ヤマハサウンドシステム株式会社

ナゴヤドーム 様 / 愛知県 /
Japan / Aichi August. 2019

© ナゴヤドーム
© ナゴヤドーム

プロ野球、セントラルリーグの中日ドラゴンズの本拠地として、1997年3月のオープン以来、多くのプロ野球ファンから親しまれてきた「ナゴヤドーム」。また最大収容人数49,684人を誇る、中部地方を代表する大型のコンサート・イベント会場としてもよく知られています。このたび「ナゴヤドーム」では音響システムの改修工事が行われ、その工事をヤマハサウンドシステムが担当しました。音響システムの改修コンセプトや使い勝手、そしてヤマハサウンドシステムの施工について、株式会社ナゴヤドーム 施設部の服部芳弘氏にお話をうかがいました。

株式会社ナゴヤドーム 施設部 服部芳弘氏

株式会社ナゴヤドーム 施設部 服部芳弘氏

修理部品の供給終了により音響システムを改修

● 最初に「ナゴヤドーム」の音響システムの用途を教えてください。

服部氏:
プロ野球ではアナウンスの声、選手が登場する時のBGM、そして大型のビジョンの演出に関わる音の再生を行います。プロ野球以外ですと、大型の催事などの場合はBGMを流したり、草野球の時でもマイクを使うことがありますので、その拡声を行います。

ナゴヤドーム 様

● 音響システムの改修を何回かに分けて行なったそうですね。

服部氏:
はい。まず
2011年にコントロールルームの調整卓を更新しました。そして2016年にはアリーナの中央にあるスピーカーであるメインクラスターを、そして2019年、スタンド向けのサテライトクラスターを改修しました。プロ野球のシーズンオフからシーズンインにかけての短い期間での工事となるため、スピーカーについては2カ年に分けて行なうことになりました。

昇降するメインクラスター(工事時)

昇降するメインクラスター(工事時)

メインクラスターは指定の色にペイントされている

メインクラスターは指定の色にペイントされている

サテライトクラスター

サテライトクラスター

黄色の円がメインクラスタ−、緑の円がサテライトクラスター。サテライトクラスターは各方位の客席に向かって合計18カ所設置

黄色の円がメインクラスタ−、緑の円がサテライトクラスター
サテライトクラスターは各方位の客席に向かって合計18カ所設置

● 今回改修された理由は、やはり経年の問題でしょうか。

服部氏:
そうです。オープン以来使用して、使用年数が長くなるにつれて故障が増えてきましたが、ミキサーも、スピーカーも修理部品の供給が終了してしまいました。それが改修の一番大きな理由です。

● 改修に際し、具体的に改善したい点はありましたか。

服部氏:
主に5階のスタンド席ですが、場所によって音が聞こえにくいところがありました。「ナゴヤドーム」では上段のスタンド用にサテライトクラスターを18カ所用意しています。そのスピーカーが近いお客様の席は良いですが、スピーカーとスピーカーの間にある席に関しては、聞こえづらい面があったんです。今回はそれを改善したいと思っていましたが、改修の結果、どの席でも明瞭で聴き取りやすい音を実現することができました。

ナゴヤドームは最大収容人数49,684人を誇る

「ナゴヤドーム」は最大収容人数49,684人を誇る

メインクラスターとサテライトクラスターにスタジアム仕様の NEXO「GEO-S12STシリーズ」を計84台使用

● 今回改修した音響システムの概要を教えてください。

服部氏:
コントロールルームの調整卓はデジタルミキサーのヤマハ「PM5D」です。スピーカーはドーム天井中央にメインクラスターと18カ所にスタンド用のサテライトクラスターがあり、これらはNEXOのスピーカーを採用しました。スピーカーは合計で84台になります。アンプ室にはNEXOのDSP搭載型のパワーアンプ、さらにスピーカーの音質調整用にHYFAXのアコースティックメジャーメント/EQプロセッサー「AMQ2」を使用しています。

コントロールルームに導入されているデジタルミキシングコンソールPM5D

コントロールルームに導入されているデジタルミキシングコンソール ヤマハ「PM5D」

コントロールルームの音響ラック。DMEをリモートし出力コントロールするPCがある

コントロールルームの音響ラック
ヤマハ「DME64N」をリモートし出力をコントロールするPCがある

● スピーカーはNEXOを採用いただきました。その感想を聞かせてください。

服部氏:
クリアな音質で、とてもいいと思います。ただ中にはレコードからCDに変わった時と同じように、以前のちょっとこもった感じの音がいいという方もいらっしゃいます。しかし球場としては若い人にもっと来ていただきたいという思いがありますので、NEXOのスピーカーの現代的でクリアな音はいいことだと考えています。これは実際は、音というよりスピーカーの形へのノスタルジーなのかもしれません。

● それはどういうことでしょうか。

服部氏:
以前は大量のホーンタイプが付いていたので、メインクラスターが見た目にいかにも「スピーカー!」っていう感じだったんです。改修しては四角いハコがぶら下がっているだけになりました(笑)。ただ、それもすぐに慣れてしまうものかもしれません。スピーカーの存在は控えめで、音は明瞭で聞きやすい、ということが、球場のスピーカーとしても当たり前になっていくのだろうと思っています。

