ヤマハサウンドシステム株式会社

浜松アリーナ 様 / 静岡県 /
Japan / Shizuoka November. 2019

浜松アリーナ 様

JR浜松駅から車で15分ほど、閑静な住宅地に位置する「浜松アリーナ」は、市民スポーツの振興はもとより、国際的な競技大会や公式試合、さらにイベントやコンサートにも対応する多目的施設として1990年に開館しました。ヤマハサウンドシステムは、開館以来音響設備の保守を担当しており、2017年に行われた音響設備改修工事を担当しました。今回、音響設備のオペレーションを担当されている株式会社ステージ・ループの方々に、音響設備の改修の狙いと、現在の使い勝手など運用面についてお話をうかがいました。

株式会社ステージ・ループ 取締役 永田清二氏(左端)
 同 浜松アリーナ音響担当 大場美沙氏(左から2番目) 
 同 浜松アリーナ総括補佐 白沢伸幸氏(右から2番目)
 同 制作技術 金子幸弘氏(右端)

株式会社ステージ・ループ 取締役 永田清二氏(左端)
同 浜松アリーナ音響担当 大場美沙氏(左から2番目)
同 浜松アリーナ総括補佐 白沢伸幸氏(右から2番目)
同 制作技術 金子幸弘氏(右端)

● まず「浜松アリーナ」についてご紹介いただけますか。

白沢氏:
「浜松アリーナ」は、65m×44mの広さを持ちバレーボールで4面コートが使えるメインアリーナと、40m×34mの広さを持ち、バレーボールで2面コートが使えるサブアリーナの2つで構成されています。ワールドカップバレーボールなど公式の国際大会にも対応できる、静岡県内でも数少ない屋内スポーツ施設です。使用されている主な用途としては、浜松市内や静岡県内の中学、高校、社会人のスポーツ大会、そしてプロフットサルのFリーグ(以下、Fリーグ)や、プロバスケットボールのBリーグ(以下、Bリーグ) も定期的に開催されます。またワールドカップバレーボールやバドミントンなどの公式試合の開催、大相撲の巡業、プロレスなどの興行でも使用されています。

 

「浜松アリーナ」外観

「浜松アリーナ」外観

メインアリーナ全景

メインアリーナ全景

サブアリーナ全景

サブアリーナ全景

 

● 「浜松アリーナ」ではスポーツ以外のイベントも開催されるのですか。

白沢氏:
開館当初は国内外のアーティストのコンサート会場としてよく使用されましたが、最近はスポーツ用途での使用がほとんどです。

 

株式会社ステージ・ループ 浜松アリーナ総括補佐 白沢伸幸氏

株式会社ステージ・ループ 浜松アリーナ総括補佐 白沢伸幸氏

音響設備改修の目的は
シンプルな操作性とアナウンスの明瞭性向上

● 音響設備の使用用途はどんなものでしょうか。

白沢氏:
スポーツ大会や競技大会などではアナウンスとBGMが主な用途です。基本的には音楽再生機器をお客様にお貸出しし、自由に使っていただいています。あとはFリーグやBリーグなどの大きな大会では、スポーツDJの方が入り、演出音楽や実況MCで会場を盛りあげています。

● 音響設備の改修と概要を教えてください

白沢氏:
音響設備は、今まで音響調整卓の入れ替えはありましたが、スピーカーやアンプなど出力系の設備は開館当時の音響機材をずっとそのまま使っている状況で、機材の老朽化が進んでました。

金子氏:
もともと「浜松アリーナ」は、スポーツ施設としての用途のほか、多目的に使用できる文化施設としての活用もできる設計で、音響システムについても多目的用途に対応した少し複雑なものでした。今は、スポーツ用途での使用がほとんどですのでシンプルで使いやすい最新の音響設備を目指しました。

 

株式会社ステージ・ループ 制作技術 金子幸弘氏

株式会社ステージ・ループ 制作技術 金子幸弘氏

● 改修後の音響設備は具体的にはどのような構成になっているのでしょうか。

金子氏:
改修の大前提として、ここは体育館ですから、アナウンス音声がしっかり聴き取れる「明瞭性」を最も重視しました。メインアリーナには、天井中央にアリーナ4方向+下方向をカバーするセンターステージスピーカーと、スタンド席用に10カ所のサブスピーカーがあります。これらをNEXO社のラインアレイスピーカー「GEOシリーズ」で構成しました。「GEOシリーズ」スピーカーは、小型でありながら音が遠くまで届くという特徴があります。それを活かすことで、改修以前より少ない台数でカバーできています。

