設備と称され、劇場や音楽堂が演劇や音楽、舞踊などを上演する施設であることの根幹的な機能を担ってきている。その中でも舞台音響設備は、視覚的に物量として捉えにくい「音」を扱う分野である。一般に舞台音響設備は、音を電気的に「拡声」「録音」「再生」するための設備と説明することがある。しかし、大音量の拡声を伴うライブハウスから肉声の響きを活かした再生や拡声が求められる劇場、そして生音の豊かな響きがある中で明瞭なMC拡声や音場支援などが求められるコンサートホールなど、劇場や音楽堂に求められる機能は全く異なるにも関わらず、個々に必要な機能を丁寧にバランスよく創り出していく役割が求められている。

また今日では、舞台音響設備が担う領域は時代と共に益々拡大してきている。例えば、ビデオプロジェクターなどの投影設備、インカムなどの舞台連絡設備、ITVやモニタースピーカーなどの舞台進行監視設備に加えて、難聴者支援設備なども舞台音響設備が扱う領域に含まれるようになってきた。これは劇場や音楽堂での演出が高度化し、技術が複雑化していく中で、さらに多機能化と質の向上が求め続けられてきた結果である。今後さらに誰でもが参加できる劇場や音楽堂としての役割が求められるに従い、舞台音響設備には新たな劇場体験を実現させてくれることが期待されるようになるのではないだろうか。

これからの舞台音響設備企業には、近未来に向けて劇場や音楽堂に求められる音環境をしっかり理解し、諸条件を踏まえた上で最も望ましい機器構成を提案していく能力が求められる。次にそれを実現するための機材調達、据付、調整といった施工能力、そして安心してその設備を使い続けることができる保守能力、さらには将来の機器更新や改修までを見据えた舞台音響設備企業としての信頼を総合的に高めていくことが期待される。

最後に「ヤマハサウンドシステム株式会社設立10周年」を祝すとともに、その社歴の礎となった創業からの弛まぬ努力と時間に敬意を払うとともに、我々はその中で育てられてきたことへの感謝を申し上げたい。

 

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