メインクラスターは、NEXO 「GEO S1210-ST」×4台+「GEO S1230-ST」×1台のラインアレイが6方向、さらに真下方向に3台の「GEO S1210-ST」で構成

メインクラスターは、NEXO 「GEO S1210-ST」×4台+「GEO S1230-ST」×1台のラインアレイが6方向、さらに真下方向に3台の「GEO S1210-ST」で構成

サテライトクラスターはNEXO 「GEO S1230-ST」が2~3台のラインアレイで構築(ホーン型スピーカーは非常放送用)

サテライトクラスターはNEXO 「GEO S1230-ST」が2~3台のラインアレイで構築(ホーン型スピーカーは非常放送用)

アンプ室

アンプ室

アンプ室に設置されているデジタルミキシングエンジン ヤマハ「DME64N」
コントロールルームのPCでリモート可能

アンプ室に設置されているデジタルミキシングエンジン ヤマハ「DME64N」
コントロールルームのPCでリモート可能

NEXOのパワードTDコントローラー 「NXAMP4X4」、「NXAMP4X2MK2」など
NEXO「GEO-S12-STシリーズ」はバイアンプにて駆動

NEXOのパワードTDコントローラー 「NXAMP4X4」、「NXAMP4X2MK2」など
NEXO「GEO-S12-STシリーズ」はバイアンプにて駆動

スピーカーの音質補正用にFIRフィルターを搭載したHYFAX 「AMQ2」を導入

スピーカーの音質補正用にFIRフィルターを搭載したHYFAX 「AMQ2」を導入

大型ビジョンの映像の迫力に負けない、NEXOスピーカーのサウンド

● 音響システムの改修で、サウンド全体としてはどのように変わったのでしょうか。

服部氏:
音の体感、質感が非常に高くなりました。以前は音がドーム全体的に響いている感じがありましたが、より直接的で迫力のある音になりました。

ナゴヤドーム 様

● 音に関して具体的な何か反応はありましたか。

服部氏:
球場の関係者から「音が良くなってる。すごく聞こえやすくなったね」と言われました。私も実際にプロ野球の時に客席に座ってみましたが、以前より音に迫力があり、音が直接自分のほうに向かって来るように感じられ、臨場感があって盛り上がります。特にビジョンの効果音を出しているときにそう思いました。

● 「ナゴヤドーム」のビジョンは大きくて特に素晴らしいですね。

服部氏:
ありがとうございます。幅が106mあるので、「106ビジョン」(いちまるろくビジョン)と呼んでいます。以前は今の中央のビジョンだけだったのですが、2017年のシーズンから左右に新しいビジョンを加えて3倍に拡張しまして、今ではセントラルリーグ本拠地球場で最長・最大のスクリーンとなっています。ビジョンが拡大したことでお客様の視覚面でのインパクトは3倍になったわけですが、音が今まで通りだったので、どうしても音に物足りなさを感じていました。しかし、今回音の質感もぐっと上がったので、より映像と音とが一体化し、今まで以上に迫力ある映像と音が体感できる空間になりました。

セントラルリーグ本拠地球場で最長・最大を誇る、全長106メートルの「106 ビジョン」

セントラルリーグ本拠地球場で最長・最大を誇る、全長106メートルの「106 ビジョン」

ヤマハサウンドシステムの保守サービスは丁寧で確実、かゆいところに手が届く

● 「ナゴヤドーム」の音響システムの保守や施工はヤマハサウンドシステムが担当しています。その感想をおきかせください。

服部氏:
ヤマハサウンドシステムさんは、とても丁寧で確実な仕事をされています。作業の際いつも時間通りにきちんといらっしゃいます。これは当たり前のようですが、意外とそうでない方も多いんです。さらにヤマハサウンドシステムさんは細やかな気遣いもあって、前日に「明日、何時によろしくお願いします」と連絡をくれるんです。これなら行き違いもありません。また保守作業の内容説明も「この部品がこのように不具合だったので、このように修理しました」と、わかりやすく説明してくれます。報告書にも分かりやすく書いてあるので「こういうところが悪かったんだな」とよく理解できます。

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● わかりやすく、丁寧な仕事をしている、ということでしょうか。ご評価いただきありがとうございます。

服部氏:
それと、運用する私たちの側に立って考えてくださるところも感謝しています。たとえば保守の部品の確保などでも、結構無理なお願いをしていると自覚してるんですが、いつもしっかりと対応していただいて非常に助かっています。海外製品などでは修理パーツの在庫が5年なので保守を終了します、とバッサリ切ってしまうところもあるのですが、ヤマハサウンドシステムさんは、部品の確保に努力していただきました。そのお陰で改修前の機材も長く使えたのだと思います。この先もヤマハサウンドシステムさんの丁寧で確実な保守サービスを期待したいです。

● 本日は、ご多忙の中ありがとうございました。

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