 

メインアリーナ天井部分

メインアリーナ天井部分

センターステージスピーカーはNEXO「GEO S1210」「GEO S1230」

センターステージスピーカーはNEXO「GEO S1210」「GEO S1230」

スタンド席用サブスピーカーはNEXO「GEO M6B」「GEO M620」

スタンド席用サブスピーカーはNEXO「GEO M6B」「GEO M620」

 

● メインアリーナの音響調整卓にはヤマハのデジタルミキシングコンソール「CL3」が導入されていますが、どんな理由で選定されたのでしょうか。

白沢氏:
「CL3」であれば、音響に関わる人間なら必ず使える機材だからです。貸出しする場合でも「CL3」なら細かな説明をしなくても、お客様に自由に使っていただくことができますし、設定を戻すのもメモリーでワンタッチです。また、以前はイコライザーやエフェクトなどのアウトボードを組み込んだ音響ラックに囲まれていたので、窮屈な思いをしながらオペレーションしていましたが、今はアウトボードが「CL3」に内蔵されていますので、作業スペースがかなり広くなりました。

メインアリーナの音響室
デジタルミキシングコンソール ヤマハ「CL3」を導入 右手側の液晶ディスプレイはデータロガーシステムHYFAX「DL3 System」出力監視が可能

メインアリーナの音響室
デジタルミキシングコンソール ヤマハ「CL3」を導入 右手側の液晶ディスプレイはデータロガーシステムHYFAX「DL3 System」出力監視が可能

メインアリーナのアンプ室
パワーアンプにはNEXO「NXAMPシリーズ」を採用

メインアリーナのアンプ室
パワーアンプにはNEXO「NXAMPシリーズ」を採用

メインアリーナのアンプ室
ラックにはデータロガーシステムHYFAX「DL3SA」を導入 アンプ出力レベル、スピーカーインピーダンスチェック、ラック内温度、入力電源の電圧を監視が可能

メインアリーナのアンプ室
ラックにはデータロガーシステムHYFAX「DL3SA」を導入 アンプ出力レベル、スピーカーインピーダンスチェック、ラック内温度、入力電源の電圧を監視が可能

 

● サブアリーナの音響システムどんな構成なのでしょうか

 

サブアリーナ全景

サブアリーナ全景

金子氏:
サブアリーナでは、中央天井に4方向のメインスピーカーと、スタンド側に向けた天井埋め込みのサブスピーカーが2箇所あり、いずれもポイントソースのヤマハ「IF2115」を使っています。放送室では、シンプルな操作環境とするため、あえて音響調整卓は置かず、ヤマハのマトリクスプロセッサー「MTX3」とフェーダーコントローラーdigicom 「SF16M+D-SWP」で操作をしています。

 

サブアリーナ天井部分
メインスピーカーにヤマハ「IF2115」を設置

サブアリーナ天井部分
メインスピーカーにヤマハ「IF2115」を設置

スタンド席用サブスピーカーはヤマハ「IF2115」を採用

スタンド席用サブスピーカーはヤマハ「IF2115」を採用

サブアリーナ放送室ではマトリクスプロセッサーヤマハ「MTX3」用のフェーダーコントローラーdigicom「SF16M+D-SWP」を使用

サブアリーナ放送室ではマトリクスプロセッサーヤマハ「MTX3」用のフェーダーコントローラーdigicom「SF16M+D-SWP」を使用

調整卓としての機能も果たしているマトリクスプロセッサーヤマハ「MTX3」

調整卓としての機能も果たしているマトリクスプロセッサーヤマハ「MTX3」

サブアリーナのパワーアンプ架

サブアリーナのパワーアンプ架

 

改修後「音が良くなったね」とご好評いただく

● 改修が終わって、音質や使い勝手はどのように向上したのでしょうか。

白沢氏:
音の明瞭度は抜群に良くなりましたね。開館当時のスピーカーと比べるとNEXOのラインアレイスピーカーは小さいのにとんでもなくパワーが出ますから、アナウンスが明瞭よく、遠くの席までよく伝わるようになりました。改修後、最初に「音が良くなったね」と言われたのは卓球大会のお客様でした。卓球大会はアリーナにたくさんの卓球台がセットされ同時に何試合も競技が行われるので、選手の呼び出しなどひっきりなしにアナウンスが流れるんですが、以前よりずっと聞き取りやすくなったと言われました。

● 機器の操作性に関してはいかがでしょうか。

大場氏:
「CL3」のパラメーターをワイヤレスでコントロールできるiPadアプリケーション「StageMix」がとても便利です。以前は仕込み中に、何度も競技場と音響室を行ったり来たりしていたんです。メインアリーナだと音響室まで片道60mぐらいあって、何度も往復すると時間も労力もかかったのですが、今はiPadからアリーナ内で「CL3」が調整できるので、効率が上がって助かっています。

 

株式会社ステージ・ループ 浜松アリーナ音響担当 大場美沙氏

株式会社ステージ・ループ 浜松アリーナ音響担当 大場美沙氏

ヤマハサウンドシステムの保守だから、安心して任せられる

● ヤマハサウンドシステムは音響設備の改修を担当しました。その感想をお聞かせください。

永田氏:
スポーツの国際大会などは、2、3年前から予約が入っていることが多いですし、改修を理由に定期的に開催される県大会などもお断りするわけにはいきません。ですから休館せず、稼働しながら改修作業をしました。ヤマハサウンドシステムさんは手間のかかる工事だったと思いますが、快くやってくださいました。

 

株式会社ステージ・ループ 取締役 永田清二氏

株式会社ステージ・ループ 取締役 永田清二氏

白沢氏:
毎週土日はかならずスポーツ大会などの催事が入るので改修工事の作業が行えるのは平日のみでした。月、火曜日に足場を組み、水曜日に施工し、木曜日には足場を解体して金曜日は土曜日からの催事に備えるという大変手間がかかるサイクルで、これを10回ほど繰り返しました。よくやってくださったと思っています。

● ヤマハサウンドシステムの保守について感想はいかがでしょうか。

白沢氏:
ここは公式試合を行うアリーナですから、試合結果に関わるようなトラブルは絶対に許されません。ですから経験値のある会社が工事をし、その会社に保守もお任せしたい。そう考えるとヤマハサウンドシステムさんはベストだと思っています。それに担当の方も改修前からの長いお付き合いなので、信頼関係も成り立っています。

金子氏:
音響設備は、運用的になにかあったら一大事ですから、信頼できる会社に任せたいんですよね。もし信頼できない会社の方が保守に来たら、つきっきりで見ていると思います。その点、ヤマハサウンドシステムさんはいつも安心できる方が担当してくださるのでお任せできます。例えば、デジタル機器のバージョン管理に関しても、どれがどこまでアップデートされているかしっかりと把握し、アップデートが必要であれば保守のときに報告してくれます。私たちの設定もよく理解してくださっているので、メンテナンス翌日に設定がリセットされていて慌てる、というありがちなトラブルもありません。

日本中が盛り上がるイベントを「浜松アリーナ」でやってみたい

● 最後に「いつか浜松アリーナでやってみたいこと」があれば、お聞かせください。

日本中が盛り上がるイベントを「浜松アリーナ」でやってみたい

永田氏:
実現できるかどうかは別ですが、屋内でスーパーモトクロスみたいなイベントができたら面白いでしょうね。今の音響システムならバイクのエンジン音が大きくても大丈夫だと思います。

金子氏:
「浜松アリーナ」は広いので、音響機器をつなぐケーブルがいちいち長いんですよ。いつかそれが全部ワイヤレスにならないかなって思ってますが、それはまだ先になりそうですね(笑)。

大場氏:
私はここに来て4年目ですが、私が来てからはコンサートなどの音楽系のイベントがないので、せっかく改修もされたことですし、ここでアーティストのライブを見てみたいと思います。

白沢:
私は「浜松アリーナ」にトータルで10年以上関わっていますが、やっぱりワールドカップクラスのスポーツ大会は盛り上がるんですよ。そういう大きな大会で日本代表が活躍するシーンを見たいと思っています。それと僕は卓球をやっていましたので、個人的には卓球のTリーグもここで見てみたいですね。

● 本日はありがとうございました。

 

外部リンク

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株式会社ステージ・ループ 外部サイト

 

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